2022年F1シーズンを通して、毎戦全20人のドライバーの評価/採点を行ってくれたベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、シーズン全体を振り返り、独自の視点で2022年のトップ10ドライバーを選出した。10人のドライバーについての彼のレビューを添えて、カウントダウン方式で10位から1位までを紹介していく。
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■10位:セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)
ベッテルが2022年末でF1ドライバーとしてのキャリアを終えると決めたことは、F1界にとって非常に残念なことだ。彼はパドックにおいて最も好感の持てる人物のひとりであり、何より今もドライバーとしての速さを失っていないのを目の当たりにすると、余計に惜しくなる。2022年シーズン終盤の走りを見れば、ベッテルの速さは明らかだ。
2022年序盤2戦を、ベッテルはCovid-19のために欠場した。バーレーンとサウジアラビアでの貴重な走行時間を失い、人より遅れてシーズンスタートを切ったことで、最初の数戦は本来の力を発揮できなかった。メルボルンのFP3でクラッシュしてしまったことが、その影響を表しているといえるだろう。
アストンマーティンはAMR22のパフォーマンス不足に苦労した後、スペインでシーズン最初の大型アップデートを導入した。するとベッテルはコンスタントにチームメイトのランス・ストロールにより明確な速さを示し始めた。
だが、ベッテルは、チームが何度も誤った戦略を選び、不利な条件で走らされたことで、なかなか思うような結果を出すことができなかった。ベッテルは黙ってその状況に耐え続けた。フランスGP決勝では、最終コーナーで前を走るストロールから“ブレーキテスト”をされたが、表立ってチームメイトを批判するようなことはなかった。
引退を発表した後のベッテルは、すっかり解放されたように見えた。最後の10戦で6回入賞、これがアストンマーティンがコンストラクターズ選手権9位からポジションを上げ、6位争いができるところまでに浮上する助けになったのは間違いない。
ベッテルはアブダビでもポイントを獲得、しかしチームはランキング6位に届かず。それも再びチームの戦略が良くなかったせいだが、ベッテル自身は、F1ドライバーとしての最後の週末に、非の打ちどころのない走りを見せた。