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 12月12日に行われたホンダの『2023 モータースポーツ活動計画発表』において、HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)が2026年以降のF1のパワーユニット(PU)製造者登録を行ったことが明らかになった。

 8月に行われた世界モータースポーツ評議会において、F1では2026年よりPUに関する新しい規則が導入されることが正式に承認された。この規則については、コストキャップの導入をはじめ、100%持続可能な燃料の使用や、電力の割合の引き上げ、MGU-H(熱エネルギー回生システム)の廃止などが決まっている。

 F1が『カーボンニュートラル化』や『電動化』の方向へ進みつつあることを受けて、この2点を重視しているホンダはHRCとしてPUの製造者登録を行ったということだ。このことががすぐにF1への再参戦に繋がるわけではないとHRCの渡辺康治社長は主張しているが、2023年も『HONDA』のロゴを使用することは決まっているという。

「2026年以降のF1のレギュレーションそのものが、カーボンニュートラルの方向にいっています。電動化についても推し進められていて、本田技研工業ともカーボンニュートラル、電動化というところで基本的な方向性は一致しているということで、我々レース会社としてはレースの研究を続けていくために製造者登録をさせていただいています」

「製造者登録=F1の再参戦ということではないですが、引き続き頂点であるF1の研究を加速していくために、製造者登録をさせていただいたということです。誤解のないようにというと、すぐに再参戦ということではございません」

「製造者登録をすることで、技術の議論に入っていくし、どのようなカーボンニュートラル化、電動化をするかのいろいろなヒントになるので、そこも踏まえながらの開発になるわけです。今はレッドブルに現行のレギュレーションのもとで技術サポートをしていますが、2026年以降の話をレッドブルとするという計画はありません」

2022年F1第18戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第18戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 また、HRCの四輪レース開発部部長の浅木泰昭氏は、「カーボンニュートラル社会で生き残るためのF1はどういうものなのか」という点に関心を持っていると語った。

「関心があるのは、カーボンニュートラル社会で生き残るためのF1がどういうものかということです。そういう意味で言うと、FIAの決めた方向性というのは、個人的にはセンスがいいんじゃないかなと思っています」

「(2026年に導入される新しい規則については)ほぼ内燃機関とモーター出力が同じくらいのレギュレーションになると読んでいますが、そういう生き残るためのセンスというのは非常にいいように思います。我々としてもそのためにどういうPUだったら戦えるのかというようなことを研究するということです。そういう判断で製造者登録をさせていただいて、何かできるのかを検討します」

 なお、特に電動化を中心にした本田技研工業の取り組みに必要な技術者は本田技研工業、または研究所の方に移っているとのことで、「残されたメンバーのなかで、できることを模索していく形になると思います」と浅木氏は明かしている。

 HRCのレッドブル・パワートレインズ(RBPT)への技術支援は現時点で2025年末までとなっているが、レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、2026年に向けてホンダと新たな契約を結ぶべく交渉していると10月に発言している。F1とホンダが同じような方向に進もうとしており、浅木氏がF1の方針を評価しHRCとしてできることを考えていることからも、ホンダのF1再参戦の可能性も含め、今後のホンダ、HRCの動向に注目したい。