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<p>塩野義新型コロナ飲み薬、中国で3月末にも承認の可能性-手代木社長</p><p>塩野義新型コロナ飲み薬、中国で3月末にも承認の可能性-手代木社長</p><p>新型コロナウイルス感染症軽・中等症向け経口薬の開発に成功した塩野義製薬は、感染状況が深刻な中国で承認申請に向けて当局と「最終の詰め」の段階にあり、3月末にも承認される可能性があると手代木功社長が4日、インタビューで明らかにした。承認が出れば現地で年間1億人分を供給する用意があるという。</p><p>新型コロナ経口薬「ゾコーバ」 Source: Shionogi & Co. 新型コロナウイルス感染症軽・中等症向け経口薬の開発に成功した 塩野義製薬 は、感染状況が深刻な中国で承認申請に向けて当局と「最終の詰め」の段階にあり、3月末にも承認される可能性があると手代木功社長が4日、インタビューで明らかにした。承認が出れば現地で年間1億人分を供給する用意があるという。 手代木氏は大阪市内の本社でのインタビューで、新型コロナ経口薬「ゾコーバ」を年間1億人分生産する体制を南京市にある工場で整えており、今月内にも正式に承認申請を行う可能性があると述べた。同社は12月末に現地企業との流通・販売契約も締結している。 塩野義製薬・手代木社長(4日・大阪) Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg 足元で当局とのやりとりが「とても速いペース」で進んでいるとした上で、関連データの提出を昨年夏に始めていたことを踏まえ、3月末までに「承認を得られることにとても楽観的」と明らかにした。 中国では12月に政府の新型コロナ対策の方針が大きく転換したことで、感染者が急激に増えている。インターネットに出回った中国国家衛生健康委員会の 会議録 では、北京や四川省などで人口の過半が感染し、同月20日までの20日間の感染者数は2億4800万人とも推計される。感染拡大に歯止めはかかっておらず、治療薬に対する期待も大きい。手代木氏は「市場も大きく将来われわれが期待している一番のマーケット」だと語った。 同社は国内で3月末までに350万人分を生産する予定で、政府の買い上げ200万人分を除く150万人分については、ほかの国への輸出も視野に入れている。手代木氏は、承認が下りれば感染が急増する中国へ優先的に輸出する考えを示した。同社は4日に臨床試験に参加していた韓国で正式に承認申請が受理されたことを発表している。 国内で採用進まず   一方で、同社の経口薬が緊急承認された国内では、国が買い上げた200万人分のうち、4日までに投与されたのは約1万人にとどまり、さらなる普及が課題だ。 国は同薬の承認後に、米ファイザー製の新型コロナ治療薬の投与実績がある医療機関や薬局から供給を始めていたが、加藤勝信厚生労働相は12月15日以降に都道府県が選定した医療機関・薬局へも供給するとして、供給 範囲 を広めた。   手代木氏は、国の買い上げであるため企業側からプロモーションができなかったこともあり「なかなか登録医療機関や登録薬局が増えなかった」と吐露。12月下旬に取り扱う医療機関や薬局が増えて「やっとここから」だと述べた。 ジェフリーズ証券のアナリスト、スティーブン・バーカー氏は、国内で国が買い上げた分の使用が進んでいないことから「来期に国内売上高が減る可能性がある」と指摘した上で、中国の承認申請には通常1年かかるが、感染の急増で当局が承認を早めることが考えられると4日付のリポートでコメントした。   同社は新型コロナ経口薬について、世界規模で展開できた段階で最大年間20億ドル(約2640億円)の売上高に貢献すると予想している。 ワクチンだけでは厳しい 同社は米国立衛生研究所(NIH)の支援を受けて、経口薬のグローバル臨床試験を進めている。発症予防効果や、現在同薬の対象としていない6-11歳の小児への臨床試験も現地で開始しており、手代木氏は国内でも準備でき次第今月か来月に開始する予定だと明らかにした。   予防効果に関しては、重症化リスクのあるコロナ患者向けに経口薬を開発した米ファイザーが臨床試験で偽薬との統計的な差異を示せず、失敗した経緯がある。   手代木氏は、感染力が強いオミクロン株が主流になってから感染と発症は「ますます抑えにくくなっている、ワクチンだけでは厳しい」との見解を示した上で、「われわれの抗ウイルス剤の出番はそれなりにはまだまだ残る」と予想。経口薬のみで1100億円と売上高全体の4分の1をコロナ関連が占める今期(2023年3月期)の業績予想に変更はないとした。 最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中</p>