メルセデスCクラス対Eクラス: エステートカーには大きなサイズが重要か?メルセデスCクラスとEクラス エステートは、クラシックなエステートの美点を備えている。しかし、日常生活において重要なのは、スペースの広さだけではない。
メルセデスの「Cクラス エステート」と「Eクラス エステート」は、どちらも優れたステーションワゴンだ。確かに、一方は中級モデル、もう一方は「メルセデス ワゴン」の最上位モデルだ。しかし、バランスよく考えると、大きい方が必ずしもいいと言えないのではないだろうか?AUTO BILDが2台を比較してみた!
実用的な価値という点ではEクラスが優位に立つ
「C200 T」より20センチ長い「メルセデスE200 T」は、ユーティリティが大幅に向上している。荷物用スペースも一回り大きくなった。
トランク容量は640~1820リットル、一方「Cクラス」は490~1510リットル、最大積載量624kg対582kg、牽引力2.1トン対1.8トンとなっている。また、60cmのローディングシルは、「E200」のほうが「C200」よりも5cm低くなっている。
「Eクラス」では、「Cクラス」よりも明らかに低い位置に座り、より道路に近く、大きくて快適なシートでとても快適に過ごすことができる。「Cクラス」のシートは、より小さく、より硬くなった。リアは、それほど大きな差はなく、どちらのリアシートでもきちんとした座り心地を保っている。
Cクラスは操作性でポイントを獲得
Cクラスには、手の届きやすい大きなタッチスクリーンを備えた、よりモダンなMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエキスペリエンス)システムが搭載されているという明確なアドバンテージがある。Eクラスは1モデル世代遅れている。
【車両データ】
モデル | メルセデスC200エステート | メルセデスE200エステート |
エンジン | 4気筒ターボ、マイルドハイブリッド | 4気筒ターボ、マイルドハイブリッド |
排気量 | 1496cc | 1991cc |
最高出力 | 204PS+20PS | 197PS+14PS |
最大トルク | 300Nm | 320Nm |
駆動方式 | 後輪駆動、9速AT | 後輪駆動、9速AT |
0-100km/h加速 | 7.5秒 | 7.7秒 |
最高速度 | 240km/h | 231km/h |
全長/全幅/全高 | 4751/1820/1454mm | 4945/1852/1460mm |
トランク容量 | 490~1510リットル | 640~1820リットル |
乾燥重量 | 1743kg | 1851kg |
テスト時平均燃費 | 12.5km/ℓ | 11.1km/ℓ |
価格 | 49,326ユーロ(約720万円)より | 56,138ユーロ(約820万円)より |
「C200」には1.5リッターの4気筒エンジンが搭載され、「E200」では、2.0リッター4気筒エンジンが搭載されている。どちらもマイルドハイブリッド技術で動作する。「Cクラス」の1.5リッターは204馬力を発揮し、さらに20馬力のEブーストが加わるが、高回転域ではかなり力強くうなり声を上げる。
Eクラスを物語るシャシー
「Eクラス」に搭載される2.0リッターは197馬力+14馬力で、こちらもうなるようなエンジン音だが、終始リラックスして自信に満ちた走りを続ける。走行性能に大きな差はなく、テストでは「E200」の方が、若干燃費が劣った。エアサスペンション(1785ユーロ=約26万円)を装着すれば、豊かで力強くも緩やかな乗り心地が得られる。
「Cクラス」にはエアサスペンションがなくなり、「C200」は「E200」より足が軽く扱いやすく、ソフトな乗り心地になっている。
6,812ユーロ(約100万円)という金額が、「C200 T」と「E200 T」(ともにオートマチックトランスミッション)の価格差であるが、それをどう評価するかが購入の際の決め手となる。
メルセデスCクラスTとEクラスTの比較
結論:
「C200エステート」は、上品なエステートだ。しかし、どうにかして予算が許すのであれば、Eクラスをお勧めする。より大きくなった「Eエステート」は、クラシックなエステートの良さをさらに引き出している。しかも、それほど価格差も大きくなく、「Cエステート」と比較しても高価なものではない。
【ABJのコメント】
この「メルセデス・ベンツCクラス」と「Eクラス」、どちらを選ぶべきか問題は、実に興味深い話である。いまや以前のEクラス「W124」よりずっと立派で大きくなった「C」と、それ以上に大きくゆったりした「E」。そのどちらを選ぶべきなのか、というのは本当に深い(?)問題であるといえよう。とはいっても、もちろんそれは新車を買うときの話というよりも、中古車などを選ぶ場合により重みを増す問題で、その理由は新車を買う時よりもずっと小さい価格差でこの2台を選ぶことができるからだ。
新車時では、200~300万円も違う「C」と「E」が、中古車になると、ほぼ同価格で購入できることもある。「Cクラス」がそれだけ人気の高い車なのか、「Eクラス」がイマイチ不人気なのかはわからないが、それでも中古車市場において、この2台を迷うケースは結構多いのではないだろうか。
今回のレポートを読んで、そうだよな、と思ったのは「Cクラス」が比較的新しいモデルなのに対し、「Eクラス」はモデル末期で、そろそろ新型が噂されるころ、という時期と、だからこそ「Eクラス」がクラシカルな魅力を持っているのではないか、と記されている部分である。熟成されてクラシカルな魅力、それこそが本来メルセデス・ベンツの持つべき魅力の一つなのではないか、そう思う。そして今の「Cクラス」に欠けている部分は、そんな熟成度の部分でもあると思う。では「Cクラス」がもっと熟成が進んだら、「Eクラス」と並んだり、凌駕したりするのだろうか?それはなんとも言えないが、やはり「C」と「E」とでは、その間に超えられない壁のようなものがあることが、いつも乗ると感じられる。それはもちろんコストの問題かもしれないし、質量や精度的なものの違いなのかもしれない。でも「C」と「E」はやはり似ている(もはやそっくり)けれど、ぜんぜん違う車だと思う。
昔の「Sクラス」並みに大きい「E」と「W124」よりも立派な「C」。街中中心で使いやすいのはもちろん「C」だけれど、一定の距離を走るのならばやっぱり「E」かもしれない、というのが私の結論である。
Text: Jan Horn
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de