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 2022年シーズンの全日本ロードレース選手権は、ST600クラスを除き、2021年と同じライダーがチャンピオンを獲得。ST1000クラスの渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)も2連覇を達成していた。

「2021年にチャンピオンを獲ったところで、2022年は、どうしたいか伊藤(真一)監督に希望を聞いてもらっていました。JSB1000クラスにスイッチすることも魅力的だったのですが、ゼッケン1をつけてST1000クラスで連覇を目指すチャレンジの方がやってみたいと思いました」

 ST1000クラスを選んだのは自分の意志だったと渡辺は、強調する。

2022全日本ロードST1000:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022全日本ロードST1000:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)

「自分のレース人生の中で、ゼッケン1をつけて連覇を目指したことがなかったですし、ゼッケン1への憧れもありました。ポケバイなどでレースを始めたころに“ゼッケン1”をつけたことがある人は多いと思いますし、僕も例外ではなかった。自分たちで勝ち取った“ゼッケン1”をつけて走れる。そして、もう一度“ゼッケン1”を獲りにいくことを選びました」

 2022年のST1000クラスは、3人のウイナーが誕生した。5戦6レースという少ないレースで争われ、三者三様の状況の中でシリーズは進んでいった。

 開幕戦では、渡辺一馬がトップでチェッカーフラッグを受けるものの、グリッドでの作業違反のペナルティを受け30秒加算され、リザルト上では6位となってしまう。

「最終戦を終えたところで、ここで失った15ポイントがあったらチャンピオンが獲れたはずということになってしまうと、チームのみんなが責任を感じて後悔することになるので、それは何としても避けたかった」

2022全日本ロードST1000:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022全日本ロードST1000:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)

 2戦目のSUGOでは、事前テストから調子はよく、公式予選ではコースレコードを更新しポールポジションを獲得。渡辺の優勝を予想する声は多かったが、レース終盤に失速し4位と表彰台にも乗ることができなかった。この時点でランキングトップの高橋裕紀から18ポイントのビハインドを抱えていた。

「SUGOでの負けも重要でしたね。あのレースがあったからこそ、レースを勝ちきるためには、どうすればいいか考え直すきっかけになりましたし、レース後半で4勝する要因になりました」

「今シーズンは優勝したレースはもちろんですが、開幕戦の悔しさ、SUGOでの反省を含めてどのレースも印象に残っています。その中で、一番完璧な形で勝つことができたのは、オートポリスのレース2でした。スタートからトップに立って、中盤以降は独走だったので、見ているお客さんにとっては、おもしろいレースにはならなかったかもしれませんが、一番強い走りができました」

2022全日本ロード第6戦オートポリス ST1000 スタートシーン
2022全日本ロード第6戦オートポリス ST1000 スタートシーン

 得意としているオートポリスでダブルウインを達成し、シーズンの流れを引き寄せたかと思われたが、続く岡山では、事前テストから國峰啄磨が速さを見せつけていた。東広島のTOHO Racing所属の國峰は、チームのホームコースとも言える岡山を誰よりも走り込んでおり必勝態勢を敷いていた。

「シーズンの流れを考えると岡山での優勝は大きかったですね。事前テストから予選まで劣勢でしたが、僕もチームも最後まであきらめずにチャレンジを続け、最後の周でひっくり返すことができましたから。関係者でも、僕が勝てると思っていた方は、少なかったと思いますし、実際、決勝の展開も苦しかったですから。得意なパターンではない展開で勝つことができたのは、うれしかったですね」

渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)、國峰啄磨(TOHO Racing)/2022全日本ロード ST1000
渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)、國峰啄磨(TOHO Racing)/2022全日本ロード ST1000

 岡山で先行する國峰をかわして優勝した渡辺は、同ポイントながらランキングトップに立ち、再び流れを引き寄せると、最終戦鈴鹿では、安定した速さを見せて2連覇を達成した。

2022全日本ロード第8戦鈴鹿 ST1000 トップ争い
2022全日本ロード第8戦鈴鹿 ST1000 トップ争い

 来る2023年シーズンも渡辺は、Astemo Honda Dream SI RacingからST1000クラスに参戦。今度は3連覇を目指すことになる。

「2022年は“勝つことの楽しさ”を再認識させてもらったシーズンでした。チームの力を示すことができましたし、2023年は2022年以上の走りと内容で3連覇を目指します!」

 2023年は、さらなる激戦が予想されるST1000クラス。渡辺にとって厳しいシーズンになりそうだが、ファンにとっては、おもしろいシーズンになるだろう。今から開幕戦が楽しみなところだ。

2022全日本ロード:Astemo Honda Dream SI Racing
2022全日本ロード:Astemo Honda Dream SI Racing
2022全日本ロードST1000:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022全日本ロードST1000:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022全日本ロード ST1000王者:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)
2022全日本ロード ST1000王者:渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)