フェラーリ、ポルシェ、BMWなどが新規参戦。2023年、耐久レースは黄金時代に突入【WEC/IMSA最新状況まとめ】

 2023年は世界三大レースのひとつであるル・マン24時間レースの100周年大会が開催されるメモリアルイヤーだ。同時に耐久の雄ポルシェ、かつてル・マンを席巻したフェラーリ、北米選手権からグローバルシリーズに進出するキャデラックなどの自動車メーカーが、ル・マン/WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに新型マシンを投入することから、プロトタイプレースにおける“黄金時代”の再来を予感させる年でもある。

 また、アメリカを中心に開催されているIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では、WEC/ル・マンにも出場可能なLMDhという新しい車両規則が導入される。2022年のIMSA最高峰クラスには、アキュラとキャデラックが参加していたが、新シーズンはここにポルシェとBMWが加わり一層激しい戦いが繰り広げられることになる。本稿はそんな2023年のプロトタイプカー事情をまとめたもの。今月28~29日に開催されるIMSA第1戦デイトナ24時間レースや、3月にセブリングで行われるWEC開幕戦を迎えるにあたって事前情報の整理に役立ててほしい。

【謹賀新年】期待で溢れる2023年の日本のモータースポーツ。autosport webの新たな試みにもご期待下さい

 新年あけましておめでとうございます。  2022年は四輪、二輪ともに世界選手権がようやく日本国内で開催され、国内モータースポーツは新型コロナの影響から、歩みを前に進めていることが実感できた一年になりました。  3年ぶり …

WECハイパーカー参戦を目指すイソッタ・フラスキーニ、英国のLMP2チームとパートナー契約を締結

 戦前のレーシングカーや高級ロードカーで知られるイタリアのコンストラクター/エンジニアリング会社であるイソッタ・フラスキーニ社は、同社のル・マン・ハイパーカー(LMH)によるWEC世界耐久選手権参戦に向け、イギリスのベクター・スポーツとパートナーシップ契約を締結した。

 2022年10月に突如発表されたとおり、イソッタはミケロットと組んで2023年のWECハイパーカークラスにハイブリッドエンジンを搭載したLMH車両を投入することを目指している。一方、ベクター・スポーツは2022年にWECのLMP2クラスにデビューした。両者はこの度、「テクニカル&スポーティング・コラボレーション契約」を締結したという。

アキュラLMDhのル・マン出場にも光明? アンドレッティと提携のウェイン・テイラー「ステップアップが必要だった」

 12月28日にアンドレッティ・オートスポートとの長期的パートナーシップを発表したウェイン・テイラー・レーシング(WTR)。両チームがスポーツカーレースで協力することになった背景と、この先のビジョンについて、チームオーナーのウェイン・テイラーが説明した。

■交渉のきっかけはマイケルから

ウェイン・テイラー・レーシングとアンドレッティ・オートスポートが提携発表。アキュラLMDh参戦体制も拡大?/IMSA

 ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)とアンドレッティ・オートスポートは12月28日、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦するため、このふたつのチャンピオン経験チームがリソースを結集し、新たな長期的パートナーシップを結ぶと発表した。

 今回誕生することになった『ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポート』は2023年、リッキー・テイラーとフィリペ・アルバカーキが乗る10号車アキュラARX-06をGTPクラスに投入。さらにこの組織は、レーサーズ・エッジ・モータースポーツとのジョイントにより、アシュトン・ハリソンとカイル・マーセリがドライブするGTDクラスのアキュラNSX GT3 Evo22のプログラムの背後にもつく予定だ。

第15弾は1982年の『マツダ・サバンナRX-7』特集。三栄フォトアーカイブス最新号発売

 三栄は12月27日、SAN-EI Photo Archives(三栄フォトアーカイブス)Vol.15『マツダ サバンナ RX-7 1982』の電子書籍版とオンデマンド印刷版の発売を同日より開始した。

 三栄フォトアーカイブスは、レースやイベント会場で取材を行い『オートスポーツ』『モーターファン』誌などに掲載するために撮影された写真を、世に出なかったオフショットを含めテーマごとにまとめた写真集だ。これまでに発刊された既刊14冊では東京レーシングカーショー(1968~1973年)やニッサン・フェアレディZ(1970~1973年)、トヨタ・セリカ(1971~1973年)、そしてマツダ・サバンナRX-7(1978~1981年)に焦点が当てられてきた。

開幕前公式テストでLMP2車両のパフォーマンスを引き下げへ。LMDhとの適切なギャップを目指す/IMSA

 北米でスポーツカーレースを統括するIMSAは12月22日にテクニカル・ブルテンを発行、このなかで2023年1月のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レース前の公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス24』における技術構成を発表し、LMP2クラスのパフォーマンスレベルが引き下げられることが明らかとなった。

予選レースも候補のひとつ。WEC代表、TV放送に適した「独創的な」新フォーマットを模索

 WEC世界耐久選手権のCEOを務めるフレデリック・ルキアンによると、このスポーツカーシリーズはテレビ中継により適した「創造的な」新しいフォーマット案を選手権関係者に提案したという。

 来季2023年に11年目のシーズンを迎えるWECは、長年にわたってそのフォーマットをほとんど変化させず、予選形式をわずかに進化させただけで、ほぼ従来のレースフォーマットを踏襲してきた。

【動画】トヨタvsアルピーヌの険悪な空気も超リアル。名場面満載の2022シーズン“裏ハイライト”をWECが公開

 伝統のル・マン24時間レース、そして3年ぶりに復活した富士6時間レース含め、2022年シーズンは全6戦の熱闘が繰り広げられたWEC世界耐久選手権。シリーズは先ごろ、その舞台裏を41分に編集したハイライト動画を公開した。タイトルは『Unmasked!』。直訳すれば「マスクを脱いだ」ということで、コロナ禍から復帰し“平常”へと回帰したシーズンであったことを強調している。

 車載カメラ、無線、そしてピット・ガレージの様子など「その瞬間」の裏側を捉えたシーズン中の秘蔵映像に、スタジオでのインタビューによる回想が挿入されていく構成のこのハイライトでは、盛り上がった名場面だけでなく、かなり“気まずい”シーンの数々も目撃することができる。