レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、2023年にチームの最大のライバルになるのは、フェラーリよりもメルセデスであると予想している。
8年間にわたりF1コンストラクターズタイトルを獲得し続けたメルセデスだが、F1新レギュレーションが導入された2022年、新世代マシンの開発に躓き、低迷。7度のF1王者ルイス・ハミルトンは、F1キャリアで初めて勝利のないシーズンを過ごすことになった。
一方、2022年にレッドブルは22戦中17勝を挙げ、マックス・フェルスタッペンはそのうち15回の優勝を達成、コンストラクターズ選手権でもドライバーズ選手権でも圧勝した。レッドブルと2位フェラーリの差は205点、フェルスタッペンと2位シャルル・ルクレールの差は146点と、いずれも大差だった。
プレシーズンには2022年シーズンのチャンピオン有力候補とみなされていたフェラーリは、序盤3戦中2戦で優勝し、好調なスタートを切ったものの、その後、ミスや信頼性の問題が続き、パフォーマンスも振るわずに失速。シーズン中、4勝を挙げるにとどまった。
マルコは、2023年にメルセデスが復活を遂げ、フェラーリよりも強さを発揮するかもしれないとの考えを示した。
「我々は並外れたシーズンを過ごした。だが、すべてが完璧だったわけではない。メルセデスやフェラーリに勝つには、完璧な一日を過ごす必要がある」とマルコは『SportBild』に対して語った。
「信頼性の面で、まだ改善の余地がある」
「フェラーリは強力だ。しかし(来年は)メルセデスの方が全体的なパッケージでは強さを発揮するだろう。メルセデスにはルイス・ハミルトンがいる。彼は今も変わらずトップドライバーだ」
ハミルトンが勝利のないシーズンを過ごしたほどのメルセデスの低迷が2023年にも尾を引くと思うかと聞かれたマルコは、「残念ながらそうは思わない」と答えた。
「メルセデスは一年を通して我々との差を縮めてきた。まだ我々と対等の力はないが、(来年は)風洞テストにおいて我々よりも多くの時間を使ってマシンを開発することができる」
「フェラーリにもルクレールという優れたドライバーがいる。だが、彼はまだミスを犯す」
2022年シーズンのなかで、ルクレールは、エミリア・ロマーニャGPではコースオフして表彰台を逃がし、フランスGPではレースをリードしている時にクラッシュし、リタイアした。
メルセデスは、パフォーマンスに波はあるものの、シーズンのなかで徐々に改善、ジョージ・ラッセルが第13戦ハンガリーでポールポジションを獲得、第21戦ブラジルでは優勝を飾った。
現在のレギュレーションでは、チームが許される風洞およびCFDによる空力テストの回数や時間が、選手権順位によって異なり、ランキング上位であればあるだけ、許されるテストの量が少なくなる。レッドブルは今年チャンピオンになったことに加え、バジェットキャップ違反のペナルティによりテストの機会が削減されるため、メルセデスやフェラーリよりも不利な状況となる。
しかしこれについてマルコは「そういった見通しについて私はあまり心配していない」と語った。
「2023年に向けて順調に進んでいる。それに、マックスはF1で最も優れたドライバーだ」