【F1チーム別技術レビュー:メルセデスW13】ポーパシングに端を発する多数の難題をもたらした基本コンセプト

 F1技術レギュレーションが大幅に変更された2022年に主要チームが導入したマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが評価、それぞれの長所・短所、勝因・敗因について分析した。レッドブルRB18技術レビュー(1) と(2)フェラーリF1-75 に続く今回は、メルセデスW13に焦点を当てる。

2023年F1新車発表スケジュール:復活を目指すメルセデス、新型マシン『W14』を2月15日に発表へ

 メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チームは、2023年シーズンを戦うマシン『W14 E PERFORMANCE』を2月15日(水)に発表すると明らかにした。

 2014年から2021年までコンストラクターズ選手権を8連覇したメルセデスは、新しい技術規則が導入された2022年シーズンも大きな期待を背負っていた。ところがメルセデスはシーズン序盤からマシンが上下動するポーパシングに悩まされ、レッドブルやフェラーリに後れをとった。

2022年シーズンは「序盤に現実を直視しなければならなかった」とハミルトン。F1未勝利に終わるもチームの努力に感謝

 メルセデスのルイス・ハミルトンは、2022年シーズンは2007年のF1デビュー以来最も不振なシーズンを送ったものの、F1を去る準備はまだできていないという。

 ハミルトンは少なくとも1回のポールポジションとレース優勝をどのシーズンでも獲得してきたが、その記録は2022年で途切れてしまった。メルセデスは2022年のシャシーの問題を克服するのに苦戦していたのだ。つまり、ハミルトンは2021年に信じられないような接戦の末にマックス・フェルスタッペンに敗北し、わずかのところで8度目の戴冠を逃した1年後に、チームメイトのジョージ・ラッセルよりも順位を落としランキング6位となってしまったということだ。

ラルフ・シューマッハー、甥ミックのメルセデスF1加入を喜ぶ「このような状況下では最適な解決策だった」

 ラルフ・シューマッハーは、甥のミックが2023年にメルセデスと契約を交わしたことに大いに賛成しており、チームとドライバー双方にとってウィン・ウィンの状況だと主張している。

 ミック・シューマッハーは2年間ハースで過ごしたが、2023年のレースシートを得られず、メルセデスと契約した。23歳のミックは、メルセデスの公式リザーブドライバーとして2023年シーズンすべてのF1レースに同行するが、ブラックリーのチームのシミュレーターを使用した開発作業も行う予定だ。

トト・ウォルフ、メルセデスのフォーミュラE撤退理由について“投資利益率の小ささ”を挙げる。F1へのリソース投入に集中

 メルセデスのモータースポーツを統括するトト・ウォルフは、メルセデスのフォーミュラE撤退の理由について、テレビ視聴数の少なさに続き、投資利益率の低さを挙げた。

 メルセデスはフォーミュラEに3シーズン参戦し、この2年は連続してニック・デ・フリースとストフェル・バンドーンとともにタイトルを獲得した。

【独自ランキング:2022年F1トップ10ドライバー】2位ルイス・ハミルトン/ワーストシーズンに見せた献身と真価

 2022年F1シーズンを通して、毎戦全20人のドライバーの評価/採点を行ったベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、シーズン全体を振り返り、独自の視点で2022年のトップ10ドライバーを選出した。10人のドライバーについての彼のレビューを添えて、カウントダウン方式で10位から1位までを紹介していく。

グラウンドエフェクトカー導入で苦戦。マシン特性ゆえに改善が遅れ、1勝に終わったメルセデス/2022年F1戦力分析(4)

 新たな技術規則が導入され、前年までとはまったく異なるマシンが誕生した2022年シーズンのF1。マシンの特徴やシーズン中のアップデート、ドライバーのパフォーマンスなどから、各チームの戦力を振り返る。第4回となる今回は、コンストラクターズ選手権3位のメルセデスだ。

メルセデスF1の“柱”としてチームを支えたハミルトンを代表が称賛「みんなを励ましモチベーションを高めた」

 2022年シーズンのメルセデスF1に課題が山積みとなるなか、ルイス・ハミルトンがいかに「称賛に値する」やり方で仕事に取り組んだかについて、トト・ウォルフが賛辞を送った。ハミルトンはチームの「柱」となって活躍し、往事のミハエル・シューマッハーを彷彿させたという。

 メルセデスのハミルトン、そしてチームメイトのジョージ・ラッセルは、シーズン開始直後からライバルの後塵を拝した。新世代マシンの『W13』が慢性的な課題を抱えていたからだ。マシンの問題に対して、ラッセルは自身できる限りの努力をすることになった。一方、ハミルトンはシーズン序盤からその力量を買われ、チームを苦境から脱出させる試みとして、クルーたちと協力して試行錯誤しながらマシンの設定を詰め、変更を行う役割を与えられた。

【2022 F1新時代元年の敗者の理由(2)メルセデス】テスト制限が大きな足枷に “信頼性が高すぎる”PUは深刻な懸念材料

 2022年、F1技術レギュレーションが一新されるにあたり、各チームの序列がリセットされ、新たな戦いが見られることが期待された。結果的にトップグループではレッドブルが独走し、フェラーリとメルセデスは大差で敗れることになった。なぜ彼らは大敗したのか。また、中団以下のチームは、なぜ上位争いに挑むチャンスをつかめなかったのか。その背景を、F1ジャーナリスト、サム・コリンズ氏が分析した(全3回)。「第1回フェラーリ:過去最大級のパワートレインの飛躍とリスク」 に続く今回は、メルセデスに焦点を当てた。

【独自ランキング:2022年F1トップ10ドライバー】4位ジョージ・ラッセル/ハミルトンの後継者にふさわしい実力の持ち主

 2022年F1シーズンを通して、毎戦全20人のドライバーの評価/採点を行ったベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、シーズン全体を振り返り、独自の視点で2022年のトップ10ドライバーを選出した。10人のドライバーについての彼のレビューを添えて、カウントダウン方式で10位から1位までを紹介していく。