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 2022年12月7~9日に開催された、第5回コーティングジャパン(塗料・塗装設備展)に取材に行ってきた。日本のモノづくりを象徴するような、驚きの商品、技術が展示されていた。今回は世界一黒い塗料「ルシェイドブラック」を中心にお届けしよう。

文/ベストカーWeb編集部
写真/ベストカーWeb編集部

【画像ギャラリー】マジか! ウニの棘で光を吸収する世界一の漆黒塗装って何?(5枚)画像ギャラリー

■ブラックホールに見える「ルシェイドブラック」

左がルシェイドブラック。右がマット

 化学メーカー、石原産業が開発した「LUSHADE BLACK ルシェイドブラック」は、超低反射率構造の漆黒顔料。以前、世界一黒い塗装を塗ったポルシェ911が話題となったが、あれは水性アクリル塗装となっている。

 それに対し、ルシェイドブラックは独自の技術により合成されたウニ棘状構造を持つ硫化ビスマス黒色顔料で、反射率は0.6%、世界一黒いとされる。

ウニ棘状が光を吸収するという

 ウニ棘状の構造とは、棘の隙間に光が入り込み閉じこめることによって可視光の99%以上を吸収。可視光領域では極めて低い反射率を持つ反面、赤外領域で高い反射率を発揮し、全波長の光を吸収するカーボンブラックとは一線を画すという。

 ただし、手で触ると後がつき雨なども厳禁ということで、クルマの塗装には向かないというのは残念だが、高い技術力で、将来クルマの塗装にも使えるように期待したい。

ルシェイドブラックのサンプル。ブラックホールのように吸い込まれていく感じがする

 また、スマートに塗られた板状形チタン顔料「SILKIA」は、既存のパール顔料よりも、粒状感のない滑らかな光輝感を実現し、実際の見た目も濁り感がなく、鮮やかなパールホワイトに仕上がっている。これはまだ採用例がないということなのだが、これまでのパールホワイトよりも数段上の光輝感なので、採用を期待したい。

直径10~35μm、厚み0.1μmの板状チタン酸顔料。近くで見るとパールカラーは粒状に見えるがSILKIAは滑らかで輝きも違う

■自然界に存在しない世界初の青色の胡蝶蘭「2022フラワー・オブ・ザ・イヤー受賞」

自然界に存在しない青い胡蝶蘭を高い技術力によって誕生

 最後に石原産業の凄いところをもう一つ。自然界に存在しない青色の胡蝶蘭「ブルージーン」を紹介しよう。

 世の中には白、黄、ピンクなど様々な色のコチョウランがあるが、青色のコチョウランは自然界には存在しない。花の色は主にその花に含まれるアントシアニンと呼ばれる色素の種類で決まるそうだが、なかには青いアントシアニンを作る遺伝子(青色遺伝子)を持たない植物種もあり、コチョウランもその一つであることが、青色コチョウランが存在しない理由。

 長年多くの育種家が試みたものの成し得なかった青色コチョウランだが、同社が様々な実験の結果、ツユクサの青色遺伝子がコチョウランと相性が良いことを見出し、この青色遺伝子を導入することで見事に永遠に青色を持つ青色コチョウラン、「ブルージーン」が生み出されたという。

 全国のフラワーショップで販売されているそうなので興味ある方はぜひ。

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