2023年4月12日、トヨタは新型クラウンスポーツ(クーペSUV)、セダン、エステートのそれぞれの発表時期とそれぞれのパワートレーンを公開した。さらに事前情報特設サイトでは駆動方式も発表、「クラウンセダン」の特設ページにはしっかりと「FR(エンジン前置きの後輪駆動車)」と明記されておりました。
文/ベストカーWeb編集部、画像/TOYOTA、ベストカー編集部(アイキャッチ画像は編集部が「新型クラウンセダンで白黒パトカーを作ったらカッコいいんじゃないか?」という思いつきで作成したCG)
■セダンに「だけ」FRとFCEVを用意したトヨタ
「正統派セダンとしての上質な走りと快適な乗り心地、ショーファーニーズにお応えするくつろぎの後席空間、パーソナルにもビジネスにもお応えするニューフォーマルセダン」
上記がトヨタの新型クラウンセダン公式特設サイトに掲げられた、クラウンセダンの紹介文だ。「ショーファー」とはフランス語で「お抱え運転手」を指す。つまり「運転手付きの送迎車としてクルマを購入したいお客さま向け」ということで、トヨタは新型クラウンセダンを「そういう用途」にも向けて開発しているわけだ。
トヨタは2022年7月、現行型クラウンクロスオーバー(FFベースの4WD車)発表時に、「今後1年程度でこのほか3モデル(スポーツ(クーペSUV)、セダン、エステート)を発表する」と明言した。
本日(2023年4月12日)、トヨタはその発表ロードマップについてさらに新情報を追加。新型クラウンシリーズのそれぞれの発売時期、パワートレーン、そして駆動方式も公開している。
新型クラウンセダンについて本日公開された情報を整理すると、以下のとおり。
・パワートレーン……HEVとPHEV(ともに2023年秋頃に発売予定)
・駆動方式……FR(後輪駆動)
・ボディサイズ……全長5030×全幅1890×全高1470mm
・ホイールベース……3000mm
・タイヤサイズ……19インチ/20インチ
・乗車定員……5名
そもそも新型クラウンクロスオーバーが正式発表された際(2022年7月)、「クラウンは生まれ変わらなくてはならない」という使命を担って開発が進められ、結果、これまでの「クラウンの伝統」から大きく離れた「FFベースのクロスオーバー4WD車」として登場することになった、という開発経緯が語られた。
そのうえで、開発を進めていると「これまでの伝統的なクラウンも残したほうがいい」という意見が開発スタッフから届き、「セダンも作ろう」という話になった…というエピソードも語られている。
たしかにクラウンには長い歴史をトヨタとともに歩んだ多くの既納ユーザーがおり、そうした人々が「これが新しいクラウンです」と現行クラウンクロスオーバーを差し出されて、「そうか、じゃあこれに乗り換えよう」と素直に思うかというと、「百人が百人…というのは難しいだろうなあ」と思う。
とはいえ、一般的に「ある車種のシリーズ派生車」はプラットフォームを共有化するもので、そうでないと同一車名でシリーズ化する意味があまりないし、そもそもコストがかさむ。FF(ベースの4WD車)の兄弟車は、たいていの場合FF車だ。すると新型クラウンセダンはFFベースになってしまうのか…? それとも「セダンだけFR」という高コスト仕様を用意する…のか……??
結果、本日発表された資料によると、新型クラウンシリーズは、セダン「だけ」FR仕様で発売されることが明らかになった(クロスオーバー、スポーツ(クーペSUV)、エステート、いずれも4WD仕様のみだと発表されている)。
「これまでのクラウンの、クラウンらしさ」を愛する人々にとって、クラウンといえばセダンでありFRであるはずで、今回トヨタは「そういう人たち」にとってのクラウンを用意した、ということだろう。
SNSでは(新型クラウンセダンにはFCEVが用意されることもあり)「新型MIRAI…ということでは?」という声もある。たしかにFCEVユニットはMIRAIに搭載されているものを使うだろう。また、新型クラウンシリーズのなかでFCEVが用意されるのもセダンのみだ。
ただ、現行MIRAIと、現時点で公表されている新型クラウンのボディサイズは微妙に違うし、(クラウンセダン(現行MIRAI)全長5030(4975)×全幅1890(1885)×全高1470(1470)mm、ホイールベース3000(2920)mm)、チラッと公開されている新型クラウンのほうが後席が遥かに広い。
クラウンはクラウンであり、MIRAIはMIRAIだと考えたほうがよさそう。
新型クラウンクロスオーバーが発表された際に、一部のクルマ好きから「これから(クラウンの独壇場だった)パトカーや個人タクシーはどうなるんだ…全部4WDになっちまうのか…」という声があった。どうやらクラウンの伝統的な部分を踏襲したセダンは、無事(開発コストはすげえ高そうだけど)FRで発売されそうです。
トヨタはカムリの国内販売を終了させてしまうけど、この新型クラウンセダンを契機に、日本のセダン需要が復活してくれると、「セダンのシックなフォルムや遮音性の高さや走行性能が大好き」な本企画担当者としては嬉しいです。はい。
【画像ギャラリー】トヨタ電撃発表!! 新型クラウンセダンの概要と突発的に作ったCG(15枚)画像ギャラリー投稿 新型クラウンセダンやっぱり「FR(後輪駆動)」だった!! 高コストながら伝統を守る「こういうところトヨタだなぁ…」の事情 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。