温室効果ガス排出を実質ゼロへ 野心的な具体策を数々提示 評者・井堀利宏 (週刊エコノミスト)

『スピード・アンド・スケール 気候危機を解決するためのアクションプラン』 著者 ジョン・ドーア(クライナー・パーキンス会長) 訳者 土方奈美 日経BP 2970円 気候変動は我々が直面する最大の難題である。温室効果ガスの排出がこのまま拡大すると、今世紀半ばに世界で10億人規模の気候難民が発生する……

巨匠・大塚久雄に学ぶ共同体の解体と資本主義 本村凌二 (週刊エコノミスト)

戦後日本には仰ぎ見るような知の巨匠がいた。政治学の丸山真男、経済学の宇野弘蔵と並び、経済史学の大塚久雄の名はひときわ輝いていた。近代資本主義の発生と発展をめぐって鋭い視角から切りこんでいる。 大塚の主著の一つ『共同体の基礎理論 他六篇』が2021年12月に岩波文庫(1177円)になり、手に取……

ドイツ、フリーランスに「厚生年金」 デジタル化構想も (日本経済新聞)

ドイツはフリーランスらの自営業者も、特定の職種では日本の厚生年金に近い手厚い社会保険の対象にしている。長く働いて収入を得る自営業者は老後の暮らしが安定しやすいとされるが、ドイツは働く環境の変化に伴い、必要な人に支援が届くよう制度を変えてきた。最近ではネットを通じて単発で仕事をする……

日本製紙など、航空燃料SAFを安定調達 国産木材活用 (日本経済新聞)

日本製紙は住友商事などと提携し、国産木材を使って持続可能な航空燃料「SAF」の原料になるバイオエタノールを生産する。投資額は最大数百億円の見込みで、2027年に製造を始める。欧州ではSAFの使用量を50年に85%まで引き上げることを求める動きなどもあり、世界の規制は一段と厳しさを増す。航空各社……

《ドル・円》米ドル以外の主要通貨に対して円安か 佐々木融 (週刊エコノミスト)

米ドルの下落基調が鮮明になってきている。今年に入ってからの主要通貨のパフォーマンスをみると、米ドルはノルウェー・クローネの次に弱い通貨となっている。 ゼロコロナ政策が予想外に早く終了した中国、天然ガス価格の急落で予想されたほどのネガティブな影響を受けなかった欧州が世界経済のけん引……

《長期金利》日銀が上限引き上げか 徳勝礼子 (週刊エコノミスト)

市場関係者の間では、日銀が今後、イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)政策の金利上限を、現在の0.5%から引き上げるとの見通しが根強い。 しかし、日銀が現行政策を維持すべく、今年1月には大量の国債を買い入れ、銘柄によっては市場の空売り玉を吸収してしまったことで、日銀の国債保……

ニューヨーク州「ガス機器禁止」方針で“炎上” 冷泉彰彦 (週刊エコノミスト)

ニューヨーク州のホークル知事が「インスタグラム」に投稿したガスオーブンと写る写真 「自分はガスレンジで料理するのに新築物件で禁止を画策」──。 1月22日付の米大衆紙『ニューヨーク・ポスト』電子版はこんな見出しの記事を載せ、ニューヨーク州のホークル知事を批判した。知事は10日の施政方針……

経済成長と格差拡大防止を両立 イノベーションの新たな活用法 評者・土居丈朗 (週刊エコノミスト)

『創造的破壊の力 資本主義を改革する22世紀の国富論』 著者 フィリップ・アギヨン(コレージュ・ド・フランス教授) セリーヌ・アントニン(フランス経済研究所エコノミスト) サイモン・ブネル(フランス国立統計経済研究所シニアエコノミスト) 訳者 村井章子 東洋経済新報社 4620円 「新しい資本主……

《NY市場》23年中盤から徐々に回復へ 武井章浩 (週刊エコノミスト)

米国での40年ぶりの高インフレは2022年、長期金利を上昇させ、米連邦準備制度理事会(FRB)に強力な金融引き締めを実施させた。米国株はその影響で大きく下げたが、インフレはピークを過ぎたと見ている。 利上げが浸透し、23年前半の米国経済は後退するとの見方がある。ただ、求人数は失業者数を大きく……