プロトン・コンペティションのドライバーであるジェームス・アレンは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦『デイトナ24時間レース』のLMP2クラスでベン・ハンリー駆る04号車オレカ07・ニッサン(クラウドストライク・レーシング・バイ・APR)を破る“ハナ差”のフォトフィニッシュを決めた際、終始息を殺していたと語った。
プロトンの55号車オレカ07・ニッサンを、フレッド・プアダッド、フランチェスコ・ピツィ、ジャンマリア・ブルーニとシェアしたアレンは、LMP2初参戦のドイツチームに激戦の末、プロトタイプカテゴリーでの初優勝をもたらした。
ハンリーがドライブする04号車オレカとプロトンの55号車オレカのギャップは、24時間レースのチェッカーフラッグが振られたフィニッシュラインでわずか0.016秒で、アレンがハンリーのスリップストリームから抜け出した直後、このわずかの差で後者が逆転し勝利を奪った。
チェッカーまで残り4周の時点では88号車オレカ07・ギブソン(AFコルセ)の後方、クラス3番手を走っていたアレン。彼は最後の力を振り絞るまでこのレースで優勝する可能性は低いと考えていたという。
「正直なところ、僕たちにあまり勝算はないと思っていた」とアレンは語った。
「AFコルセのマシンの後ろにずっといて、クラウドストライクのマシンがどんどん離れていくのが見えた。だから、AFコルセのマシンを抜いたときには、かなり距離があったんだ」
「正直に言って追いつけるとは思っていなかったけど、徐々にギャップが縮まりラスト2周からスタート/フィニッシュラインに向けていい走りができていることが分かった」
オーストラリアのドライバーは、ファイナルラップの開始時にターン1に入るリーダー対して最初の仕掛けを行い、ハンリーがコーナー出口で彼をワイドに走らせるためだけに外側を回るオーバーテイクの動きを試みた。
アレンはその時点で、すでに自分がラップの後半で主導権を握る別の機会があることを感じていたという。
「(ファイナルラップに入る直前の)スタート/フィニッシュラインの手前で彼の前に出たので、無理をしてリスクを冒す必要はないと思ったんだ」とアレン。
「それでも『僕はちゃんとできただろうか? 充分な時間はあるか? 出口は良かったか?』と考えながらバス・ストップ(ル・マン・シケイン)を出た」
「幸運にも僕はそうして彼に並びかけて前に出たんだ。スピードウェイ4(オーバル部の第4コーナー)からスタートライン(があるバンク)に上がるとき、僕は息をしていなかったと思う」
「とてもクレイジーな瞬間だった。あんなことは初めてだし、おそらくこれからもないだろう。本当に素晴らしい気分だったよ」
■「勝利に近づいたチームを誇りに思う」とハンリー
一方、敗れたハンリーは惜しくも優勝を逃したものの、04号車が勝利に近づいたことは「信じられないこと」だったと述べた。
ハンリー、ジョージ・カーツ、マット・マクマリー、エステバン・グティエレスが駆るグレーとレッドのオレカ07は、アルガルベ・プロ・レーシングの新しいエントリーの初レースで170周をリードし、終始好調な走りを披露した。
ブロンズドライバーのカーツは、これまでLMP3カテゴリーに参戦していたが、LMP2カテゴリーでは今回が初参戦だった。
ハンリーはレース終盤、35号車オレカ07(TDSレーシング)をドライブするヨブ・バン・ウイタートの追撃を抑え、これにより勝利をほぼ手中に収めたかに思われた。その後のアレンとの最終決戦では、ほんのわずかの差で勝利を逃すことになったが、彼はチームが胸を張ってデイトナを去ることができると信じている。
「結果は理想的とは言えないが、この週末から得られるものは多い」と語ったハンリー。
「僕たちはとてもディープなLMP2の分野で、すぐに競争力を持つことができることを示した」
「新しいチーム、新しいドライバーグループとしてこのロレックス・デイトナ24時間にやってきて、あそこまで勝利に近づけたことは信じられないくらいだ。クラウドストライク・レーシングとアルガルベ・プロ・レーシングの皆の努力を本当に誇りに思う」
「(敗戦のキズは)少しは痛いけれど、ここからセブリング12時間やその他のミシュラン・エンデュランスカップの残りのシーズンに向けて、多くのことを得ることができるはずだ」