走行距離の項目は“合格”BMW、多数のトラブルに見舞われながらも2台揃って完走/デイトナ24時間

 BMW Mモータースポーツの責任者であるアンドレアス・ルースは、BMW MハイブリッドV8がデビューしたデイトナ24時間レースについて、2台の新型LMDhカーにとって「タフで難しいレースだった」としながらも、走行距離に関しては「チェックボックスに印を付けられる」つまり、当該項目を満たしたと考えている。

 24号車BMW MハイブリッドV8は、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦で優勝したメイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-06から15周遅れ、総合6位/GTPクラス6位でフィニッシュした。また、BMW MチームRLLの姉妹車25号車は、序盤にハイブリッドシステムに問題が発生した影響で130周以上ロスし、総合49位でのフィニッシュとなった。

ポルシェ963はほろ苦デビュー。2台にトラブルが発生「多くの教訓を得た」/デイトナ24時間

 ポルシェLMDhファクトリー・モータースポーツ・ディレクターであるウルス・クラトレによると、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)はプログラムにとって困難なデビューレースを経て「多くの教訓を得た」という。

 ドイツとアメリカの連合ワークスチームは、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの開幕戦として行われたデイトナ24時間レースで、ポルシェ963を走らせたが、2台両方のクルマにメカニカルトラブルが発生。このうち、ニック・タンディ/マシュー・ジャミネ/デイン・キャメロン組6号車はギアボックス故障が原因でリタイアとなった。

デイトナ優勝のアキュラARX-06、レース前の連続走行は最長で「4、5時間だった」とHPD社長

 ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)社長のデビッド・ソルターズは、トラックテストでの『アキュラARX-06』のこれまでの連続走行時間は、ワン・ツー・フィニッシュを果たしたデビュー戦デイトナ24時間レースを前に「4、5時間」であったことを明らかにした。

 1月28~29日にアメリカ、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦に参加した4社のLMDhメーカーのうち、アキュラはこのプラットフォームのローンチシーズンに向けて、24時間または36時間の耐久テストを行わなかった唯一のブランドであった。

敗戦もV-LMDhの信頼性に「感動した」とキャデラック陣営。課題はペース不足/デイトナ24時間

 チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)とアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)は、デイトナ24時間レースでGTPクラスデビュー戦の優勝を逃したものの、新型LMDhプロトタイプカー『キャデラックV-LMDh』の信頼性に勇気づけられたという。

 キャデラック・レーシングを運営するCGRの2台と、ウェーレン・エンジニアリング・レーシングのバナーの下でIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023年シーズン開幕戦を戦ったアクション・エクスプレスの1台は、他のLMDhメーカー3社とは異なり車両に大きな遅れを生じさせるトラブルなくレースを完走した。

ホモロゲ登録後も改良は続く。アキュラ、LMDhソフトウェアの“継続的な開発”で信頼性が向上/IMSA

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とデイトナ24時間レースのディフェンディングチャンピオンであるメイヤー・シャンク・レーシング。同チームのドライバーとチームオーナーは、アキュラARX-06のソフトウェアについて、ホモロゲーション取得後も「継続的な開発」が行われていると語った。

 LMDhのライバル陣営と同様に、アキュラの新型プロトタイプマシン『アキュラARX-06』はホモロゲーションによって5シーズンにわたって開発に制限が掛かる。これは、その間にメーカーやチームが物理的な設計変更、アップグレードを行うことができないことを意味する。

BMW MハイブリッドV8、やや劣勢の立場も「まだ伸びしろがある」と代表は新型LMDhの進化に自信

 BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、今週末のデイトナ24時間レースでのデビューに向けて準備が進められているドイツメーカーのLMDhカーには「まだまだ伸びしろがある」と感じている。

 BMWの新型プロトタイプマシンであるBMW MハイブリッドV8は、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの新GTP時代の最初のレースに向けて、サーキットセッションでトップを走っていない唯一のマシンであり、LMDhのライバルであるアキュラ、キャデラック、ポルシェが順番にタイムを出しているのとは対照的な存在となっている。

LMDhのレースを左右する新要素『低温用タイヤ』と『ダブルスティント』【デイトナ24時間の戦い方】

 2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースにおいて、GTPクラスにエントリーするチームは、タイヤをダブルスティント(2スティント連続でのタイヤ使用)することが求められる。この新しいタイヤセット数制限は、レース戦略に「新たな変数」を加えることになると、GTPドライバーとミシュランは語っている。

LMDhかLMHか。フォード、将来のWEC/IMSAプロトタイプ開発の可能性示唆も「状況を注視する」

 フォード・パフォーマンス・グローバル・モータースポーツ・ディレクターのマーク・ラッシュブルックによると、フォードは将来的にトップクラスのプロトタイプレースに進出する場合、LMDhとLMHの両方のプラットフォームを検討するという。

 同氏はアメリカ、デトロイトのOEMがIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とWEC世界耐久選手権で、それぞれGTPとハイパーカー・クラスのプログラムを実施することを検討し続けていることを認めた。一方、それらはまだ可能性の段階であり、決定されていないことを示唆している。

デイトナ本戦に向けたLMP2の性能変更はなし。2月のセブリングテストで再検証へ/IMSA

 IMSAテクニカルディレクターのマット・クルドックは、先週末のプレシーズンテストのデータによって、ウェザーテック・スポーツカー選手権内の階層化予測が「検証された」として、デイトナ24時間レースに向けたLMP2クラスの性能変更は行わないと表明した。

 1月20〜22日にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われた公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』では、LMP2のオレカ07・ギブソンがLMP3マシンと同等の性能レンジとなっていることに、何人かのドライバーが懸念を示していた。

【2023年デイトナ24時間基本情報】耐久レース新時代開幕。スケジュール&TV放送、最新エントリー、特別規則etc.まとめ

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023シーズンが、アメリカ・フロリダ州に位置するデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで1月28〜29日に決勝が行われるデイトナ24時間レース(ロレックス24・アット・デイトナ)で開幕する。

 2023シーズンは、IMSAに大きな変革がもたらされる年だ。