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新型クラウンセダン中国で初披露!! …って…長くない…?? いまセダンの流行って「ロング化」なの???

 2022年12月30日に広州モーターショーで発表された、中国向けの新型「クラウンセダン」。2022年7月に世界初公開となったものとほぼ同じデザインでの登場だったが、注目なのはボディサイズ。全長5030mm×全幅1890mm×全高1470mm、ホイールベースは3000mm(すべて開発目標値)と、異常に長い。

 中国では、クルマにロングホイールベースであることが求められる。そのため、グローバルで販売されているモデルも、中国仕様では、ホイールベースが伸ばされているモデルが多く、その範囲は、セダンのみならず、なんとコンパクトSUVにまで及ぶ。中国専売のロングホイールベースモデルを4つ、ご紹介しよう。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:一汽丰田、Mercedes-BENZ、BMW、Audi、JAGUAR、VOLVO

ロングホイールベースモデルは、中国の人々にとってステータス

 広州モーターショーで公開された新型クラウンセダンは、レクサスLS(5235×1900×1450mm、WB3125mm、2WD)よりは小さいものの、現行ランドクルーザー(4985×1980×1925mm、WB2850mm、ZX)の全長とホイールベースを超えるサイズだ。もちろん先代クラウンより大きい。このまま日本でも同じ仕様で出るかどうかはわからないが、おそらく新型クラウンセダンは、現在もセダン需要の高い中国市場を強く意識して開発されているモデルなのだろう。

広州モーターショーでお披露目された新型クラウンセダン。かなり中国市場を意識したロングホイールベース具合だ
広州モーターショーでお披露目された新型クラウンセダン。かなり中国市場を意識したロングホイールベース具合だ

 冒頭で触れたように、中国市場ではセダンのロングホイールベース仕様が人気だ。メルセデスやBMW、アウディなどドイツのプレミアムブランドを中心に、ボルボ、ジャガーなども、中国専用にロングホイールベース仕様を用意している。フーガやスカイラインなど日本車メーカーも、かつてはロングホイールベース仕様を用意していた。

 標準モデルよりも、後席スペースが広くなるロングホイールベース仕様は、後席がくつろぎの空間になり、見た目にも堂々としている。そのため、ロングホイールベースであることは、世界的には運転手付きのショーファードリブンに使われるような高級車に求められることが多いのだが、おもてなしの文化が根強い中国では、客人を後席へ乗せるために、コンパクトモデルにも、ロングホイールベースであることが求められる。たとえコンパクトモデルであっても、エンブレムにつけられる、(ロングの)「L」は、中国の人たちにとっては、ひとつのステータスなのだ。

中国仕様のボルボS90リチャージ。全長は5,090mmと、日本仕様に比べて120mm長い
中国仕様のボルボS90リチャージ。全長は5,090mmと、日本仕様に比べて120mm長い

あの3シリーズもロングホイールベースに!! BMW 330Li

 BMWの基幹モデルである3シリーズは、中国では、標準モデルの他にロングホイールバージョンが用意されている。標準モデルのボディサイズは全長4728mm×全幅1827mm×全高1452mm、ホイールベース2851mmであるが、ロングホイールベースバージョンは全長4838mm、ホイールベースは2961mmと、それぞれ110mm長い。

 価格は標準モデルが29万9900元(約586万8700円)〜、ロングホイールベースバージョンが32万1900元(約629万9200円)と、ベースグレードでも約43万円の違いが。かなりの価格差だが、中国の人々にとっては、許容できる価格差のようだ。

中国仕様のBMW3シリーズ、ロングホイールベースバージョン。標準より110mm長い
中国仕様のBMW3シリーズ、ロングホイールベースバージョン。標準より110mm長い

コンパクトセダンも中国では長くなります!! メルセデス Aクラス「L」

 ジャーマンコンパクトセダンのAクラスセダンは、中国仕様の場合、AMGは標準ボディか「L」を選択できるが、通常モデルは「L」ワンサイズになる。

 ボディサイズは、日本仕様では、全長4420mm×全幅1800mm×全高1420mm、ホイールベースは2730mmだが、中国仕様では、全長4622mm×全幅1796mm×全高1459mm、ホイールベースは2789mmとなり、全長で202mm、ホイールベースで59mm長い。それでも、全体のバランスが悪くなっていないところは、さすがメルセデスだ。

中国仕様のAクラスセダンL。バランスは悪くないところがさすがメルセデス
中国仕様のAクラスセダンL。バランスは悪くないところがさすがメルセデス

コンパクト、しかもSUVも長く!! アウディQ2「L」

 アウディQ2は、ラインアップの中でも都会的でユニークなデザインの、個性あふれるコンパクトSUVだが、こちらも中国ではロングバージョンとなる。

 日本仕様のボディサイズは全長4200mm×全幅1795mm×全高1530mm、ホイールベースは2595mmだが、中国仕様では、全長4270mm×全幅1785mm×全高1547mm、ホイールベースは2,628mm。全長で70mm、ホイールベースで33mm長くなる。このクラスの、しかもSUVにまでロングホイールベースが求められるとは、驚きだ。

中国仕様となるロングホイールベースバージョンのアウディQ2L。やっぱりちょっと長い
中国仕様となるロングホイールベースバージョンのアウディQ2L。やっぱりちょっと長い

これだけ長いと相当快適なはず!! ジャガーXFL

 英国の気品漂うプレミアムサルーンのXFも、中国仕様は「L」がつくロングホイールバージョンだ。標準仕様が全長4970mm×全幅1880mm×全高1455mm、ホイールベースは2960mmであるのに対し、中国仕様は全長5102mm、ホイールベースは3100mmと、それぞれ132mm、140mmも長い。これだけ長くなると相当後席は快適だろう。

ジャガーXFL。これだけ長くなると相当後席は快適だろう
ジャガーXFL。これだけ長くなると相当後席は快適だろう

◆      ◆     ◆

 世界のプレミアムブランドたちが中国のためだけに、ロングホイールベース仕様を用意するのは、ロングホイールベースが中国で好まれるということのほか、中国が莫大な市場であること、そして、中国で販売されるクルマは、中国国内で車両生産が行われるため、中国のユーザーのことだけを考えた仕様につくり込めるということもあるのだろう。

 まさに所変われば品変わる。こうした独自のクルマ文化は、非常に興味深い。

【画像ギャラリー】あのセダンもロングに!? 中国専売のロングホイールベースモデルたち(18枚)画像ギャラリー

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