F1史上まれにみるチーム体制リシャッフル。フェラーリ、ザウバー、マクラーレンの新首脳がチームにもたらす効果を探る

 12月12日から13日にかけて、約18時間のなかで、F1チームの40パーセントのチームプリンシパルの変更が発表された。ウイリアムズ、ザウバー/アルファロメオ、フェラーリ、マクラーレンが立て続けに代表の人事について公表したのだ。これほど短時間に多数のチームのトップの移籍が発表されたのは、前例のないことだ。

 フェラーリはフレデリック・バスール、マクラーレンはアンドレア・ステラをそれぞれチーム代表に任命、ザウバーはCEOとしてアンドレアス・ザイドルを起用、ウイリアムズは代表を務めたヨースト・カピートの離脱を発表した。これら4チームには、体制変更によりしばらくは日々のチーム運営にネガティブな影響が出ると考えられ、そういう面では残りの6チームの方が2023年への準備を有利に進めることができるだろう。しかし、長期的に見るとトップ交代を行った4チームにはポジティブな効果が表れてくることが期待される。

F1への参戦を画策するアウディとポルシェの確執を解説【大谷達也のモータースポーツ時評】

 モータースポーツだけでなく、クルマの最新技術から環境問題までワールドワイドに取材を重ねる自動車ジャーナリスト、大谷達也氏。本コラムでは、さまざまな現場をその目で見てきたからこそ語れる大谷氏の本音トークで、国内外のモータースポーツ界の課題を浮き彫りにしていきます。今回は、同じフォルクスワーゲン·グループに属しながらともにF1への参戦を画策するアウディとポルシェ、両者の関係と立場をその歴史から掘り下げてお伝えします。

ホンダのF1プランを注視する既存マニュファクチャラーたち。レッドブルの不当なアドバンテージを警戒

 12月12日に行われた2023年ホンダモータースポーツ活動計画発表会の場で、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長が、2026年からスタートする新たなF1テクニカルレギュレーションの時代に向けて、パワーユニット・マニュファクチャラーとしてFIAへの登録を行ったことを明かした。F1に参戦することを決定したわけではないと渡辺社長は述べているものの、ホンダがもしも2026年以降もレッドブルの技術パートナーとしてF1に関わり続けるのであれば、レッドブル・パワートレインズが新規参入者としての優遇措置を受けるのは不当であると既存マニュファクチャラーらは考えており、これに関する対策を講じようとしている。

アルファロメオF1のバスール代表、2023年1月よりフェラーリのチーム代表兼ゼネラルマネージャーに就任

 12月13日(火)、アルファロメオF1チーム・オーレンは、チーム代表を務めるフレデリック・バスールが2023年1月にチームを離れると発表した。そしてスクーデリア・フェラーリは、2023年1月9日よりバスールがチーム代表兼ゼネラルマネージャーに就任することを明らかにした。

 2017年に現在のアルファロメオF1の前身であるザウバーF1チームの代表に就任したバスールは、2022年シーズンまでの6年間にわたってチーム代表を務めた。2018年にはアルファロメオがタイトルスポンサーに就任し、チームはアルファロメオ・ザウバーF1チームとなった。

HRC、2023年も『HONDA』ロゴを使用へ。2026年以降のF1パワーユニット製造者登録を行ったことも明らかに

 12月12日に行われたホンダの『2023 モータースポーツ活動計画発表』において、HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)が2026年以降のF1のパワーユニット(PU)製造者登録を行ったことが明らかになった。

 8月に行われた世界モータースポーツ評議会において、F1では2026年よりPUに関する新しい規則が導入されることが正式に承認された。この規則については、コストキャップの導入をはじめ、100%持続可能な燃料の使用や、電力の割合の引き上げ、MGU-H(熱エネルギー回生システム)の廃止などが決まっている。

シューマッハー、ハースF1オーナーの考えを受け入れるも「若手が慣れるには少なくとも3年かかる」という意見に同意

 ミック・シューマッハーは、モータースポーツのジュニアシリーズでは通常2シーズン目に大きな飛躍を見せていたが、2022年のF1においてはそうはならなかった。FIA F3でもF2でも、シューマッハーの成長には同様の傾向があった。彼は1シーズン目にカテゴリーの特性を把握し、2シーズン目には学んだことと洗練したスキルを発揮して大きな結果を出していた。

 しかしF1直下のカテゴリーでは、1年ごとに技術面で発展が見られることはほとんどなかった。だがF1では事情が違う。F1ではマシンは年ごとに大きく進化し得る。ハースF1チームもF1の新レギュレーションの下で、新世代マシンに移行したことは言うまでもない。

レッドブルF1が凱旋イベント。フェルスタッペン&ペレスが2011年型RB7でデモラン

 2022年にF1ダブルタイトルを獲得したレッドブル・レーシングは、12月10日、ファクトリーが位置するミルトン・キーンズでデモランイベントを実施、ファンの前で2022年チャンピオンのマックス・フェルスタッペンとドライバーズランキング3位のセルジオ・ペレスが走行を行った。

「このトロフィーは予算制限対象外だよ」FIA会長とレッドブル代表の間でかわされた気まずい会話

 2022年FIA授賞式において、F1コンストラクターズタイトルを獲得したレッドブル・レーシングを代表して出席したチーム代表クリスチャン・ホーナーとFIA会長モハメド・ビン・スライエムが、バジェットキャップ違反やF1レギュレーションの不備に触れ、気まずい雰囲気が流れた。

 12月9日にイタリア・ボローニャで実施された授賞式において、ビン・スライエムFIA会長は、ホーナーにトロフィーを手渡す際、「クリスチャン、このカップはコストキャップとは関係ないからね。これはFIAからだ。君たちのコスト上限額から差し引くつもりはない」と述べた。レッドブルは、2021年にレギュレーションで定められた予算上限額を超えた額を使ったことが明らかになり、今年10月にペナルティを受けることが決定した。

ハミルトンが2022年FIAアクション・オブ・ザ・イヤーを受賞。F1イギリスGPでのダブルオーバーテイクをファンが選出

 FIAは、2022年の『FIAアクション・オブ・ザ・イヤー』を、メルセデスF1チームのルイス・ハミルトンに授与した。この賞は、さまざまなレースカテゴリーを対象としてシーズンを通して最も劇的な瞬間に贈られるもので、ファン投票によって決められる。今年はハミルトンがイギリスGPで見せたオーバーテイクが選ばれた。

F1マシンの後方視界改善に苦慮するFIA。リヤビューカメラ導入には問題点、2023年にはミラーサイズ拡大で対応

 F1ドライバーたちが長年、後方視界の悪さを訴えているため、以前からF1マシンにリヤビューカメラを設置し、車内のスクリーンで映像を流すという方法を取り入れることが検討されている。しかしFIAのシングルシーター・テクニカルディレクターのニコラス・トンバジスは、このソリューションにはいくつかの問題点があるとして、現時点では導入できないと述べている。