もっと詳しく

 2022年はYAMAHA FACTORY RACING TEAMが中須賀克行と岡本裕生の2台体制となったことや、加賀山就臣の引退によりYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINを発足させて渡辺一樹がフル参戦するなど話題のあった全日本ロードレース選手権のストーブリーグ。そして2023年のシートも徐々に発表されているが、ホンダ勢に大きな動きがありそうだ。

 11月15日には、ホンダUKが2023年におけるBSBの参戦体制を発表。そこには2年間同チームから参戦した水野涼と高橋巧の名前はなく、来季はBSBに参戦しないことも明記されていた。

 高橋は全日本ロードからSBKを経由してBSBに参戦。その際に全日本ロードではTeam HRCが撤退した。水野は全日本ロードではハルク・プロから参戦し、高橋と同様にMotoGPマシンの開発を行った経験があり、2021年から『Honda Superbike Challenge Program』の一環としてBSBに移った流れだ。

 水野と高橋が来年にどの選手権を戦うのかが気になるところだが、SBKのTeam HRCはシートが決まっており、MIEレーシングの2台も12月6日に確定。そのため、全日本ロードに戻ることが濃厚になりそうだ。

2022BSB:水野涼、高橋巧(Honda Racing)
2022BSB:水野涼、高橋巧(Honda Racing)

 では、水野と高橋が全日本ロードに戻る場合、ホンダワークスとなるTeam HRCの復活はあるのだろうか。

 2022年の全日本ロード第2戦鈴鹿2&4の際には、二輪と四輪の活動が統合したことでHRC新体制メディアブリーフィングが催された。その際にメディアから二輪でホンダワークスの復活はあるのかと質問が飛んだが、「SBKとMotoGPが苦戦している状況で、我々としてはそちらをしっかり勝ち切るということに注力しているので、今のところは全く検討できていない」とHRCの若林慎也二輪レース部長が発言している。

 そのため、高橋と水野のふたりが全日本ロードに戻っても、ホンダ系のチームが台数を増やして活動することになるだろう。

HRCの若林慎也二輪レース部長
HRCの若林慎也二輪レース部長

 そのほか、濱原颯道がHonda Dream RT SAKURAI HONDAを卒業することを明かしている。濱原はヨシムラスズキMOTULレーシング、そして桜井ホンダからJSB1000を戦ってきた経歴があり、ホンダ以外のメーカーから参戦する可能性もある。

 また、12月3日にはMOTOBUM HONDAがST600でチャンピオンを獲得した荒川晃大がST1000にステップアップすると発表。ST1000を戦っていたAutoRace Ube Racing Teamは2023年からJSB1000に参戦することを明かしている。こちらはライダーは分からないが、津田拓也に決定するだろう。

 スズキがMotoGPとEWCのワークス活動を終了させることにより、EWCに参戦しているヨシムラSERT Motulの活動も決まっておらず、渡辺一樹が全日本ロードにフル参戦するかも気になるところだ。

シケインでトップ争いを繰り広げる中須賀克行と渡辺一樹/2022全日本ロード第2戦鈴鹿2&4 JSB1000 レース2
シケインでトップ争いを繰り広げる中須賀克行と渡辺一樹/2022全日本ロード第2戦鈴鹿2&4 JSB1000 レース2

 2022年はヤマハ、ヨシムラが繰り広げた全日本ロードのトップ争いも、水野と高橋が加わることで来季は見ごたえのあるバトルが見ることができるかもしれない。さらに、怪我から復帰した名越哲平、清成龍一や参戦2年目となるヤマハの岡本が加わることで熾烈な戦いが見られそうだ。

 さらに、高橋巧、水野涼、長島哲太が国内に揃えば、MotoGPのテストライダー経験者は3人となる。ここ数年は入れ替わりとなっていたが、3人になれば2020年以降低迷しているMotoGPのホンダチームのためにも、開発面では有利に働くことになるかもしれない。

中須賀克行選手とYAMAHA FACTORY RACING TEAM
中須賀克行選手とYAMAHA FACTORY RACING TEAM