もっと詳しく

 2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2で参戦を開始するアイアン・リンクス。チーム代表を務めるアンドレア・ピッチーニによれば、彼らはランボルギーニでの初レースに向けて「早く追いつこうと努力して」いるところだという。

 2022年までフェラーリのGTマシンでWEC世界耐久選手権やヨーロッパのシリーズに参戦していたアイアン・リンクスは、2024年にランボルギーニLMDhマシンを走らせる契約を結んだことにより、2023年からGTレースにおいてもランボルギーニへと移行する。

 さらにこのタイミングで、アメリカに渡ってIMSAにも参戦、そしてウラカン自体も“Evo2”パッケージへと進化するなど、イタリアをベースとするチームにとっては「すべてが新しい」のだという。

 チームは11月下旬に2台の新型Evo2をアメリカに送り、ヨーロッパではポール・リカールで2台の旧型ウラカンGT3 Evoを走らせて、メカニックやエンジニアのマシンへの習熟を進めた。

 1月上旬の新型Evo2のアメリカ到着を待つ間、チームは12月にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたIMSA公認テストに、ファクトリーカーで参加した。

 1月28〜29日に決勝が行われる第1戦デイトナ24時間では、ランボルギーニのファクトリードライバーであるミルコ・ボルトロッティ、アンドレア・カルダレッリ、ジョーダン・ペッパー、ロマン・グロージャンのGTDプロクラス・エントリーを含む、3台のマシンを走らせる予定だ(うち1台はアイアン・デイムスとして参戦)。

 最初のテストについて、ピッチー二は「クルマのデバッグをする(プログラムのミスを取り除く)良い機会だった」と語った。

「同時に、アメリカでの仕事の仕方について学ばなければならない。ピットにはガレージがない。すべての機材を作り上げなければならないんだ」

「ゼロから、3台の新しいクルマと新しい経験を始めるのは、簡単なことではなかった。チャンピオンシップ、組織、クルマなど、すべてが新しい。早く追いつこうと努力しているところだ」

アイアン・デイムスとしてGTDクラスにエントリーする83号車。アメリカのサーキットでは通常、ガレージエリアとピットエリアが別々になっている。
アイアン・デイムスとしてGTDクラスにエントリーする83号車。アメリカのサーキットでは通常、ガレージエリアとピットエリアが別々になっている。

 ピッチー二によれば、アイアン・リンクスは基本的な準備はできているものの、セットアップの詳細についてはまだ模索中だという。

「ランボルギーニとの緊密な協力関係により、マシンを走らせるために必要な情報はすべて得られている」とピッチーニ。

「セットアップの面では、これまでと同じだ。新しいパーツや電子機器、エアボックス、そしてリストリクターがひとつになった。でも、これはクルマの(Evoからの)アップグレードなんだ。フェラーリが新車でやってくるのとは違う」

「セットアップの面では、よく知られたベースから始めることができる。そこから実装して前に進んでいく。フェラーリ(488 GT3)よりも少し作業がしやすい……複雑ではない、と言えるだろう」

「我々のスタッフたちは、ゼロからクルマを作るチャンスがあった。我々は自分たちの好きなように、自分たちの好きなシステムをすべて搭載したマシンを作り上げた。タイトなタイミングではあったが、最高の形でマシンを準備することができたよ」

 アイアン・リンクスの63号車ランボルギーニは、デイトナ24時間のGTDプロクラスで予選6番手となった。83号車と19号車は、GTDでそれぞれ9番手、14番手からスタートを切る予定だ。

GTDクラスにエントリーするアイアン・リンクスの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2
GTDクラスにエントリーするアイアン・リンクスの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2

 ピッチーニは、ランボルギーニの経験が浅いことと、旧型のGT3マシンに対するBoP(性能調整)面での懸念から、レース前のGTDプロ車両の競争力の評価については「楽観的」であると述べている。

「我々にとってはすべてが新しいことなので、答えるのは少し難しい」と彼は言う。

「12月のテスト以来、BoPがどのように管理されているかを理解するのに少し苦労しているんだ。今のところ、自分たちが得たものに満足しているとは言えない」

「まだ、クルマを学んでいる最中だ。もう少し走れれば理想的だったが、これが現状だ」

「ロア(公式テスト)では、セットアップの微調整ではなく、無線システムやテレメトリーなど、すべてをうまく機能させることに取り組んだ」

「すべてのシステムが機能していることを確認した。まだ小さな問題は残っているが、うまくいくはずだと楽観視している」

「今日(金曜)から、マシンのセットアップに取りかかることができるよ」