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肝心の燃費の話は一切なし!!? トヨタ新型プリウス 発表の舞台裏と抱えた苦悩

 2022年11月26日、トヨタは5代目となる新型プリウスをワールドプレミアした。しかしながら一番注目されるはずの燃費の話は一切なし。一体なぜなのか? 現地でのファーストインプレッションと発表の舞台裏をレポート!

●トヨタ 新型プリウスのここがポイント
・燃費がいいのは「当たり前」。さらにパーソナルヴィークルとしての魅力を追求。
・新開発2Lハイブリッドはシステム出力193ps、プラグインハイブリッドのシステム出力は223psで、動力性能に優れる。
・第二世代に進化したTNGAはフロント周りを新設計して操安性を高めた。
・全長4600mm、全高1430mmの低く伸びやかなフォルム

※本稿は2022年11月のものです
文/ベストカー編集部、写真/TOYOTA、ベストカー編集部 ほか、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2022年12月26日号

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■HVが今冬、PHEVは2023年春頃

5代目となるトヨタ 新型プリウス

 実に印象的なワールドプレミアだった。5代目となる新型プリウスがベールを脱いだのは11月16日のこと。

 これまでのプリウスは、常にプレゼンテーションの主軸は燃費の向上であった。燃費を引き上げるための新技術を徹底的に盛り込み、その説明に時間を費やした。

 しかし、新型プリウスのプレゼンテーションで、具体的な燃費の話はまったくと言っていいほど言及されなかったのだ。

 その背景には、トヨタが今後に向けた『プリウス』の在り方について大いに悩み、方向性に対してある種の決断をしたことがある。

 5代目プリウスの開発初期、コンセプトを定めるなかで、豊田章男社長から「プリウスはどうしても残さなくてはならないクルマ」という、強いこだわりを伝えられたのだという。

 その真意は、「プリウスはみんなの手の届くエコカー」であり、「エコカーは普及してこそ環境に貢献する」という強い信念に基づいてのものである。

 そのため、章男社長からは「新型プリウスはタクシー専用車でもいいのでは?」との示唆もあったという。

リアビュー。全高は先代型より40mm低い1430mmとなり、キャビンが薄くなった印象

 しかし開発陣はこれに抗い、「愛車としての新型プリウス」を主張し、その思いを章男社長と論議し、実現につなげたのだという。

 プリウスはハイブリッド車のパイオニアで、常に最高の燃費性能を追求してきた。新型でももちろんそれは大前提で、燃費がいいのは「当たり前」。そのうえで、パーソナルモビリティとしての魅力を追求する。

 だから、プレゼンテーションでは燃費についての言及はせず、走りのよさ、スタイリングの魅力をアピールした。

 なるほど! プリウスは自らの殻を打ち破って生まれ変わろうとしているのだ。

 それが故の4600×1780×1430mmの低く伸びやかなスタイリングであり、システム出力223ps、0-100km/h=6.7秒とあえて動力性能をアピールするプレゼンだったのだ。

 インテリアだって攻めている! プリウスはある意味、真のカーボンニュートラル実現に向けた、トヨタの強い意志の結集ともいえる。

■パワートレーンは3タイプ TNGAは第二世代に進化

2Lエンジンを組み合わせたプラグインハイブリッドはシステム出力223psを発揮。「ゼロヒャク」6.7秒の動力性能をアピール。このほか、1.8L THS、2L THSが用意される

 5代目となる新型プリウス、現時点ではパワーユニットの詳細なスペックや燃費、価格などは公表されていない。

 搭載されるパワーユニットは3タイプ。

 2L直噴エンジンを組み合わせたプラグインハイブリッド(システム出力:223ps)を筆頭に、2L THS(システム出力:193ps)、1.8L THS(システム出力:140ps)。

 PHEVはFFのみとなるが、それ以外にはFFのほか、E-Four方式の4WDがラインナップされる。0→100km/h加速性能が明らかにされているのだが、PHEVは6.7秒となかなかの快速ぶりをアピール。「愛車」を目指した新型プリウスの大きなチャームポイントだ。

車体構造をはじめとしたプラットフォームは「第二世代TNGA」に進化。特にフロントサスペンション周りは新設計で、横剛性を大幅にアップさせた

 ホイールベースは50mm延長された2750mm。プラットフォームでは特にフロント周りが新設計され、サブフレーム形状などを一新。横剛性を高め、操安性能を大きく引き上げているという。

 タイヤは195/50R19という、ちょっと変わったサイズ。展示車にはブリヂストンの「エコピアEP510」とヨコハマの「ブルーアースGT」が装着されてたのだが、BSは「ologic」のロゴが記されていた。

 これ、BMW i3の純正タイヤで提案されたコンセプトで、幅が狭く外径の大きなタイヤとすることで、走行時に正面から受ける空気抵抗を低減。外径を大きくすることで縦方向の接地面積を稼ぎ、制動グリップを確保するというものだ。

 発売開始は「HVが今冬、PHEVは2023年春頃」とされている。正式発表が待ち遠しい……!!!

●トヨタ 新型プリウス 車体寸法&シャシースペック ※()内は旧型スペック
・全長:4600mm(4575mm)
・全幅:1780mm(1760mm)
・全高:1430mm(1470mm)
・ホイールベース:2750mm(2700mm)
・フロントオーバーハング:980mm(955mm)
・リアオーバーハング:870mm(920mm)
・フロントサスペンション:ストラット
・リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・タイヤサイス:195/50R19、195/60R17(195/65R15、215/45R17)
・タイヤ外径:679mm(626mm)

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