ヒョンデ・モータースポーツのチーム代表に就任したシリル・アビテブールが、同社がF1参戦を検討する可能性について聞かれ、現時点ではラリーに集中しているとしながらも、長期的に見た場合、100パーセントないとはいえないと示唆した。
2026年にF1パワーユニット(PU)レギュレーションが大幅に変更されることで、アウディがF1参入を決定した。他にもいくつか参戦がうわさされたメーカーのなかに、ヒョンデが含まれていた。
アビテブールは長くF1で活躍した人物で、ケータハムF1のチーム代表、ルノー・スポールF1のマネージングディレクターを務めてきたが、2021年にルノーを離脱。そして今年1月12日、ヒョンデ・モータースポーツのチーム代表に就任することが発表され、ヒョンデが行うWRC世界ラリー選手権での活動をはじめとしてラリーやツーリングカーでのカスタマーレーシング・プログラムの責任者を務めることが明らかになった。
F1での経験を持つアビテブールが代表に起用されたことで、ヒョンデがF1プロジェクトを検討するのではないかという推測が再び持ち上がった。アビテブールは、現時点でそういう動きはないとして、このうわさを否定している。
ラリー・モンテカルロを前に行った会見において、ヒョンデにはF1参戦計画が存在するかと聞かれたアビテブールは「特に計画はない」と答えた。
「ヒョンデは、新しい製品ラインアップや独特の領域で、世界規模で大きな発展を遂げようとしているホットな企業だ。モータースポーツはビジネスをサポートするためにある」
「従って、私としては、社の他の人々とともに、ビジネスが何を必要としているのか、今我々はどのようにしてそれをサポートすることができるのかについて、理解する必要がある」
「ラリーは、スモール・セグメント・カーのサポートをするうえで、最良のソリューションだった。ラリーがそれとの関連性を維持できるようにする必要がある。そのことが現時点での最優先事項だ」
「我々は準備を進めている。勝利を収め、ラリーがビジネスの利益に貢献し続けるようにしなければならない」
現時点でのヒョンデのF1プロジェクトを否定したアビテブールだが、将来的に参戦を検討する可能性はないのかと重ねて尋ねるメディアに対し、長期的な将来として見た場合に可能性はゼロではないと示唆した。
「『イエス』とは言いたくない。そう言うと、ヒョンデがF1に参入するという話にされてしまうだろうからね。だから、最初に言った答えに戻りたい。モータースポーツをビジネスに役立てる必要がある。今はラリーがビジネスに貢献しているし、FIAやプロモーターと協力し合いながら、この状態を維持することが優先事項だ」
「それに加えて他のことをする必要があるのであれば、それについていずれ見ていくことになる。だが、今のところそれは優先される問題ではない。優先事項はラリーで勝つことだ」