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 今季2023年カレンダーの一部を構成する“バサースト・インターナショナル”が、新生『TCRワールドツアー』に組み込まれることが内定しているTCRオーストラリアシリーズは、新シーズンに向けいくつかの運用変更点をアナウンス。新たに予選ポイントのシステムを導入するとともに、以前のサプライヤーであるミシュランに代わって、新たな複数年契約を締結したクムホが公式タイヤサプライヤーとして指名されている。

 また、例年タイトル争いの輪に加わる強豪メルボルン・パフォーマンス・センター(MPC)は、今季より3台のアウディRS3 LMS 2の投入を予定。プライベーターとして奮闘してきたザック・ソーター(チーム・ソーター・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)も、ホンダからアウディへのスイッチを計画しており、シリーズにおけるアウディ陣営の勢力がさらに拡大することが見込まれている。

 この2023年より新たなポイント制度を導入すると発表したシリーズ運営主体のオーストラリアン・レーシング・グループ(ARG)は、レースにおける変更はないものの、予選ポールポジション獲得ドライバーの10点を最高に、予選5番手までポイントを割り振ることで「各ラウンドで合計153ポイントを獲得することができるようになる」と説明した。

「我々はドライバーとチームがすべてのセッションでつねに限界に挑戦しているのを見たいと思っており、これがレース週末の最も重要なセッションに、さらなるスパイスを加えることになると感じている」と話すのは、カテゴリー・オペレーション責任者を務めるARGのベン・マックメラン。

「予選において、それが本当の意味を持つ必要がある。2022年にはほぼすべての予選セッションが放送され、2023年もそれを維持する計画があるため、ファンが地元局の放送を見ているか、トラックサイドやストリーミングで見ているかにかかわらず、見逃せないセッションであることを保証したいと考えているんだ」

 一方で、シリーズはTCRワールドツアーを頂点に、TCRヨーロッパやサウスアメリカ&ブラジル、さらにスペインやデンマークなどでも公式サプライヤーを担当するクムホと提携することもアナウンスした。

「これはTCRオーストラリアが世界中の主要なTCRカテゴリーに並ぶための重要なステップだった」と続けるマックメラン。

「クムホに切り替えるということは、今季終盤にTCRワールドツアーがここを訪れた際、レースで使用するものとまったくおなじコンパウンドとタイヤの構造を持つことを意味する」

「それはドライバーやチームが国際的に競争したい場合、彼らは同じレベルのタイヤ知識を持っている可能性が高いことにもなるんだ。そして、オーストラリアでTCRをサポートしてくれたミシュランには心から感謝したい。過去4年間、彼らは真に協力的な理解を示してくれた。彼らのコミットメントに深く御礼を申し上げる」

以前のサプライヤーであるミシュランに代わって、新たな複数年契約を締結したクムホが公式タイヤサプライヤーとして指名されている
以前のサプライヤーであるミシュランに代わって、新たな複数年契約を締結したクムホが公式タイヤサプライヤーとして指名されている
2019年初代王者のウィル・ブラウン(リキモリMPCレーシング/アウディRS3 LMS/上)と、昨季スピードを見せつけたジェイ・ハンソン(AWC MPCレーシング/アウディRS3 LMS 2)
2019年初代王者のウィル・ブラウン(リキモリMPCレーシング/アウディRS3 LMS/上)と、昨季スピードを見せつけたジェイ・ハンソン(AWC MPCレーシング/アウディRS3 LMS 2)

■アウディ陣営トップチームのMPCは3台体制へ。さらにソーターも加わる

 こうして概要が明らかになった新年度に向け、アウディ陣営トップチームのMPCは、昨季もランキング2位を記録した2019年初代王者のウィル・ブラウン(リキモリMPCレーシング/アウディRS3 LMS)残留を念頭に、スピードを見せつけたジェイ・ハンソン(AWC MPCレーシング/アウディRS3 LMS 2)らを擁した3台体制での参戦を計画している。

「2023年のTCRオーストラリアに向け、競争力あるラインアップを用意できると確信している」と語るのは、MPCのチームディレクターであるトロイ・ラッセルだ。

「ロックされている要素がまだたくさんあり、時間的なプレッシャーもあるが、すべての関心は前向きなものだ。最新型のアウディRS3 LMS 2にウィル(・ブラウン)を乗せることは最優先事項であり(※昨季は暫定的に初代モデルで参戦)それについてしっかりと発表できることを期待している」

 さらに2021年にホンダ・シビック・タイプRでシリーズデビューを飾ったソーターは、昨季のシモンズプレインで勝利を飾り、シリーズで最初の“プライベーターウイナー”として名を刻むと、ランキングでも6位につける健闘をみせた。

 そのソーターは、引き続き2023年も個人のエントリー名で自身のファミリーチームから参戦し、さらなる飛躍を目指して最新型アウディへのスイッチを表明した。

「今季は真新しいアウディRS3 LMS 2でレースをすると発表できたことを、非常にうれしく思っている。すべてを実現する方法を見つけ出すため、バックグラウンドでは取引をまとめるための膨大な量のハードワークを強いられたが、それが実現してホッとしているよ」と続けたソーター。

「同時に、それは非常に難しい決断だった。僕の家族とチームはホンダを気に入っていたんだ。なぜなら、それは僕らの最初のTCRエントリー車両であり、速く、美しく、競争力のあるものにするために多くの時間を費やしたからね。それがなくなるのは悲しいことだが、アウディは僕自身とチームにとって次のステップだと考えている」

 一方、昨年2勝を挙げて総合5位に入ったベイリー・スウィーニー(HMOカスタマー・レーシング/ヒョンデi30 N TCR)は今季も体制を継続。古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)では、アーロン・キャメロン(プジョー・スポールGRMチーム・バルボリン/プジョー308 TCR)がシートを保持し、22歳のコディ・ガーランドが陣営内でルノー・メガーヌR.S.TCRからプジョー308 TCRへのスイッチを決めている。

「過去数年、ウォール・レーシングとJASモータースポーツとの関係を本当に楽しんできた」と、アウディへのスイッチを決めたザック・ソーター
「過去数年、ウォール・レーシングとJASモータースポーツとの関係を本当に楽しんできた」と、アウディへのスイッチを決めたザック・ソーター
古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)も一部陣容を発表した
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