1月15日に閉幕した2023年のダカールラリーに自身4度目となる総合優勝を目指して参戦したカルロス・サインツは翌16日、自身のSNSで大会中のアクシデントにより背骨を2箇所骨折していたことを明らかにした。
WRC世界ラリー選手権で2度ワールドチャンピオンとなっている60歳のレジェンドは、2022年に引き続きチーム・アウディスポーツの一員として“世界一過酷なラリー”として知られるダカールラリーに参戦した。
16回目のダカール挑戦となった“エル・マタドール”は2週間にわたるラリーの競技初日、ステージ1でいきなりトップタイムを記録しラリーリーダーに躍り出ると、翌日もアウディの電動車『アウディRS Q e-tron E2』でステージウインを飾ってみせた。
しかし、総合首位で迎えたステージ3ではマシンの左リヤサスペンションに問題が発生。この対処のために約30分を失い総合8番手に順位を落とす。この翌日、サインツはステージ3番手タイムを刻み総合4番手まで順位を挽回する。続くステージ5でもステージ2番手タイムを記録してみせ、僚友で総合2番手のステファン・ペテランセル(アウディRS Q e-tron E2)とともに好位置につけた。
そんななか迎えたステージ6でアウディ勢に悪夢が襲いかかる。最初の悲劇はスタートから212km地点の砂丘でペテランセルがクラッシュし、コドライバーのエドゥアール・ブーランジェが負傷したためリタイアを余儀なくされたことだった。
そしてもうひとつの悲劇は、同じポイントでサインツもマシンを壊してしまい大幅にタイムを失ってしまったこと。左フロントタイヤがもげるクラッシュでありながらリタイアこそ免れたが、総合107番手まで順位を下げることになり上位入賞は絶望的となった。
その後サインツはステージ8でふたたび3番手タイムを記録するスピードを見せたが後半戦の初日、ステージ9序盤の6km地点で砂丘超えの着地に失敗しクルマがひっくり返るクラッシュを喫してしまう。このアクシデントの直後、胴体部の痛みを訴えたサインツはヘリコプターで病院に向かった。
しかし彼は搬送中に現場に引き返すよう指示し、病院にかかることなくマシンのもとに戻りサポートトラックの到着を待つことに。だが、無情にも執念は実らず。車体の損傷が激しく修復が困難なことからラリー中盤でのリタイアが決定してしまった。
ラリーの終了を待たずにスペインに戻ったサインツを待っていたのは長引く背中の痛みだった。報告によると、サインツは医療機関のアドバイスに従い精密検査を受けることにしたという。
その結果、背骨のうち胸椎にあたるT5とT6の椎骨を骨折していたことが判明したが、幸いにも両椎骨とも安定した状態にあると付け加えられている。今後に向けて「一刻も早く回復させることを第一に考える」としたサインツは、投稿の最後に次のように綴った。
「この数日間、私が受けたたくさんの愛とサポートに感謝する。また、最新の情報を伝えます」