『〈伊達騒動〉の真相』(平川新著) 「伊達騒動」は、仙台藩3代藩主・伊達綱宗の強制隠居と、家臣によるその後の 刃傷(にんじょう) 沙汰で、藩の存亡が2度も揺らいだことで有名な「お家騒動」。題材とした歌舞伎や山本周五郎の小説『 樅(もみ) ノ木は残った』で知った人も多いだろう。 これまでは……
『古代マケドニア王国史研究 フィリッポス二世のギリシア征服』澤田典子著(東京大学出版会) 1万2100… (読売新聞)
世界史の「主客」逆転へ 評・遠藤乾(国際政治学者・東京大教授) ◇さわだ・のりこ=1967年生まれ。千葉大教授。専門は古代ギリシア・マケドニア史。著書に『アテネ 最期の輝き』など。 この本の主役は、古代ギリシアを征服したマケドニア王フィリッポス二世である。著者の澤田は、彼を中心に据えるこ……
『旅する漱石と近代交通』小島英俊著(平凡社新書) 1034円 (読売新聞)
評・牧野邦昭(経済学者・慶応大教授) 明治維新の直前に生まれた夏目漱石の人生は日本の近代化とともにあった。本書は近代の象徴である交通(鉄道、蒸気船など)との関係を通じて文豪の知られざる側面を描いている。 『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介著(太郎次郎社エディタス) ……
『子どもの言いごと』斎藤たま著(論創社) 2860円 (読売新聞)
伝承唄 自由でやわらか 評・尾崎世界観(ミュージシャン・作家) ◇さいとう・たま=1936年、山形県生まれ。70年代から民俗収集を行う。2017年没。他著に『まよけの民俗誌』。 本書には著者が全国各地を訪ね歩き、そこに暮らす人々から聞いた伝承 唄(うた) の数々が収められている。読んでいてまず思……
『宗教者は病院で何ができるのか 非信者へのケアの諸相』森田敬史/打本弘祐/山本佳世子編著(勁草書… (読売新聞)
死の間際 豊かな時間に 評・堀川惠子(ノンフィクション作家) ◇もりた・たかふみ=龍谷大教授 ◇うちもと・こうゆう=同大准教授 ◇やまもと・かよこ=天理医療大准教授。 墓じまいや身辺整理など「終活」が盛んだが、どれだけの人が死の現実を想像できているだろう。本書が分析するのは、亡くなる間……
『世界を支配する人々だけが知っている10の方程式 (原題)The Ten Equations that Rule the World』… (読売新聞)
数式で解く 不確実な時代 評・西成活裕(数理物理学者・東京大教授) ◇David Sumpter=ロンドン生まれ、スコットランド育ちの数学者。現在はスウェーデンのウプサラ大教授。 何やら怪しい秘密結社があるという。その名もTEN。10の武器を使いこなす人たちの集まりだが、著者 曰(いわ) くどうやら社会……
元タカラジェンヌの生き方 「アプレジェンヌ ~日テレ大劇場へようこそ~」特別版 (読売新聞)
門脇麦の元天才バイオリニストがポンコツ交響楽団を大改造 ドラマ「リバーサルオーケストラ」 今週8位にランクインしたのは見逃し配信中のドラマ「リバーサルオーケストラ」(日本テレビ系で毎週水曜よる10:00~放送)。 超地味な市役所職員・谷岡初音(門脇麦)は、実は……元天才バイオリニスト。表……
『NUDGE 実践 行動経済学 完全版 (原題)NUDGE: THE FINAL EDITION』リチャード・セイラー/キャス・… (読売新聞)
賢い選択へ 二つの新視点 評・佐藤義雄(住友生命保険特別顧問) ◇Richard H.Thaler=シカゴ大教授。2017年にノーベル経済学賞受賞 ◇Cass R.Sunstein=ハーバード大教授。 命令や強制ではなく、ちょっとした仕掛けで人々の行動を促す「ナッジ」は公共政策や企業のマーケティング戦略で今や広く用い……
『モーツァルトの至高性 音楽に架かるバタイユの思想』酒井健著(青土社) 4180円 (読売新聞)
天才に見た 純粋な無益さ 評・郷原佳以(仏文学者・東京大教授) ◇さかい・たけし=1954年生まれ。法政大教授。2000年に『ゴシックとは何か』でサントリー学芸賞受賞。 本書を読んで約30年ぶりにミロス・フォアマンの映画『アマデウス』を見直した。そこには本書で「至高性」への人々の姿勢の過渡期と……