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 2023年1月26日夕、突如として発表された豊田章男氏のトヨタ自動車社長退任。トヨタの代表取締役社長から代表取締役会長となる章男氏へ望むこととは何か。クルマ好きの一人として、また熱心なモリゾウウォッチャーとして、「日本自動車業界550万人のためにぜひお願いしたいこと」を、国沢光宏氏に伺いました。

文/国沢光宏、写真/トヨタ、ベストカーWeb編集部

■ホントは10でも100でもお願いしたいところ(笑)

突然の豊田章男社長(左)の3月末での退任が発表され、後任には佐藤恒治氏(中央)が就任し、現在の内山田竹志会長(右)は退任する
突然の豊田章男社長(左)の3月末での退任が発表され、後任には佐藤恒治氏(中央)が就任し、現在の内山田竹志会長(右)は退任する

 トヨタの社長交代についてさまざまなメディアが取り上げているけれど、大半は佐藤恒治社長新体制を含む今後のトヨタの動きについて。しかし、クルマ好きとして気になるのは、会長になった豊田章男さんの動きである。

 現在、66歳という年齢ながら、いまだWRカーで全開走りができるくらい元気。そもそも「あと10年くらい社長を続けるんじゃないか」みたいな声だって出ていた。

 豊田章男ウォッチャー(笑)としては、まだまだ暴れ回って欲しいと思っている。ご本人もそのまま隠居になることなど1000%考えていないだろう。

 ということで、会長になる豊田章男さんに一人の自動車好きとして、そして全国550万人の自動車業界の仲間として、お願いしたいことを3つ挙げてみたいと思う。いや、10でも100でもいいのだけれど、とりあえず3つのお願いにしておく。

■ひとつ目は「経団連会長」になってほしい

豊田章男さんが会長就任後、国沢氏は「財界総理」ともいえる経団連会長になることを切望。かつてのように経団連の存在感はアップすると主張
豊田章男さんが会長就任後、国沢氏は「財界総理」ともいえる経団連会長になることを切望。かつてのように経団連の存在感はアップすると主張

 まず、ひとつ目は経団連(日本経済団体連合会)の会長になること。経団連のパワーって、かつて「財界総理」とも呼ばれていたほど。皆さんが考えているよりずっと大きい。

 現在の十倉雅和会長は素敵な人ながら、いかんせん出身企業が住友化学で弱い。「改革しよう」という気構えがなく、政治家や役人と戦う意識だってないように見える。結果、経団連の存在感はかぎりなく薄くなってしまった。

 これ、豊田章男会長になる前の自工会(自動車工業界)のようなもの。会長の当番が回ってきたからと、イヤイヤ担当してました。存在感も東京モーターショーの主催くらいしかない感じ。

 が、豊田章男会長になってから550万人の仲間の代表になり、自動車産業の改革を訴えるなど動き始めた。東京モーターショーも名称を「ジャパンモビリティショー」に変更。皆さん、気合いが入っています。

 経団連だって同じ。ケツ持ちが住友化学じゃ何もできない。応援してくれる仲間だっていないです。住友化学といい関係になってもメリット少ないですから。トヨタや自動車産業が後ろにいる豊田章男さんが経団連の会長になれば、圧倒的な存在感です! 雇用や地域活性化など多くの影響力を持つし、自動車産業に協力したい企業などもたくさん出てくるに違いない。

ウーブンシティ発表時の豊田章男社長。こんな街なら今、世間を騒がせている強盗も入り込めない環境となるに違いない
ウーブンシティ発表時の豊田章男社長。こんな街なら今、世間を騒がせている強盗も入り込めない環境となるに違いない

 そういったパワーを使い、自動車を巡る不公平な税制や環境をひとつずつカイゼンしてしていって欲しい! 利権まみれの政治家や行政に任せておくとまったく進まないエネルギー対策も、さまざまな方法で取り組むよう働きかけられることだろう。エネルギー改革は待ったなしです。強盗が入り込めないから安心して住めるウーブンシティのような環境作りもお願いしたい。

■日本の自動車産業全体を引っ張る「活性剤」になってほしい!

トヨタだけでなく、自動車産業全体を引っ張る存在になってほしいというのが豊田章男さんへの国沢氏からのふたつ目のお願いだ
トヨタだけでなく、自動車産業全体を引っ張る存在になってほしいというのが豊田章男さんへの国沢氏からのふたつ目のお願いだ

 続いて、ふたつ目のお願いは「自動車産業全体を引っ張って欲しい!」というもの。章男さんの面白さって、トヨタの独占を目標にしないこと。あれほど積極的に2輪車のアピールをした自工会会長など見たことない!

 鈴鹿サーキットで行われているホンダのイベントに乗り込むなど同業他社とのコラボレーションも大好きだ。最近、日本の自動車メーカーの社長は存在感が薄くなり、活力も失いつつある。

 隠居となってトヨタ色が薄れれば、さらに突っ込んで行けるだろう。触媒のように他社の上層部を変化させていくことで、日本の自動車産業は元気になる。今までトヨタ社員に「もっといいクルマ作り」をアピールしてきたけれど、これから「もっといい日本車作り」を訴えていただきたいと思う。

 私ら自動車メディアも、トヨタ1社でなく業界全体を盛り上げるための動きなら精一杯応援したい。

■最後は「モータースポーツ」への積極的な参戦!

御年66歳の豊田章男さんがモータースポーツへトヨタ会長としてではなく、趣味としてラリーなどに参戦してほしいと国沢氏は熱望。間違いなく盛り上がる!
御年66歳の豊田章男さんがモータースポーツへトヨタ会長としてではなく、趣味としてラリーなどに参戦してほしいと国沢氏は熱望。間違いなく盛り上がる!

 最後の3つ目が「今後さらにモータースポーツに参戦してほしい」。23万人の仲間を引っ張るトヨタの社長として考えると、事故など起こしたら責任重大。会長というポジションであり、会社の業務じゃなければ素晴らしい趣味だと思う。

 スーパー耐久レースであれば完全に乗りこなせている。タイで行われたアウェーのレースでもガンガン走れていました。自分で限界を感じるまで出てほしい。

 何よりモータースポーツが盛り上がります。ラリーなら単独で走るから、さらにリスクは少ないと思う。WRCジャパンにもエントリーして欲しい。

 そして65歳以上のシニアクラスを創設し、かつての名ドライバーなど呼んで走ってもらう。ゴルフコンペの『ダブルペリア』などのハンデを取り入れれば楽しい勝負になり、大いに盛り上がると思う。私のルノーも混ぜてくださいませ。

【画像ギャラリー】自動車業界全体を引っ張る存在になる! 4月からトヨタ会長に就任する豊田章男社長にお願いしたい3つのこと(10枚)画像ギャラリー

投稿 会長になるトヨタ豊田章男氏へ熱望!! 「経団連会長になってください!!!」自動車業界550万人のためにお願いしたい3つのこと自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。