創設2年目のシーズンを終えたワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』だが、来季2023年に向けてNEOMマクラーレン・エクストリームEがドライバー体制をアナウンスし、エマ・ギルモアとタナー・ファウストの残留を正式に発表。来るシーズン3もペアリング継続で挑むことを決めた。
周囲のライバルよりひと足遅れ、2022年よりシリーズ参入を果たしたマクラーレンは、11月26~27日の週末にウルグアイのプンタ・デル・エステにて開催された最終戦『エナジーX Prix』で、初ポディウムとなる2位表彰台を獲得した。
その成功を後押しした43歳のギルモアは、創業者ブルース・マクラーレンと同郷のニュージーランド出身で、そのキャリア初期からグラベル系競技で経験を積み、国内ラリー選手権では史上初の女性イベント勝者として歴史に名を刻んだ。
2015年にはFIAウィメン・イン・モータースポーツとカタールのモータースポーツ連盟(QMMF)によるクロスカントリー・ラリー・セレクションで勝者となり、このエクストリームE初年度のシーズン1ではヴェローチェ・レーシングとのリザーブドライバー契約も結び、ジェイミー・チャドウィックの代打として2戦に出場している。
一方、シリーズ参戦前から“スタードライバー”として名を馳せてきたファウストは、北米のラリークロス・シーンで4度のシリーズチャンピオンに輝き、絶大な支持を集める複合スポーツイベント『X Games』のラリークロス部門で3度の金メダルを獲得。その才能はグラベルサーフェースのみに留まらず、スタントドライブ、アイスレース、タイムアタックにヒルクライム競技でも豊富な経験を持ち、2007年と2008年にはフォーミュラ・ドリフトでシリーズ連覇も飾っている。
「2022年にマクラーレンとエクストリームEの一員になれたことは素晴らしい経験であり、2023年にもチームのため、ふたたびレースができることに興奮している」と、続投に向けて抱負を語ったファウスト。
「エマ(・ギルモア)やチームと一緒に、エキサイティングな場所で勝負するのはとても楽しかった。2023年がどうなるか、今から本当に楽しみだよ」
■ザク・ブラウンCEOもふたりの残留を喜ぶ「エマとタナーが、2023年もマクラーレンに残ることをうれしく思う」
そのマクラーレン所属ドライバーとして、表彰台を獲得した最初の女性となったギルモアも「2022年はマクラーレンとともに信じられないほど素晴らしい経験を積む最初のシーズンを過ごせた」と振り返る。
「チームとして本当に成長したし、何よりウルグアイで表彰台を獲得できたのがうれしかった! 2023年もマクラーレンに留まることができて興奮しているし、気候変動の悪影響について視聴者とともに学びながら、いくつかの新しいレースに参加するのが待ち切れないわね」
そのチーム代表であり、マクラーレンのエレクトリック・レーシング部門のマネージングディレクター職も兼務するイアン・ジェームスは、来季3月11~12日にサウジアラビアで開幕を迎えるシーズン3に向け「初年度に築き上げた基盤を活用したいと考えている」と意気込む。
「エマとタナーを、引き続き来季のドライバーペアとして発表できることは素晴らしいことだ。彼らはチームのデビューシーズンに際し、ペース、献身、意欲のすべてを示し、期間中のチームの学習と開発におけるふたつの大きな原動力であり続けたんだからね」と語ったジェームス。
「チームとして上向きの軌道を維持することを目指しているため、エマとタナーがチームに残ることは非常に貴重な決定だよ」
同じく、グループCEOを務めるザク・ブラウンも、ペアリング継続を歓迎するコメントを残している。
「エマとタナーが、2023年もマクラーレンに残ることをうれしく思う。このペアはトラックの内外で強力なチームメイトであることを証明しており、最終戦では雪辱を果たす2位を獲得した。我々としてもエクストリームEで最初のシーズンを終え、2023年にチームがどのように発展していくのか、本当に楽しみだ」