JAFによると、2020年度のロードサービスは全国で約212万件。内容別では、「バッテリー上がり」が最も多い(約73万件、構成比約35%)ですが、次いで多いのが、タイヤのパンクやバースト、エア不足などの「タイヤ関連トラブル」(約36万件、構成比約18%)。約5件に1件はタイヤに関する救援要請なのです。
「タイヤに関するトラブル」とは、パンクやバースト・空気圧不足など。パンクの原因には、釘などの鋭利なものが刺さったことによる空気漏れなどもありますし、バーストの原因には、過積載やタイヤの劣化などもありますが、タイヤに関するトラブルの多くは、タイヤの空気圧不足によるもの。空気圧が低下しているタイヤは、高速走行を長時間続けることで、タイヤのたわみが大きくなり、タイヤが発熱、その結果としてバーストしてしまうのです。
タイヤの空気圧は、できれば月に一度はチェックをしておきたいところですが、ガソリンスタンドで給油する際にチェックするのは、なかなか面倒なもの。そこで今回、自宅の駐車場で空気充填できるよう、コードレス電動空気入れを導入してみました。その使用感や注意点など、ご紹介したいと思います。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:エムスリープロダクション/イラストAC_おとーふ
写真:エムスリープロダクション、Adobe Stock
価格は5,980円
今回用意したのは、TOOGEというメーカーの電動エアコンプレッサー。価格は税込5,980円です。狭い自宅駐車場での使用を考えて、サイズはできるだけコンパクト、かつ持ち運びができて、低騒音(従来品の3分の1らしい)、優れた放熱性、自立タイプなどを決め手とし、購入しました。
気になる充填量ですが、カタログには、目安として、(バッテリー満タンであれば)乗用車のタイヤ4~6本(1~3分で1本)は可能と記載されています。タイヤの空気圧がゼロからの充填は、自宅で行うことはないですし、日常使用で減少した空気圧を補正する用途であれば、これで問題はないと考えました。付属のホースの手触りは、(剛性感はありませんが)まあまあの質感です。繰り返しの使用となると、プラスチックのノブが折れないか心配ですが、力を入れても撓むことはありません。ただし、ケーブルに付いた曲がり癖が強く、まっすぐに戻せないのが気になります。
バッテリーへの充電方法は、クルマのシガーソケットを経由、もしくはUSB経由にて充電する方式です(モバイルバッテリーからの充電も可能)。充電用のケーブルも付属されており、この辺りは別途用意することもなかったので、比較的リーズナブルに感じます。早速、USBで満充電(本体横のインジケーターで緑を確認)にしました。また、精度をチェックするため、アナログのエアゲージも別途用意しました。
ケーブルを装着して空気圧を設定し、SETボタンを押すだけ
ケーブルの装着方法は、ガソリンスタンドのエアタンク付エアゲージと同じ要領。ただ、エアの排出口が本体背面の低い位置にあるので、大きなタイヤの車だと、ケーブルがバルブまで届かない場合もあります(タイヤの向きを考えておく必要がある)。装着できれば、あとは上面のスイッチで空気圧を設定し、SETボタンを押すだけ。ほんの10~20秒ほどで、充填完了となりました。充填時の音は、それなりに唸りますが、少し離れればほとんど気にならない程度です(アイドリング音のほうがはるかに大きい)。連続使用すると、本体がほんのり温かくなりますが、通常使用であれば、問題はなさそうです。
気になる空気圧計の精度ですが、エアゲージの計測値とほぼ一緒となりました。電動コンプレッサーは、空気圧表示が「210kPa、215kPa、220kPa」のように、0.05kPa毎に変更が可能。空気圧は0.1kPaほど変わると、運転感度の高い方ならば、乗り心地の違いを感じられるようになりますので、純正足のセッティングに合わせたいならば、エアゲージでの最終確認も併せて行いたいところです。
ちなみに今回、2台の車の空気圧調整をしましたが、事前にエアゲージで測定したところ、2台とも、指定空気圧よりプラスマイナス10kPa程度の範囲でズレていました。比較的こまめに空気圧をチェックしているつもりですし、ズレているにしても、空気圧が高いほうにズレているとは思いませんでした。ガソリンスタンドで慌てて作業したせいかも知れないです。落ち着いて作業できるのも、空気入れを購入するメリットですね。
冷間時にチェックできるのもメリット
自宅で空気圧調整ができるメリットはほかにも、タイヤが冷間時に空気圧を合わせることができる点です。クルマが走行すると、タイヤは少なからず発熱し、タイヤ内部の空気が膨張して、空気圧が上昇します。筆者の経験だと、例えば220kPaに合わせたタイヤの空気圧が、高速走行直後には、260kPaにまで上昇していたことがありました。
ミシュランでは、走行直後のタイヤ空気圧測定は信用しない(2時間は空けるようにすること)こととともに、点検時にタイヤが熱い状態の場合は、車両メーカーが推奨する空気圧に40~50kPa加算し、冷間時に必ずもう一度、空気圧を点検することを推奨しています。正しく空気が入ったタイヤは、安全性を高め、燃費も良く、環境にも優しいです。
いまの季節は、スタッドレスタイヤへ交換する方も多いと思いますが、タイヤを交換した際は、できるだけ早いタイミングで空気圧をチェックしてください。空気圧は不足すると、バーストの原因になるほか、燃費悪化や走行安定性の低下を引き起こし、高すぎても、燃費が悪化したり、ブレーキの利きが悪くなったりします。
クルマの「走る・曲がる・止まる」のすべてにおいて、重要な役割を担っているタイヤ。タイヤに関する正しい知識をもち、出発前にタイヤの状態をしっかり確認することは、安全なドライブへの第一歩。月に一度は、空気圧チェックをするよう、心がけたいものです。
【画像ギャラリー】クルマのタイヤ用に、コードレス電動空気入れを買ってみた!! 充填のようすと使ってみた感想(12枚)画像ギャラリー投稿 年間36万件起きてるタイヤトラブルを防げ!! お手軽「電動空気入れ」5980円をガチで使ってみた は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。