デイトナ優勝のアキュラARX-06、レース前の連続走行は最長で「4、5時間だった」とHPD社長

 ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)社長のデビッド・ソルターズは、トラックテストでの『アキュラARX-06』のこれまでの連続走行時間は、ワン・ツー・フィニッシュを果たしたデビュー戦デイトナ24時間レースを前に「4、5時間」であったことを明らかにした。

 1月28~29日にアメリカ、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦に参加した4社のLMDhメーカーのうち、アキュラはこのプラットフォームのローンチシーズンに向けて、24時間または36時間の耐久テストを行わなかった唯一のブランドであった。

MSRアキュラ、ギヤボックスに問題抱え薄氷のデイトナ勝利「ブローするまで走らせることにした」

 新規定に基づき開発されたLMDhマシンがGTPクラスにデビューを果たした2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レース。4メーカーによって争われた新時代開幕戦を制したメイヤー・シャンク・レーシングのオーナー、マイク・シャンクは、レースのほぼ4分の3にわたって続いていたギヤボックスの温度の問題があったにも関わらず、60号車アキュラARX-06を完走させることができたのは「ものすごくラッキーだった」と振り返った。

ホモロゲ登録後も改良は続く。アキュラ、LMDhソフトウェアの“継続的な開発”で信頼性が向上/IMSA

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とデイトナ24時間レースのディフェンディングチャンピオンであるメイヤー・シャンク・レーシング。同チームのドライバーとチームオーナーは、アキュラARX-06のソフトウェアについて、ホモロゲーション取得後も「継続的な開発」が行われていると語った。

 LMDhのライバル陣営と同様に、アキュラの新型プロトタイプマシン『アキュラARX-06』はホモロゲーションによって5シーズンにわたって開発に制限が掛かる。これは、その間にメーカーやチームが物理的な設計変更、アップグレードを行うことができないことを意味する。

LMDhのレースを左右する新要素『低温用タイヤ』と『ダブルスティント』【デイトナ24時間の戦い方】

 2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースにおいて、GTPクラスにエントリーするチームは、タイヤをダブルスティント(2スティント連続でのタイヤ使用)することが求められる。この新しいタイヤセット数制限は、レース戦略に「新たな変数」を加えることになると、GTPドライバーとミシュランは語っている。

HPD社長がマイケル・アンドレッティの“野望”に反応。アキュラLMDhでのWEC参戦は「ホンダ次第」

 北米でホンダのモータースポーツ活動を担うHPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)の社長が、新型LMDh車両『アキュラARX-06』でWEC世界耐久選手権に参戦する可能性について「アキュラとHPDの立場に変わりはない」と改めて認めた。WEC参入可否はグローバルな、つまり日本の『ホンダ』の判断になるという。

 これは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦するウェイン・テイラー・レーシング(WTR)・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートの新共同オーナーであるマイケル・アンドレッティが、「今後数年のうちに」WECハイパーカークラスに参入したいという野望を表明したことを受けての、HPD側の反応だ。

アキュラ陣営のWTRと組んだマイケル・アンドレッティ、WEC進出が目標と明言「欧州にも拠点設ける」

 チームの共同オーナーであるマイケル・アンドレッティによれば、現在IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にアキュラARX-06のファクトリー車両で出場しているウェイン・テイラー・レーシング(WTR)・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートは「今後数年以内に」WEC世界耐久選手権に進出することを目標にしているという。

 アンドレッティは1月22日、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで「それは、秘密ではない」と記者団に対し語り、世界規模へとプログラムを拡大する野心を表明した。

アキュラがLMDh新時代初戦のポールポジションを獲得。僅差でポルシェが続く/デイトナ24時間予選

 1月22日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで、2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースの予選が行われ、メイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-06(トム・ブロンクビスト/コリン・ブラウン/エリオ・カストロネベス/シモン・パジェノー)が最速タイムを記録。WEC世界耐久選手権と共通の新規定『LMDh』が導入された2023シーズン、記念すべき最初のポールポジションを獲得した。

アキュラがワン・ツー発進/セット数制限が緩和/“戦略的”クラス変更etc.【デイトナ24時間テスト&予選直前Topics】

 1月28〜29日に決勝レースが行われる、2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦、デイトナ24時間レース(ロレックス24・アット・デイトナ)。決勝のレースウイークに先立ち、前週の20〜22日にかけては開幕前公式テストの『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』が行われ、その最終日には決勝スターティンググリッドを決する予選のセッションも予定されている。

 新たに4メーカーのLMDh車両が顔をそろえて耐久レース新時代の幕開けを飾るこのテストウイークに向けた各種トピックスを、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイのパドックからお届けする。

■走行初日はメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-06が首位

耐久テストなしでデイトナ24時間にデビューするアキュラARX-06。頼りにするのは“チーム力”?

 ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)社長兼テクニカルディレクターのデビッド・ソルターズによれば、アキュラは1月末のデイトナ24時間レースに向けてARX-06の耐久テストを行っていないため、ふたつのタイトル獲得経験チームの強みを活かすことになる、という。

■長距離連続走行はなくとも、パーツへの負荷はかけている

WTR、新型アキュラARX-06のカラーリングを公開。デイトナ24時間レースでデビュー

 ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートは1月11日、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023年シーズンに投入する10号車アキュラARX-06のマシンカラーリングを公開した。

 従来のDPiからハイブリッドマシンのLMDhカーを用いるGTPへとトップカテゴリーが置き換えられる新シーズンに向け、お馴染みのリッキー・テイラーとフィリペ・アルバカーキのコンビに、助っ人のルイ・デレトラズ、デイトナ24時間で第4ドライバーを務めるブレンドン・ハートレーを加えた4人体制で開幕戦に臨むWTR・ウィズ・アンドレッティチーム