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超物価高時代を生き抜くための愛車延命術!! 愛車に乗り続けるための5つのNG行為

 昔のクルマと違い、少しメンテナンスを怠っても壊れることのない、昨今のクルマ。ただ、メンテナンスを怠ったことによるダメージは、確実にクルマに蓄積されていき、気づいた時には、もう手遅れ、なんてことにも。人間(の心と体)と同様に、いつまでも元気でいるためには、クルマも定期的なメンテナンスが必要なのです。

 愛車の元気を奪う、やってはいけない5つのNG行為をご紹介します。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_buritora
写真:HONDA、Adobe Stock、写真AC

オイル交換は、近年交換サイクルは長くなったけど、交換しなくていいわけではない!!

 90年代までは、新車ディーラーでも「5000kmごとに交換するように」といわれていた、クルマのエンジンオイルですが、近年は、エンジン本体やエンジンオイルの耐久性が向上したことで、オイルの消耗・劣化スピードが抑えられたことなどによって汚れにくくなり、以前よりも交換サイクルは長くなりました。ただ、注意しなければならないのは、「汚れにくくなった」だけであり、「汚れなくなった」わけではないこと。交換サイクルは長くなっても、交換は必須です。

 ただ、エンジンオイルは、交換時期を越えても、(敏感な人はノイズがうるさくなったかなと感じると思いますが)クルマに目に見えた変化がないため、先延ばしにしがち。ただ、その間もオイルは確実に汚れていき、その汚れは確実に、エンジンのパフォーマンスや燃費を悪化させていきます。クルマや使用環境などによって、汚れ度合は変わってきますが、オイル交換は、やはりメーカー推奨のタイミングで交換することが必要です。

 ちなみに、「あまり距離を乗ってないからオイル交換も必要ない」と考えている人もいるようですが、それは大きな間違い。エンジンオイルは、エンジンオイルが適温に温まる前に、エンジン始動・停止を繰り返すような使い方をしていると、汚れやすくなります。

交換サイクルが長くなったエンジンオイルだが、汚れなくなったわけではない。定期的なオイル交換はやはり必要(PHOTO:Adobe Stock_Chico)
交換サイクルが長くなったエンジンオイルだが、汚れなくなったわけではない。定期的なオイル交換はやはり必要(PHOTO:Adobe Stock_Chico)

ボディの傷は、放置するとクルマの故障につながる!??

 傷が深く、鋼板の地肌が見えていたり、パネルが切れるような傷がついてしまった場合、いずれサビに進展する可能性があります。一度サビが発生してしまうと、放っておけばサビはどんどんボディを侵食、腐食させていき、ボディのみならず、サスペンションなどの足回りにまで及んでしまうことにも。

 サビによって、走行に関わるパーツが腐食、破損してしまうことになれば、もう手遅れ。ボディの擦り傷のうちに修理しておけば、数万円で済んだ出費が、数十万、数百万という出費に膨らんでしまうことになってしまいます。愛車のボディに深い傷がついてしまったら、早めに板金屋さんに相談するようにしてください。

「Pレンジ」は「パーキングブレーキ」のあと!!

 近年の新型車では、電動パーキングブレーキの普及で、自動でパーキングブレーキをかけてくれるクルマが多くなっていますが、まだまだ、手引き式もしくは足踏み式のパーキングブレーキのクルマに乗っている人も多いはず。クルマを止める際、まずはPレンジにいれて、そのあとパーキングブレーキをかける人が多いようですが、実はこれ、愛車を痛める行為なのです。

 Pレンジは、トランスミッション内部の歯車に爪(パーキングロックポール)がかかり、シャフトがロックされるので駆動輪は動かなくなりますが、タイヤの回転をロックするわけではないので、Pレンジに入れたあと、ブレーキペダルから足を離すと、わずかにクルマが動いてしまいます。例えば、坂道などでPレンジのみを入れた状況だと、パーキングロックポールだけがクルマの前後移動を抑制することになり、トランスミッションは本来持っていない役割をすることになってしまうのです。

 正しい操作順は、「駐車場所でブレーキペダルを踏んだまま、パーキングブレーキをかけた後に、Pレンジに入れ、ブレーキペダルから足を離す」です。発進時はその手順の逆で、「ブレーキペダルを踏んだまま、Pレンジを解除し、パーキングブレーキを解除して、ブレーキペダルを徐々に離す」です。

電動パーキングブレーキは、自動でかかるものが多いが、手動のパーキングブレーキの場合は、パーキングブレーキをかけたあとに、Pレンジに入れるのが、正しい順序だ
電動パーキングブレーキは、自動でかかるものが多いが、手動のパーキングブレーキの場合は、パーキングブレーキをかけたあとに、Pレンジに入れるのが、正しい順序だ

ハンドルの据え切りは、タイヤのみならず、ステアリングやサスペンションにも負担をかける

 駐車場などでクルマをいったん停止させたあと、またハンドルを回してしまう「ハンドルの据え切り」は、何気なくやってしまう操作のひとつですが、これもクルマの劣化を早める行為のひとつです。

 重量1トンのFFコンパクトカーの場合でも、フロント1輪には約300kgの重みがかかっています。アスファルトか、砂利道か、地面の種類でダメージの大きさは変わってきますが、停止状態でハンドルの据え切りを繰り返すことは、300kgでタイヤを地面に擦りつけていることであり、消しゴムをねじるように地面へ押し付けてぐりぐりすれば、消しカスが出てくるように、トレッド面を削っている動作なのです。

 また、タイヤのみならず、ステアリング系やサスペンションのブッシュなどにも、わずかながらダメージが蓄積されていきますので、長い目で見ると、足回りにも負担がかかってしまっています。停車や駐車の際には、わずかにクルマを動かしながら、ハンドル操作をするテクニックを身につけましょう。

駐車の際、クルマ止めにタイヤを密着させてはいけない

 駐車場にクルマを止めるとき、クルマ止めがある場合は「クルマ止めにぶつかるまで下がる」のがマナー。しかし、クルマ止めに強く押し付けた状態のまま、駐車してしまうのは、クルマの寿命を縮めるNG行為です。

 クルマ止めに強く押し付けることで、タイヤに余計な圧力がかかり、タイヤのトレッドやサスペンションのブッシュ系にストレスをかけてしまいます。コンビニに立ち寄ったときなどの短い時間ならばまだしも、週末しかクルマを乗らないかたなどは注意が必要です。

 ちなみに、タイヤがもつ垂直方向の剛性(縦バネ)はだいたい250N/mm程度(平均的な225/55R17サイズの場合)、サスペンションのブッシュは2000~3000N/mmと、タイヤのゴムのほうが桁違いに柔らかく、タイヤはわりと早い段階でダメージを受けてしまいます。

 タイヤのトレッドにできたフラットスポットやくぼみは、次にクルマを動かしたときに、周期的な振動を発生することがあります。数kmほど走れば解消されますが、毎回車止めに押しあてて止めているとダメージが蓄積されていきます。クルマ止めがある場合は、一度クルマ止めにゆっくり当てたあと、少しだけ前進(前進駐車の場合は後退)して、クルマ止めから離すようにしておけば、タイヤにかかる負荷を軽減することができます。

一度クルマ止めにゆっくり当てたあと、少しだけ前進(前進駐車の場合は後退)して、クルマ止めから離し、タイヤにかかる負荷を軽減させよう(PHOTO:Adobe Stock_xiaosan)
一度クルマ止めにゆっくり当てたあと、少しだけ前進(前進駐車の場合は後退)して、クルマ止めから離し、タイヤにかかる負荷を軽減させよう(PHOTO:Adobe Stock_xiaosan)

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 人間の健康診断と同じで、クルマも早め早めに不具合を見つけ出し、重症にならないうちに手当をするほうが、結果的に安く短時間で済ませることができます。それほどクルマに執着がない人であっても、クルマの寿命を縮めたいと思う人はいないはず。クルマの程度の良さは、下取りの時の査定対象にもなっていますので、定期的なメンテナンスは怠らないようにすることをおすすめします。

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