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 シボレーは1月27日、カスタマー向けの新型GT3カー『コルベットZ06 GT3.R』を、レースデビュー予定のちょうど1年前にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで公開した。

 FIA GT3レギュレーションに適合するように設計された、シボレー初のレーシングモデルは、GTE規定車である『コルベットC8.R』に代わってゼネラルモーターズ(GM)ブランドのフラッグシップスポーツカーとして世界的に使用されることになる。

 来年2024年のデイトナ24時間レースが、Z06をベースにGMのコンペティション・モータースポーツ・エンジニアリングと、コルベット・レーシングを運営しているプラット・ミラー・エンジニアリングが共同開発したミッドシップエンジンGT3.Rのレースデビューの場となる予定だ。

 シボレーは、2024年のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップに、新型コルベットZ06 GT3.Rが「少なくとも4台」、GTDプロとGTDの両クラスに「混在して」で参戦することを表明している。また、2台のシャシーをWEC世界耐久選手権とル・マン24時間レースのためにヨーロッパに送り出す計画も進行中であるという。

 これらのプログラムとともに、シボレーはファナテック・GTワールドチャレンジ・アメリカ・パワード・バイ・AWSやIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ・パワード・バイ・ピレリといった他のGT3選手権のチームによって「(ブランドが)代表される機会を評価している」と説明した。

 GMのスポーツカーレース担当ゼネラルマネージャーであるローラ・ウォントロップ・クラウザーは昨年10月、このクルマの最初の「ボリュームの大部分」は北米で見られるだろうとSportscar365に対して語っている。

 シボレーのファクトリーモータースポーツ事業であるコルベット・レーシングは、来年には北米のレース会場にパーツトラックを派遣し、プロジェクトの最初の2年間で他の地域にも拡大する「完全な顧客サポートプログラム」を確立する計画である。

 また、コルベット・レーシングは、専任のエンジニアによりカスタマーチームを支援する予定だ。

 GMモータースポーツ・エンジニアリング・コンペティションの責任者であるマーク・スティローは、「コルベットZ06 GT3.Rは、シボレーとコルベット・レーシング・プログラムの新境地を開くものである」と述べた。

「このカスタマー志向のレースカーは、コルベット・レーシングの長い成功の歴史から学んだことに加え、コルベットのプロダクションデザイン、エンジニアリング、パワートレインの各チームの専門知識を活用している」

シボレー・コルベットZ06 GT3.Rは、現行車“C8”のレーシングモデルとしては『C8.R』、『C8.R GTD』に次ぐ3つめのモデルとなる
シボレー・コルベットZ06 GT3.Rは、現行車“C8”のレーシングモデルとしては『C8.R』、『C8.R GTD』に次ぐ3つめのモデルとなる
シボレー・コルベットZ06 GT3.Rのデビュー予定は2024年のデイトナ24時間レースだ
シボレー・コルベットZ06 GT3.Rのデビュー予定は2024年のデイトナ24時間レースだ

■エンジン内部パーツの約70%を市販用ユニットと共有

 GMのスポーツカーレーシング・プログラムマネージャーのクリスティ・バグネは、「我々の顧客をサポートすることは、私たちが多くの時間と努力を注いでいる分野だ」と付け加えた。

「今回が初のカスタマーGT3提供ということで、多くのカスタマーとミーティングを行い、これまでの経験から学び、サポートの観点から何が重要であるかを見つけ、彼らの期待に応えるプログラムを考えてきた」と同氏は語っている。

 2021年11月に発表されたように、コルベットZ06 GT3.Rは、市販のZ06に由来する5.5リッター・フラットプレーンクランクシャフトを採用したDOHC V8エンジンを搭載する。シボレーによると、このGT3エンジンはクランクシャフト、コンロッド、シリンダーヘッド、燃料噴射装置、コイル、ガスケットなど部品の約70%をロードカー用ユニットと共有しているという。

「レースは我々の市販エンジンの開発において重要な役割を果たし続けている」と語るのは、シボレーのパフォーマンス&レーシング推進チームのディレクターであるラス・オブレンズ。

「C5-RからC7.Rまでのプログラムを通じて、効率、素材、軽量化など、市販およびレース用V8エンジンの開発に役立つ貴重な教訓を得ることができた」

「コルベット・レーシングから生産技術へ、そしてその逆方向への情報の流れは高速で信頼性が高く、効率的なレースおよびストリートカー用エンジンの開発に役立っているんだ」

 コルベットZ06 GT3.Rのシミュレーターテストは昨年初めに始まり、9月に最初のオントラック・シェイクダウンが実施された。シボレーは、2023年の第3四半期にこの新型GT3カーを顧客に提供する予定だ。

 ウォントロップ・クラウザーは、「私たちはこれまでのトラックテストプログラムの結果にとても満足しています」と述べた。

「さらに励みになるのは、シミュレーターでのセッションと実際にサーキットを走った際に発見されているものと相関性があることです」

「これは開発プロセスに自信を与えてくれる、もうひとつの新たなレベルの検証です」

2024年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では少なくとも4台が登場するとみられている新型シボレー・コルベットZ06 GT3.R
2024年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では少なくとも4台が登場するとみられている新型シボレー・コルベットZ06 GT3.R
スワンネック型のリヤウイングステーを採用するシボレー・コルベットZ06 GT3.R
スワンネック型のリヤウイングステーを採用するシボレー・コルベットZ06 GT3.R
シボレー・コルベットZ06 GT3.Rは、市販のZ06に由来する5.5リッター・フラットプレーンクランクシャフトを採用したDOHC V8エンジンをリヤミッドに搭載する
シボレー・コルベットZ06 GT3.Rは、市販のZ06に由来する5.5リッター・フラットプレーンクランクシャフトを採用したDOHC V8エンジンをリヤミッドに搭載する
シボレー・コルベットZ06 GT3.Rのリヤエンド
シボレー・コルベットZ06 GT3.Rのリヤエンド