スクーデリア・フェラーリは、ブロックチェーン分野の大手企業ヴェラス(Velas)とのスポンサーシップ契約を2023年に向けて更新しなかったようだ。すでにチームの公式サイトからヴェラスの名前が消えている。
2022年11月にアメリカの仮想通貨大手取引業者FTXトレーディングが経営破綻したことが、世界的な騒動に発展しており、これがフェラーリとヴェラスの契約に影響を及ぼしたものと推測される。
FTX経営破綻は、同社とスポンサー契約を結んでいたメルセデスF1チームに直接的に影響し、他チームも警戒を強めている。当時フェラーリのチーム代表を務めていたマッティア・ビノットは、次のように発言していた。
「このことに我々は注意する必要がある。今のところ何もできることはないので、状況を見守っている。状況を把握し、予想することは非常に難しく、注視している状況だ。我々に関係する出来事であるが、今のところはすべてが安定しており、問題はない」
その後、FTX経営破綻の影響は他の仮想通貨関連企業にもおよんだ。ヴェラスはフェラーリとの契約に定められた経済的な義務を果たさず、一方でフェラーリはヴェラスにNFT(非代替性トークン)アートを製作することを許可するという項目に従わなかったと言われている。そのような状況のなかで、フェラーリとヴェラスの契約が更新されなかったことは意外なことではない。
フェラーリは2021年終盤、ヴェラスとの複数年契約を発表、そのロゴがマシンとレーシングスーツに飾られていた。
2023年に向けてフェラーリは、クアルコム社が開発するスマートフォンの部品SoCブランド、スナップドラゴン(Snapdragon)との契約も終えたようだ。ヴェラスもスナップドラゴンも、フェラーリにとって重要なパートナーであり、多額の資金をもたらしていた。
一方で、フェラーリには新たなスポンサー/パートナーが2023年から加わるようだ。サイバーセキュリティ企業のビットディフェンダー(Bitdefender)とソフトウェアビジネスのHCLソフトウェアのロゴが、チーム公式サイトに表示されている。これらがもたらすスポンサーマネーは、ヴェラスとスナップドラゴンとの契約終了による損失を完全に埋め合わせるだけの額にはならないだろう。しかし、フェラーリは2022年にコンストラクターズ選手権2位を獲得したことで、プライズマネーが増額されるため、全体的な運営資金は大幅に増える見通しであると、チーム関係者は明かしている。