1月19~22日にモナコとフランスで開催されたWRC世界ラリー選手権第1戦『ラリー・モンテカルロ』において、WRC2クラストップでフィニッシュしたニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)がイベント後にペナルティを受けて降格となり、同2位でラリーを終えたヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)がWRC2クラスの優勝者となった。
2023年にデリバリー開始となった新型シュコダ・ファビアRSラリー2で、同マシンにとってWRCデビュー戦となるラリー・モンテカルロに臨んだグリアジン。
初日に快走を見せただけなく、トクスポーツWRT 2のニューマシンに『頭文字D』ファンやクルマ好きにはお馴染みの「藤原とうふ店(自家用)」の文字を掲出したことで注目を集めた彼は、デイ2以降も好ペースを維持。デイ3のSS14ではタイヤのパンクに見舞われたものの大会を通じて計9回のステージウインを飾る活躍で、クラス2位となったロッセルを4.5秒上回りトップフィニッシュを果たした。
ところが、ラリー終了後グリアジンに5秒のタイム加算ペナルティが言い渡されため、優勝がロッセルの手に渡ることとなった。
これはロッセルが所属するPHスポーツが、グリアジンがSS14の13.2km地点でコーナーをカットしたことを問題視し、WRCスポーティング・レギュレーション19条2項『ロードブック/アイテナリー』に違反したとして提訴したことを受けての決定だ。
同規定の条文には、「すべてのクルーは、走行が義務付けられる行程の詳細な記載があるロードブックを受け取る。ラリーの走行が義務づけられたアイテナリーが、道路方向指示図解によって、また道路方向指示図解の間、決められた車道によって、ロードブックに決められる。走行距離の測定には、計時およびトラッキングサービス提供者が使用するトリップメーターを使用することを強く推奨する。 (中略) さらに、オーガナイザーは、スペシャルステージにて、レコナイザンスやステージの最初の走行で、競技参加者が車道を逸脱することが想定される箇所にバリアやその他の障害物を設置することができる。これに逸脱があった場合は、競技審査委員会に報告される」とある。
ロッセルとPHスポーツによって提出された証拠とシュコダ・ファビアRSラリー2の車載映像を確認した結果、スチュワードはこの抗議を支持しグリアジンに5.0秒のタイムペナルティを課している。
なお、公聴会に出席したグリアジンは右フロントタイヤのパンクの影響により当該コーナーでマシンをコントロールすることが困難であったと述べたが、この主張は認められなかった。
ロッセルにとっては後味の悪い勝利となったが、このようなラリー後の順位変動は過去にもあった。ロッセル自身も2021年の『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』の事後車両検査でシトロエンC3ラリー2のサブフレームが重量オーバーであることが発覚し、WRC3クラス優勝を逃した経験がある。