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 1月13日、幕張メッセで行われている東京オートサロン2023のレイズブースで開かれた、aprの2023年参戦車両発表会。aprが開発した新規GT300規定車両『レクサスLC500h GT300』のアンベイル、そしてこの車両のステアリングを握る3名のドライバーが発表されるなどしたが、その最中にGTアソシエイションの坂東正明代表がサプライズ(?)出演する一幕があった。

 11時30分から開始された発表会では、まずaprの金曽裕人社長(監督)がマイクを持ちスピーチをした。LC500hをベースとした理由などを話した後、ドライバーとなる嵯峨宏紀/小高一斗/根本悠生が呼び込まれ、一言ずつ挨拶。そしていよいよマシンがアンベイルされ、その姿が露わとなった。

 その後、再び金曽氏にマイクが渡り、車両のさらなる詳細や参戦体制などを語り始めたところで、マシン後方から坂東代表が登場。金曽氏が「ここで“サプライズゲスト”として、GTAの坂東代表が来られています。いまから『“車検”をする』と言われています」と反応すると、坂東代表は車両のまわりをゆっくりと1周し、各部をチェック(?)していた。

「この車両を作るときから、坂東代表にはいろいろと相談しました。代表からも『お前、やっぱり2ドアはカッコいいな』と言われております」と続ける金曽氏。

 金曽氏はさらに「いま、しげしげとクルマをご覧になっていますが……何か車検上、問題あるところはございますでしょうか? 坂東代表、新年のご挨拶をぜひいただければ」と坂東氏にマイクを渡すと、周囲からは笑いと拍手が巻き起こった。

東京オートサロン2023でのaprによるレクサスLC500h GT300の発表にサプライズ登場した坂東正明GTアソシエイション代表
東京オートサロン2023でのaprによるレクサスLC500h GT300の発表にサプライズ登場した坂東正明GTアソシエイション代表

■「世界のGT3に立ち向かうGT300として」

「新年明けましておめでとうございます」と挨拶を始めた坂東氏は、2023年のスーパーGTの取り組み、そしてLC500hにかける期待を次のように語った。

「2023年、スーパーGTは新たに合成燃料を入れます。化石燃料をいっさい使わないという、ちょっと高っけえ燃料なんですが、環境を留意するとやっていかなければならない、みんなでひとつひとつできることからやろう、ということで、燃料を輸入しました。当然ながら、この車両にも入ります」

「これを使いながら、合成燃料がいいのか、水素がいいのか、EVがいいのか、というのは、島国・日本のなかで何が使えるかというのをいろいろと(検討しながら)やっていきたい。その第一歩としてこれ(新燃料の導入)をやります。また、タイヤの持ち込み本数も減らし、(1タイヤあたりの)距離を伸ばします。エンジンに関しても、長く走れるように燃費のいいものにしてほしい、という流れです」

 坂東氏はこのように2023年以降のスーパーGTの取り組みを説明した後、「そこに登場したのが、このクルマです」といよいよLC500hに触れ、「実際に2023年のレギュレーションに合わせながら……彼らは毎回毎回新たなトヨタ車両で出てくるのですが、ちょっといままでと違い……レギュレーションに合っていそうなクルマで出てきます」と、ディメンションなどの面からこれまでのGTカーよりも量産車両の面影をより強く残すLC500hを、坂東氏なりのジョークで表現した。

 ただ、LC500h GT300の存在意義に話が及ぶと、坂東氏は再び口調に力を込めた。

「(aprは)その中で戦えるチームであるし、我々としては世界のGT3に立ち向かうGT300として作っていただいて、日本のモノづくりを残していくというのが、aprと金曽にかけられている使命でもあります」

「その中で新しく誕生したこの車両に大いに期待して、スーパーGTの2023年を盛り上げていただきたいと思いますので、皆さんご声援のほどよろしくお願い致します。ありがとうございました」

 かつて自らもチームを率い、創意工夫をこらして戦っていた坂東代表だけに、新たな車両を生み出したaprに対して愛情のこもった激励の挨拶だった。

 なお、この挨拶を受けた金曽氏も「そんなに褒めていただいて……こんな優しい言葉をかけられたのは、30年のなかで初めてですね」と冗談混じりに応えていた。

 新型車両ゆえにこれからの“煮詰め”の作業も必須となってくるだろうが、GT300規定の利点を活かした開発が、シーズンを通して続けられていくに違いない。

東京オートサロン2023で発表されたレクサスLC500h GT300
東京オートサロン2023で発表されたレクサスLC500h GT300