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新型プリウス「愛される4ドア」の始祖はカリーナEDにあると見た!!

 いよいよ、2023年1月10日より(シリーズパラレルハイブリッド車が)発売開始となった、新型プリウス。先代までは「おじさんくさい」イメージもあったプリウスだが、新型のスポーティでスタイリッシュなデザインをみて、「悪くない」と思っている「ヤング」な方も多いと思う。

 思い返せば、トヨタには過去にも「カッコいいから欲しい」と思わせる、大ヒット4ドアモデルがあった。1985年に登場した、初代「カリーナED」だ。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA

驚くほど低い全高で大ヒットした「カリーナED」

 1985年8月に登場した、トヨタ「カリーナED」。同時に登場した、4代目「セリカ」と同じプラットフォームを用いた初代カリーナEDは、全長4475mm×全幅1690mm×全高1310mmと、全高が驚くほど低い4ドアハードトップとして登場した。

 車名に「ED(エキサイティング・ドレッシー)」とつくように、センターピラーレスのキャビンエリアはすっきりとクリーンな印象で、水平基調のベルトラインも、4ドアながら実にスポーティで品のあるデザイン。この新鮮なデザインが当時の若者に大いに支持され、初代カリーナEDは、たちまち大ヒットとなった。ちなみに、この初代カリーナEDの全高は、量産4ドア車としては世界で最も低い全高だ(新型フェアレディZの1,315mmより低い)。

初代カリーナED。全長4475mm×全幅1690mm×全高1310mmと、全高が驚くほど低い4ドアハードトップとして登場した
初代カリーナED。全長4475mm×全幅1690mm×全高1310mmと、全高が驚くほど低い4ドアハードトップとして登場した

 その後1989年に2代目へと切り替わったカリーナED。この代から姉妹車として「コロナEXiV(エクシヴ)」が登場した。低い車高の4ドアハードトップという特徴は継承しつつ、出力を向上させたエンジンやデュアルモード4WS(電子制御4輪操舵)、メカニカルセンシングSRSエアバッグ、電子制御サスペンション「TEMS」など、贅沢なアイテムが盛りだくさんの仕様も設定された。

 3代目は1993年10月に登場。従来のスポーティなスタイリングを継承しつつ、ボディを全幅1740mmの3ナンバーサイズに拡大。さらにホイールベースを55mm、車高を10mm拡大して室内スペースを広げた。ただ、車体剛性向上のためにセンターピラーを設けピラードハードトップに変更されている。カリーナEDは1998年4月、この3代目をもって終了となった。

2代目カリーナED。4WSなどメカニズムにもこだわりがあった
2代目カリーナED。4WSなどメカニズムにもこだわりがあった

おじさん臭くないスポーティさと価格の安さがウケた

 カリーナEDは、それまでの「カリーナ」がもっていた、熟年層の支持が中心の4ドアセダンという印象を覆し、若々しい、スペシャルティ色の強いスタイリングと走りが特徴だった。4ドアでありながら、クーペのように低い全高と狭いグラスエリア、リッチな横一文字のリアガーニッシュ、品のある内外装というパッケージングで、4ドアセダンのウリである「実用性」を犠牲にしてまでも、この低さ、このスタイリングにこだわったことが、当時の若者の心を鷲掴みし、大ヒットにつながったのだろう。

 当時は「ハイソカーブーム」の真っただ中で、マークII三兄弟に代表されるような高級車が、爆発的な人気となっていたが、カリーナEDは、これらのアッパーミドルクラスより100万円近く安かったことも、多くの若者に支持された理由であろう。

カリーナEDはセンターピラーのない「ピラーレスハードトップ」であった。後席の居住性は良くなかったが、贅沢な雰囲気と個性が楽しめた
カリーナEDはセンターピラーのない「ピラーレスハードトップ」であった。後席の居住性は良くなかったが、贅沢な雰囲気と個性が楽しめた

「エコだから買う」から「カッコいいから買う」に

 90年代に入ってセダン人気が一気に落ち込んでしまったことでカリーナEDも終了してしまったが、低い全高にこだわったことで空前のヒットを記録したことは、セダンにおけるデザインに多大な影響を与えたと思う。そしてこの経験こそが、新型プリウスのデザインの原点となっているのではないかと考えられる。「クルマは低いほどカッコ良い」とは限らないが、計算されつくした低さは、当時も今も、やはりカッコ良く思える。

 初代プリウスは斬新なデザインではあったものの、「カッコいいから買う」というクルマでもなかった。しかし新型プリウスは先進性や低燃費性というプリウス最大の特徴も当然に織り込みながら、低い全高によってデザインだけでも欲しいと思わせる魅力を持つようになった。しかもサイドビューの迫力を増すために、タイヤを19インチに大径化したうえで、燃費のために195幅の細幅化までするこだわりよう(タイヤとフェンダーの隙間も狭い!!)。この「感性に訴える」デザインは歴代プリウスにはなかったものだ。

 このことは、カリーナEDがリリースされた時と同様のインパクトにも感じられる。カリーナEDのデザインとパッケージングがセダンの価値観を変えたように、「エコカーの原点」として定着したプリウスのイメージを、この新型プリウスならば変えていくだろう。

新型プリウスの「モノフォルムシルエット」。歴代から継承するプロポーションであるが、新型ではそのシルエットがより際立って斬新に見える
新型プリウスの「モノフォルムシルエット」。歴代から継承するプロポーションであるが、新型ではそのシルエットがより際立って斬新に見える

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 この新型プリウス(のデザイン)によって、SUVやハイトワゴンの人気が覆るようなことはないだろうが、プリウスにこのデザインが与えられた意味は大きい。はたして新型プリウスは、カリーナEDのように、時代をつくるモデルとなるのか!?? 今後の展開が非常に楽しみだ。

【画像ギャラリー】これなら欲しい!! エモーショナルなデザインのトヨタ新型「プリウス」(14枚)画像ギャラリー

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