ヒッチコック「めまい」を換骨奪胎し大胆な話法で恋着と疑惑を描く 芝山幹郎 (週刊エコノミスト)

〓2022 CJ ENM Co.,Ltd.,MOHO FILM.ALL RIGHTS RESERVED 映画 別れる決心 パク・チャヌク監督の映画には、唐突な転調が多い。始まるときは助走を省くし、映画の中盤で新しい登場人物が突然登場することも珍しくない。 当然、観客はとまどう。前置きなしに、映画が急ハンドルを切るのだから、見ている光……

英国「ストの冬」に考えた社会を変える「突き上げ」の力 ブレイディみかこ (週刊エコノミスト)

×月×日 今年の英国の冬は「ストライキの冬」と呼ばれている。看護師、救急隊員などの医療従事者、教員、鉄道職員、バス運転手、郵便局職員などの、コロナ禍中に「キーワーカー」と呼ばれて称賛された人々が波状攻撃のようにストを打ち続けている。 ロックダウン中に地域社会を支えた人たちが、物価高……

英王子の暴露本に好意的な米国 冷泉彰彦 (週刊エコノミスト)

英国のチャールズ国王の次男で、ウィリアム皇太子の弟であり、王位継承順位5位であるヘンリー(ハリー)王子の著作『スペア』が発刊された。米国では1月10日にランダムハウスから発売されると、ただちにアマゾンの「最も売れた本」ランキングで1位となり、半月で2万1000を超えるレビューが付くなど大き……

温室効果ガス排出を実質ゼロへ 野心的な具体策を数々提示 評者・井堀利宏 (週刊エコノミスト)

『スピード・アンド・スケール 気候危機を解決するためのアクションプラン』 著者 ジョン・ドーア(クライナー・パーキンス会長) 訳者 土方奈美 日経BP 2970円 気候変動は我々が直面する最大の難題である。温室効果ガスの排出がこのまま拡大すると、今世紀半ばに世界で10億人規模の気候難民が発生する……

巨匠・大塚久雄に学ぶ共同体の解体と資本主義 本村凌二 (週刊エコノミスト)

戦後日本には仰ぎ見るような知の巨匠がいた。政治学の丸山真男、経済学の宇野弘蔵と並び、経済史学の大塚久雄の名はひときわ輝いていた。近代資本主義の発生と発展をめぐって鋭い視角から切りこんでいる。 大塚の主著の一つ『共同体の基礎理論 他六篇』が2021年12月に岩波文庫(1177円)になり、手に取……

ドイツ、フリーランスに「厚生年金」 デジタル化構想も (日本経済新聞)

ドイツはフリーランスらの自営業者も、特定の職種では日本の厚生年金に近い手厚い社会保険の対象にしている。長く働いて収入を得る自営業者は老後の暮らしが安定しやすいとされるが、ドイツは働く環境の変化に伴い、必要な人に支援が届くよう制度を変えてきた。最近ではネットを通じて単発で仕事をする……

日本製紙など、航空燃料SAFを安定調達 国産木材活用 (日本経済新聞)

日本製紙は住友商事などと提携し、国産木材を使って持続可能な航空燃料「SAF」の原料になるバイオエタノールを生産する。投資額は最大数百億円の見込みで、2027年に製造を始める。欧州ではSAFの使用量を50年に85%まで引き上げることを求める動きなどもあり、世界の規制は一段と厳しさを増す。航空各社……

《ドル・円》米ドル以外の主要通貨に対して円安か 佐々木融 (週刊エコノミスト)

米ドルの下落基調が鮮明になってきている。今年に入ってからの主要通貨のパフォーマンスをみると、米ドルはノルウェー・クローネの次に弱い通貨となっている。 ゼロコロナ政策が予想外に早く終了した中国、天然ガス価格の急落で予想されたほどのネガティブな影響を受けなかった欧州が世界経済のけん引……

《長期金利》日銀が上限引き上げか 徳勝礼子 (週刊エコノミスト)

市場関係者の間では、日銀が今後、イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)政策の金利上限を、現在の0.5%から引き上げるとの見通しが根強い。 しかし、日銀が現行政策を維持すべく、今年1月には大量の国債を買い入れ、銘柄によっては市場の空売り玉を吸収してしまったことで、日銀の国債保……