BMW Mモータースポーツの責任者であるアンドレアス・ルースは、BMW MハイブリッドV8がデビューしたデイトナ24時間レースについて、2台の新型LMDhカーにとって「タフで難しいレースだった」としながらも、走行距離に関しては「チェックボックスに印を付けられる」つまり、当該項目を満たしたと考えている。
24号車BMW MハイブリッドV8は、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦で優勝したメイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-06から15周遅れ、総合6位/GTPクラス6位でフィニッシュした。また、BMW MチームRLLの姉妹車25号車は、序盤にハイブリッドシステムに問題が発生した影響で130周以上ロスし、総合49位でのフィニッシュとなった。
ルースはSportscar365に対し、BMWは信頼性の問題をさらに分析するとしながらも、これまでで最長の連続走行を果たしたことに満足感を示している。
「タフで難しいレースだった。だが、正直なところ、新しい時代に新しいタイプのレーシングカーを24時間レースにぶっつけ本番でスタートさせるのは簡単ではない、と予想していた」と語ったルース。
「2、3時間のレースから始める方が簡単だっただろうが、そういうものだ。最終的にはどちらのクルマもチェッカーフラッグを受けることができたので、よかったと思う」
「1台(25号車)は序盤に(ガレージで)長いこと止まってしまい大きくタイムを失ってしまった。一方、もう1台(24号車)はとてもうまくいった。長い間表彰台を狙える位置を走っていたんだ」
「正直に言うと、私たちは数週間前にはここにクルマがあることを願っていた。うまくいけば彼らは走るだろう、という希望を抱いてね。最終的にはボックスの中にチェックが入った。これは多かれ少なかれ完走した初の耐久走行であり、実際の(レースの)コンディションで完了したからだ」
「私たちは多くのデータを収集し、それが大きな助けとなった。また今後の発展にも大いに役立つだろう。私たちは、準備段階で自分たちが望んでいた走行距離を達成できなかったことを秘密にしたことはない」
「だから、私たちは少し後手に回り、ショーを揺るがすような存在にはなれなかった。我々は弱者とみなされていたんだ。しかし、私たちは皆レーサーであり、勝ちたいと思っている。一方では笑顔でいるが、もう一方ではもっとうまくいったはずだと思っているんだ」
■ハイブリッド問題の原因はMGUとMCUが疑われる
BMW MチームRLLは、ニック・イェロリーが最初に予定されていたピットストップの直前にウォールの後ろにマシンを置いた後、ボッシュ製のモーター・ジェネレーター・ユニット(MGU)とウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製のバッテリーを交換した。
この作業についてルースは、MGUの故障がトラブルの原因であり、バッテリーは元のシステムの他の部分が破損した場合に備えて交換したのだと説明した。
「正直なところ、何が問題だったのかを完全に説明することはできない」と同氏。
「データ上では問題があることがわかった。それから、ハイブリッドシステムに問題があることを確認した。しかし何が問題なのか、直接見ることはできなかった」
「安全上の理由からすべてのコンポーネントを交換した。(問題の原因は)MGUとマイクロ・コントロール・ユニット(MCU)の側が強く疑われた」
その後25号車は約2時間半にわたった作業を終えてレースに復帰すると、夜間のほとんどの時間を走破し翌日のチェッカーを受けたが、その途中にはギアが3速でスタックする症状が見られた。
コナー・デ・フィリッピとシェルドン・ファン・デル・リンデのスピンはこのことが関係していると考えられている。
「シフトチェンジに問題があったんだ」とルースは説明した。「これはまだ(原因が)わかっていない。ドライバーは順応してくれたし、私たちもいくつか調整を行った。だから大きな問題にはならなかった」
■24号車はブレーキ・バイ・ワイヤにトラブル発生
24号車は好調に走っていたが、ブレーキ・バイ・ワイヤのトラブルでガレージに入ることになり、最終的にリードラップに立つチャンスは失われてしまった。
ルースは「このせいでブレーキの摩耗が限界に達してしまった」と説明した。「リスクを避けるため、そしてすでに何周か遅れていたため、安全策をとってブレーキ交換を行った。これはブレーキ・バイ・ワイヤの不具合と関係がある」。
「なぜこの問題が発生したのか、それについては詳しく分析して確認しなければならない」
彼はまたBMWの4リッターV8ツインターボエンジンは終始「トラブルなく」走り、ブレーキに問題が発生する前の24号車の走りは「励みになった」と語った。ただし、24号車のペースは姉妹車の25号車と比べて遅れていた。
「データを確認すると、24号車のペースが不足していたことは明らかだ」とルースは評価した。
「これを理解し分析しなければならない。しかし25号車のペースを見ると、キャデラックやポルシェが走っているところと重なるレベルにあった。我々としてはこれでOKだった」
「準備期間中の走行距離が少ないため、まだクルマのすべてを知っているわけではないことは分かっていた。最悪なのは3万キロ走ったのに遅いことだ。今回はそれとは違う状況だった」
「あとは(終盤のトラブルを除いて)24号車の信頼性と25号車のスピードを組み合わせるだけで済む。ミックスしてシャッフルするだけだ」