2023年はアウディ陣営が拡大か。シリーズはクムホタイヤにスイッチ/TCRオーストラリア

 今季2023年カレンダーの一部を構成する“バサースト・インターナショナル”が、新生『TCRワールドツアー』に組み込まれることが内定しているTCRオーストラリアシリーズは、新シーズンに向けいくつかの運用変更点をアナウンス。新たに予選ポイントのシステムを導入するとともに、以前のサプライヤーであるミシュランに代わって、新たな複数年契約を締結したクムホが公式タイヤサプライヤーとして指名されている。

 また、例年タイトル争いの輪に加わる強豪メルボルン・パフォーマンス・センター(MPC)は、今季より3台のアウディRS3 LMS 2の投入を予定。プライベーターとして奮闘してきたザック・ソーター(チーム・ソーター・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)も、ホンダからアウディへのスイッチを計画しており、シリーズにおけるアウディ陣営の勢力がさらに拡大することが見込まれている。

2023年TCRサウスアメリカに全26台が参戦。新型トヨタ・カローラGRS TCRは6台がグリッドに

 創設3年目となる2023年のTCRサウスアメリカ・シリーズを主催するプロモーターは、1月23日付で今季より併催されるTCRブラジルとの共同声明にて、全26台の暫定エントリーリストを発表した。

 3月25〜26日にアルゼンチンで実施される開幕戦では、2022年のドライバーズ&チームの両タイトルを獲得した、地元拠点のPMOモータースポーツ率いる8台全10チームが含まれ、注目の新型『トヨタ・カローラGRS TCR』は、既報のとおり6台の参戦が見込まれており、少なくとも3つの異なるチームの手によって本格参戦初年度のグリッドに並ぶことが明らかになった。

初年度『TCRワールドツアー』は欧州4戦目としてイタリア・ヴァレルンガを選抜。ハンガリーと連戦に

 TCRイタリア・シリーズのカレンダーにも組み込まれる、ヴァレルンガ・サーキットを運営するACIヴァレルンガとACIスポーツは、2023年のイベント計画が承認されたのを確認するとともに、今季2023年より創設されるTCR規定の新たなグローバル選手権『TCRワールドツアー』のヨーロッパ域内4番目のイベントとして、ツアースケジュールに組み込まれたことを発表。6月9〜11日の週末に、TCRイタリアから最大18人のレギュラーも参加することがアナウンスされた。

新型『トヨタ・カローラGRS TCR』最初のカスタマーは強豪パラディーニの2台体制に/TCRサウスアメリカ

 創設3年目のシーズンとなる2023年のTCRサウスアメリカ・シリーズに向け、アルゼンチンの強豪パラディーニ・レーシングが参戦体制を発表。昨季2022年終盤3戦に“TOYOTA GAZOO Racingラテンアメリカ”としてテスト参戦し、賞典外ながら早くも2勝を飾った新型『トヨタ・カローラGRS TCR』の2台体制を敷くとアナウンスし、同車を走らせる世界初のカスタマーチームとなることが確定した。

撤退騒動に揺れたリンク&コー・シアン・レーシング、新設のTCRワールドツアーに4台体制での参戦を表明

 2022年WTCR世界ツーリングカー・カップ第7戦を前に、ディフェンディングチャンピオンとしてシーズンを戦いながら「コントロールタイヤに関する安全性の懸念が継続している」として「WTCRプログラムの即時中止」と電撃的な撤退をアナウンスしていたリンク&コー・シアン・レーシングが、WTCR後継として今季2023年より創設されるTCRワールドツアーへの参戦を正式に表明。スウェーデンを拠点とする強豪チームは、ここまでBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)に苦しんできたリンク&コー03 TCRの4台体制で挑むことを明らかにした。

 2022年5月に開催されたドイツ・ニュルブルクリンクでの第2戦に端を発した同問題は、ノルドシュライフェで走行を開始したホンダやリンク&コー陣営を中心に、タイヤの予期せぬパンクや層間剥離のような症状が頻発し、予選までを実施した段階でレース開催自体がキャンセルされる緊急事態となった。

今季本格参戦の新型『トヨタ・カローラGRS TCR』、最初のドライバーにベルナルド・ラヴァーを起用

 南米大陸でトヨタのモータースポーツ活動を牽引するTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)と、その母体であるトヨタ・アルゼンティーナは、2023年のTCRサウスアメリカ・シリーズに向け、アルゼンチンの人気ツーリングカー選手権、スーパーTC2000(STC2000)で活躍するベルナルド・ラヴァーの起用を発表。また2022年のTCR規定“モデル・オブ・ザ・イヤー”には、世界中で開催されるシリーズ戦で合計76勝を記録し、約8500ポイントを稼ぎ出した『アウディRS3 LMS 2』が2年連続で選出され、同部門連覇を達成すると同時に、初代と合わせて通算3度目の栄冠に輝いている。

仮称HTCRとして導入予定の共通ハイブリッド機構は2024年に延期。規格の“持続可能性”が課題に

 TCR規定ツーリングカーを統括するWSCグループは、2023年から予定していた共通ハイブリッド機構の導入を2024年まで延期すると発表し、理由として「世界的なツーリングカー競技のフォーマット変更」を挙げている。

 イタリアを拠点にWTCR世界ツーリングカー・カップにも参戦したロメオ・フェラーリの支援協力も得て、広範なテストプログラムを通じた技術開発が続けられてきた仮称“HTCR”と呼ばれる同システムは、2022年末の段階でほぼ完成の状態まで仕上げられており、メーカーやプロモーターからも強い関心を呼び起こす起爆剤になることが期待されていた。

ホンダ系の強豪が4台体制を確定。アルゼンチン国内を除く来季開催地詳細も/TCRサウスアメリカ

 今月12月初頭にも、新規創設TCRブラジルとの併催を含めた3カ国全10戦のスケジュールが確定した2023年のTCRサウスアメリカ・シリーズだが、開催各サーキットが未定となっていた創設3年目のスケジュールのうち、アルゼンチン国内を除くカレンダーの詳細が確定。併せて従来のダンロップに代わり、2023年より新たなタイヤサプライヤーとしてクムホが指定された。

 その南米シリーズ新年度に向け、強豪スクーデリア・マルティーノは4台体制のうち残る3台のラインアップも公表。すでに起用を発表済みだったアルゼンチン出身の若手有望株イグナシオ・モンテネグロに加え、前年度の耐久イベント覇者ファビオ・カサグランデらの残留がアナウンスされている。

ネストール・ジロラミ、新型『FL5ホンダ・シビック・タイプR TCR』に好感触「確実に2段階は進化した」

 今週月曜となる12月12日に世界初公開となった新型『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』のアンベイルを前に、シェイクダウンを担当したネストール・ジロラミがテストの感触を語り、自身も長年にわたってドライブしてきた先代モデル、FK8型に対して「最初の走行から非常に有望。すべての領域で確実に2段階は進化している」との手応えを語った。