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 大阪出張の折り、夜行バスが多く発着する時間帯に大阪駅JR高速バスターミナルの様子を見てきたので撮りバスレポートをする。だいぶくたびれた、あのエアロキングも登場してなかなか盛況な様子だった。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

JRバスでとんでもなく大盛況だった!!

入線待ちの東海車の横に西日本車が入線する

 深夜、大阪から東京に向かう夜行交通手段としては、もはや夜行バスかサンライズしか選択肢はない。深夜におよぶ仕事があったので、今回はサンライズを予約したが23時前後の空き時間に大阪駅JR高速バスターミナルに寄り、どんなバスが来るのかを撮りバスついでに見てきた。

 基本的にはJR系の高速バスが発着するターミナルだが、デザインは異なれどもほぼJRマークを掲げるバスしか並ばないのは圧巻だ。しかも記者が立ち寄った時刻以降に発車する各方面行きのバスはほぼ満席状態で、月曜日の夜発車にしては大盛況だった。

デザインは違えどJRマークやツバメメークが躍る!

 かつてはJRバスのドリーム号の他に急行「銀河」、急行「きたぐに」、一部の東京口や大阪口の九州ブルトレが多く発着し、深夜まで賑わいを見せた大阪駅だが、現在は夜行便が発着するのはJR高速バスターミナルと0時33分発の上りサンライズだけになり、さみしい限りだ。

 それでもこれだけ多くのバスが満席状態で発車していくのを見ると、運賃・料金体系を根本から見直せば夜行列車の価値もあるのだろうが、鉄道会社にその気がないのか、おそらく遠くない将来にはなくなる運命だろう。

最新のハイデッカー車が惜しげもなく……

 発車時刻まで待機するバスや、すでに改札を始めている出発間近のバスを含めて、この時間帯には常時5台以上の最新ハイデッカーが顔をそろえる。

ガーラにセレガにエアロエースと最新のハイデッカー車が並ぶ

 方向により、大阪が本拠地の西日本ジェイアールバスの車両はもちろんのこと、関東方面にはジェイアールバス関東、おそらく夜行の限界であろう中距離の東海方面にはジェイアール東海バス、そして四国方面にはジェイアール四国バスの姿がそろった。

そして大人気のダブルデッカーも出撃!!

 需要の多い路線にはダブルデッカー車も配車されており、現在では事実上の標準であるスカニア・バンホールはもちろんのこと、西日本ジェイアールバスのエアロキングまで登場した。青春エコドリーム号の車両なので、オール4列のシートコンフィギュレーションだ。

このフォルムはキングの証!

 さすがに洗車してもこれ以上きれいにならないほどくたびれているエアロキングだが、王者の貫禄にふさわしい、また懐かしさすら覚える勇壮だ。

あくまでも移動手段だがせっかくだから……

 青春エコドリなので、安い運賃で大量に運ぶことを旨とする便だが、エアロキングが来たことについて乗客の様子は…まったく変わらなかった。

 もしもバスファンがいれば、狂喜乱舞とは言わないが細部まで見渡して写真を撮影してから乗り込むはずだが、みなさん淡々と改札を受けて乗り込んでいたところを見ると、安い移動手段に過ぎないのかもしれないし、それが普通だ。

エアロキングとはいえお客さんには移動手段に過ぎない?

 最近はスーパーハイデッカー車を使用する夜行バスはめっきりと減った。夜行でカーテンを閉めるのでスーパーハイデッカーの車窓メリットは少ないのかもしれないし、重心が高くない分だけ運転士の負担も少ないのかもしれない。

 しかしスーパーハイデッカーの優越感と特別感は明らかにハイデッカーのそれとは異なるので、事情が許せば復活してもらいたいものだ。

学割の強みは遺憾なく発揮せよ!!

 年末ということもあり、学生の乗車が多かったのかターミナルでは学割乗車券での学生証の提示を求める放送が流れていた。バスで学割が効くのは国鉄の流れをくむJR系バス会社の特徴で、設定便と割引率はさまざまだが学生の強い味方になっていることだろう。

入線状況を示す指示器

 現状ではネット購入による割引や、特割等の割引運賃があるので誰でも利用できるお得な運賃もある。高速バスが支持されるのは、そもそも安い運賃にさらに割引運賃が設定されていることもあるのだろう。

 到着して即活動できるダイヤ設定も活発に動く若い人には向いているのかもしれない。宿泊料金が安くなったとはいえ、バスの運賃がここまで安いと夜行バスの優位性は当面維持できそうだ。

ちなみにサンライズはいかがな感じか?

 ところで、記者が乗車した上りサンライズは大阪からの乗車は思いのほか多く、ホームの待合室のいすがすべて埋まるほどの乗客がいた。

 さらに入線前のホームを見てみると、数十人の乗車があったようだ。大阪では上りしか利用できない(下りは大阪を通過し最初の停車は姫路)非常に使いにくダイヤだが、改めて人気が高いことを示した格好だ。

スピードではかなわないが安い運賃が魅力

 サンライズと同じような時刻に東京駅に到着しようとすると、最も近いダイヤの便は神戸三宮からくる青春エコドリーム18号TDL行きで、大阪駅発は2240だ。先にバスタ新宿に停車するので単純な比較はできないものの、サンライズとはおおむね2時間の差ということになろうか。

 それでも満席で出発するドリーム号を見送りながら、かつての夜行バス全盛時代を彷彿とさせる盛況ぶりに、夜行高速バスの底力を見た気がした。

投稿 昨年末のJR大阪駅高速バスターミナルの混雑っぷりに驚愕!! 対抗できるのは上りサンライズのみか!?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。