ともに今年で生誕100周年を迎えた時代小説や歴史小説の大家といえば、池波正太郎と司馬遼太郎。途切れることなく届く投稿には、このテーマを「待っていました!」と書かれたものも。今も映像化される作品があり、小説以外でその魅力に触れた人も少なくないようです。 悪倒し庶民に寄り添う…池波正太郎……
[記者が選ぶ]1月29日 (読売新聞)
『〈伊達騒動〉の真相』(平川新著) 「伊達騒動」は、仙台藩3代藩主・伊達綱宗の強制隠居と、家臣によるその後の 刃傷(にんじょう) 沙汰で、藩の存亡が2度も揺らいだことで有名な「お家騒動」。題材とした歌舞伎や山本周五郎の小説『 樅(もみ) ノ木は残った』で知った人も多いだろう。 これまでは……
『NUDGE 実践 行動経済学 完全版 (原題)NUDGE: THE FINAL EDITION』リチャード・セイラー/キャス・… (読売新聞)
賢い選択へ 二つの新視点 評・佐藤義雄(住友生命保険特別顧問) ◇Richard H.Thaler=シカゴ大教授。2017年にノーベル経済学賞受賞 ◇Cass R.Sunstein=ハーバード大教授。 命令や強制ではなく、ちょっとした仕掛けで人々の行動を促す「ナッジ」は公共政策や企業のマーケティング戦略で今や広く用い……
『モーツァルトの至高性 音楽に架かるバタイユの思想』酒井健著(青土社) 4180円 (読売新聞)
天才に見た 純粋な無益さ 評・郷原佳以(仏文学者・東京大教授) ◇さかい・たけし=1954年生まれ。法政大教授。2000年に『ゴシックとは何か』でサントリー学芸賞受賞。 本書を読んで約30年ぶりにミロス・フォアマンの映画『アマデウス』を見直した。そこには本書で「至高性」への人々の姿勢の過渡期と……
『ウクライナに愛をこめて ウクライナ美術への招待』海野弘著(パイ インターナショナル) 2750円 (読売新聞)
評・小池寿子(美術史家・国学院大教授) 「シュプレマティスム No.55」カジミール・マレーヴィチ(本書より) 方形の白いカンヴァスを円形や四角形、黒い涙状の形が彩る。マレーヴィチは、第一次大戦前夜から芸術界を席巻した抽象芸術の中でも再現性を徹底的に排除し従来はロシア前衛とされた「シュ……
『琉球切手を旅する』与那原恵著(中央公論新社) 2090円 (読売新聞)
評・井上正也(政治学者・慶応大教授) 幼い頃、評者は切手集めに夢中であった。全国的なブームはもう過ぎ去っていたが、記念切手を買ったり、父や祖父の集めた切手を見せてもらったりした。図柄の美しさもさることながら、新幹線開通や万博開催といった時代を表す題材にも大いに 惹(ひ) きつけられ……
『古代マケドニア王国史研究 フィリッポス二世のギリシア征服』澤田典子著(東京大学出版会) 1万2100… (読売新聞)
世界史の「主客」逆転へ 評・遠藤乾(国際政治学者・東京大教授) ◇さわだ・のりこ=1967年生まれ。千葉大教授。専門は古代ギリシア・マケドニア史。著書に『アテネ 最期の輝き』など。 この本の主役は、古代ギリシアを征服したマケドニア王フィリッポス二世である。著者の澤田は、彼を中心に据えるこ……
『旅する漱石と近代交通』小島英俊著(平凡社新書) 1034円 (読売新聞)
評・牧野邦昭(経済学者・慶応大教授) 明治維新の直前に生まれた夏目漱石の人生は日本の近代化とともにあった。本書は近代の象徴である交通(鉄道、蒸気船など)との関係を通じて文豪の知られざる側面を描いている。 『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介著(太郎次郎社エディタス) ……
『子どもの言いごと』斎藤たま著(論創社) 2860円 (読売新聞)
伝承唄 自由でやわらか 評・尾崎世界観(ミュージシャン・作家) ◇さいとう・たま=1936年、山形県生まれ。70年代から民俗収集を行う。2017年没。他著に『まよけの民俗誌』。 本書には著者が全国各地を訪ね歩き、そこに暮らす人々から聞いた伝承 唄(うた) の数々が収められている。読んでいてまず思……