もっと詳しく

 16日間、8500kmを競うダカールラリーが閉幕した。世界一過酷なラリーとしても知られるダカールラリー。2023年はサウジアラビアで開催され、トヨタが日本勢としては多くの功績を収めた。市販車開発にも大きな影響を与えるダカールラリーを振り返る!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ

■圧倒的なハイラックスの性能と進化

史上最強のハイラックス「T1+」。時には100mレベルの高さの砂壁を登りきる
史上最強のハイラックス「T1+」。時には100mレベルの高さの砂壁を登りきる

 2023年はTOYOTA GAZOO Racingから3台のGRダカールハイラックスT1+がワークスとして出場。ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組が昨年大会に引き続き2連覇と偉業を達成した。

 アル-アティヤ/ボーメル組はステージ3で首位に立ったあとは、一度もその座を譲ることなく、2位に1時間以上の差をつけての優勝を達成。ベテランのジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組が4位、ダカールラリー3度目の挑戦であるヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組が5位フィニッシュとなった。

ダカールというと砂漠というイメージが多いが岩場などもステージにある
ダカールというと砂漠というイメージが多いが岩場などもステージにある

 3台そろっての上位入賞はやはりハイラックスの勝負強さを見せつけたところ。ダカールラリーに使われるハイラックスは「T1+」と呼ばれるモデル。心臓に3.5LのV6ツインターボを搭載。これはランクル300と同様のエンジンとなる。

 2022年にデビューした「T1+」は2シーズン目を迎えてさらなるブラッシュアップが加えられている。これが意味するものはハイラックスを鍛え、そしてランクル300の心臓を鍛えるということ。

 8500kmのとてつもない酷路で全開で走り続けるダカールラリーを走り切ることはハード面での開発にも大きな成果になるし、ソフト面でも「ダカールラリーで鍛えた」という称号は世界的に大きな実績になることも忘れてはならない。

■ランクル開発ドライバーがダカールに挑む意義

トヨタオートボデーのランクル300。市販車に近いクラスで出場している
トヨタオートボデーのランクル300。市販車に近いクラスで出場している

 今回のダカールラリーにはトヨタボデー(トヨタ車体)から2台のランクル300が出場し、市販車部門で10連覇を達成した。日本人ではトヨタ車体の社員でもある三浦昴選手が参戦しており、三浦選手は市販車のランクルを開発するドライバーでもある。

 今回は三浦選手の駆る246号車は第1ステージでの横転という大きなアクシデントもあったが、メカニックたちの修復により修理をして再始動。見事2位完走をしている。横転後に三浦選手は後半戦の展望をトヨタに向けて下記のようなメッセージを送ったという。

市販車部門V10を達成したトヨタ車体。ランクル80から続く勝利をランクル300に繋げた
市販車部門V10を達成したトヨタ車体。ランクル80から続く勝利をランクル300に繋げた

=========

 ランクルはどこへでも行き、そして、帰って来られるクルマ……、まさに“そんなランクル”に助けられた前半戦でした。今年のダカールは本当に厳しく、全てが順調に進んでいるわけではありませんが、そんなラリーだからこそ、ランクル300を鍛えるためにふさわしい舞台になっていると思います。

 後半戦まだまだ難しいステージがありますが、ここまで来たら“とことん難しいステージ来い!”と思っています。

 そんなステージこそ、ランクル300のポテンシャルを発揮するチャンスだと僕たちは信じていますので、後半戦、改めて集中して挑みたいと思います。

=========

■豊田社長のコメントがランクル/ハイラックスユーザーには誇らしい!!

歓喜の瞬間を迎えたハイラックス。世界中にユーザーを持つこのハイラックスの優勝は、エンジンを共にするランクル300ユーザーにも誇らしいものだ
歓喜の瞬間を迎えたハイラックス。世界中にユーザーを持つこのハイラックスの優勝は、エンジンを共にするランクル300ユーザーにも誇らしいものだ

 トヨタとしてはワークスであるGRハイラックスの総合優勝、そして関連会社のトヨタ車体の市販車部門10連覇、ハイブリッドトラックで完走した日野自動車など圧倒的な結果となった。下記に豊田章男社長のコメントが届いたので紹介しよう。

=========

トヨタ自動車(株) 代表取締役社長 豊田章男:

 TOYOTA GAZOO Racingの3台のハイラックス、チームランドクルーザー・トヨタオートボデーの2台、そして日野チームスガワラの“HINO600”、すべてが16日間のダカールラリーを走り切りました。

 6台のチームの皆さま、8500Kmの厳しい道をおつかれさまでした! ファンの皆さま、応援いただきありがとうございました! アル-アティヤ選手、ボーメル選手は、2年連続の総合優勝おめでとうございます!

写真が映えすぎるほどの絶景だが、砂の山を登る際は垂直にも思えるような断崖絶壁だ
写真が映えすぎるほどの絶景だが、砂の山を登る際は垂直にも思えるような断崖絶壁だ

 長く厳しいダカールの道では“乗りやすいクルマ”でないと勝つことができません。ダカールに挑み続けることでハイラックスは“もっといいクルマ”に鍛えられていきます。ハイラックスを鍛えてくれてありがとう!

 チームランドクルーザー・トヨタオートボデーの皆さん、市販車クラスV10おめでとうございます! バソ選手、ポラト選手、クラス優勝おめでとう! 三浦選手、リシトロイシター選手は横転もあってV3ならず……。少し残念でしたが、ランクル300 GR-Sでの初ダカールを走り切ってくれてありがとうございました! 横転したランクルを1日で修理したメカニックのみんなの頑張りにも感謝しています。メカニックのみんなも本当におつかれさまでした!

 ランクル300(量産車)の開発ドライバーも務める三浦選手が、こんな気持ち(前出の三浦選手のメッセージ)でダカールに挑んでくれている……、ランクルはもっともっといいクルマになっていけると心から思えました。

 チームランドクルーザー・トヨタオートボデーが、来年もっと安心して走れるよう我々トヨタ自動車も“もっといいクルマづくり”を続けます。チームランドクルーザー・トヨタオートボデーのみんなには「来年も、もっと難しいステージ来い!」と思いながら、また次の挑戦に向かっていってほしいと思っています。

 V11そしてV12に向けて“一緒に”がんばりましょう!

=========

【画像ギャラリー】圧倒的王者感!! 世界最強ハイラックスの雄姿に刮目せよ(15枚)画像ギャラリー

投稿 新型プラドにも好影響!? ダカールラリーでハイラックス連覇の快挙……そこに隠れるトヨタの「もっといいクルマづくり」自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。