2022年FIA授賞式において、F1コンストラクターズタイトルを獲得したレッドブル・レーシングを代表して出席したチーム代表クリスチャン・ホーナーとFIA会長モハメド・ビン・スライエムが、バジェットキャップ違反やF1レギュレーションの不備に触れ、気まずい雰囲気が流れた。
12月9日にイタリア・ボローニャで実施された授賞式において、ビン・スライエムFIA会長は、ホーナーにトロフィーを手渡す際、「クリスチャン、このカップはコストキャップとは関係ないからね。これはFIAからだ。君たちのコスト上限額から差し引くつもりはない」と述べた。レッドブルは、2021年にレギュレーションで定められた予算上限額を超えた額を使ったことが明らかになり、今年10月にペナルティを受けることが決定した。
ホーナーは、FIA会長の言葉に対して「それはとても寛大だね。ありがとう」と答えた。
その後、ホーナーは、受賞の挨拶のなかで、レッドブル社創設者で10月に死去したディートリッヒ・マテシッツにタイトルを捧げると、改めて述べる際に、マックス・フェルスタッペンがドライバーズタイトルを確定させた日本GPで、レギュレーションに関して混乱があったことに触れた。
F1レギュレーションでは、決勝の走行距離に応じて獲得できるポイントが減算されるシステムが定められている。2022年日本GPは、雨の影響で決勝序盤で赤旗中断となり、その後、レースが再開されたものの、時間制限が適用され、53周のレースが28周で終了となった。つまり約50パーセントしか走行しなかったことになり、付与されるポイントは削減されるものと考えられたが、レギュレーションにおいて、ポイント減算は「レースが中断され、再開できなかった場合」に適用されると記されていたため、フルポイントが与えられた。
このレギュレーションの解釈をめぐり、混乱が生じ、フェルスタッペンがタイトルを確定させたのかどうか、本人もしばらく確信を持てずにいた。
ホーナーはFIA授賞式の挨拶で、次のように述べた。
「この賞をディートリッヒ・マテシッツ氏に捧げたい。ありがたいことに、マックスが日本でタイトルを決めたのを、彼は見ることができた。あの時、ポイントについて幾分混乱があったがね」
これを受けて、ビン・スライエム会長は次のように発言した。
「あなたが日本に関して話したことについてだが、日本が物議を醸したと言ったね。それは違う。FIAはポイントの件で非難されたが、ルールを作ったのはFIAではなかった。あのルールを作ったのはチーム側で、我々はそれを実行したのだ」
FIA会長のスピーチの途中で、そばにいたF1のCEOステファノ・ドメニカリが「ふたりとも、集中しよう」ととりなそうとする場面もあった。スピーチを終えたFIA会長とホーナーは、最後に握手をした。