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 ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)社長兼テクニカルディレクターのデビッド・ソルターズによれば、アキュラは1月末のデイトナ24時間レースに向けてARX-06の耐久テストを行っていないため、ふたつのタイトル獲得経験チームの強みを活かすことになる、という。

■長距離連続走行はなくとも、パーツへの負荷はかけている

 1月28〜29日にフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで決勝が行われるロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)は、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの2023シーズン開幕戦であり、新規定『LMDh』に準拠した4マニュファクチャラーの新型車両が、最高峰GTPクラスにデビューする。

 2022年夏以降、各マニュファクチャラーは新型車両でのテストを重ねてきているが、長距離連続走行テストを実施していないのは、4メーカーのうちアキュラのみである。ポルシェとキャデラックはそれぞれ36時間と24時間の連続走行を行っており、BMWは24時間走行を予定していたがマシントラブルにより途中で打ち切りとなった。

 アキュラは当初、24時間走行を予定していたものと考えられているが、サプライチェーン関連の遅延により、マシンが走行を開始して早々にテストスケジュールは変更された。

 長距離テストに代わって、メイヤー・シャンク・レーシング(MSR)とウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポート(WTR)という、ARX-06を走らせる2チームの経験を生かしてレースに臨むと、ソルターズは語っている。

「パーツには多くの走行距離が蓄積されている。それは間違いない」とソルターズ。

「それぞれのパーツに対して、必要な負荷や条件がかかっていないわけではないんだ。パワートレインなどは昼も夜も(ベンチ上で)動き続け、膨大な量の耐久テストを課している」

「我々はさまざまな部分でリグ・テストを行っている。実際に(24時間テストを)行わない理由は、我々のプログラムがどの位置にあり、何を達成すべきかを優先させたからだ」

「また、準備の状況やパーツの供給状況、そしてこのプログラムから何を得ようとしているのか、ということもある」

 アキュラARX-05で2022年のDPiチャンピオンを獲得したMSRは、デイトナ24時間レースのディフェンディング・ウィナーとしてレースに臨む。なお、デイトナはWTRが過去6年のうち4回優勝している。

「(耐久テストを行わないことで)核となる準備や手順などの面でいくつかのことを見逃してしまうのは明らかだが、我々は非常に幸運な立場にある」と、ソルターズは語った。

「我々のチームはここ数年、IMSAで最高レベルの走りをし、そこそこの結果を収めている。彼らは何をすべきかについて、大まかな知識を持っているのだ」

「それが大きな助けになると思う。そのクルマでどこに向かうか、優先順位をつけるということが重要なんだ」

「ここ1、2シーズンで見事に実証されたチームのスキルと、スタッフのスキルによって、どこにたどり着くかが分かるだろう」

「おそらく、1年早く始めた方がよかっただろう。だが、これが現実だ。 必要な準備はできていると信じているし、いずれそれが分かるだろう」

ウェイン・テイラー・レーシングのアキュラARX-06
ウェイン・テイラー・レーシングのアキュラARX-06

 アキュラはレースに向けて良いポジションにいると思うか、という質問に対して、ソルターズは笑いながら「もっと多くの時間、もっと多くの部品(があれば)」と、LMDhの4メーカーすべてが間違いなく同意できるふたつの事柄に言及した。

「我々は、ただ溺れないように水上に頭を出しておくだけだ」とソルターズ。

「これは、真の挑戦だ。正確には、我々は望んでいる場所にはいない。それが真実だ。ただ、まずまずのところにはいる。みんながチームとして、分別を持って働こうとしているんだ」

「速いレーシングカーを作れるかどうか、やってみようじゃないか。それがプランAだ。プランBは、それを維持することができるか、ということになる。どこまでプランどおりにできるのか、見ものだろうね」

2022年12月、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでのIMSA公認テストに臨むメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-06
2022年12月、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでのIMSA公認テストに臨むメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-06