<p>IMF、23年世界成長率予測を1年ぶりに上方修正-年内底打ちへ</p><p>IMF、23年世界成長率予測を1年ぶりに上方修正-年内底打ちへ</p><p>国際通貨基金(IMF)はシンガポール時間31日に公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の成長予測を1年ぶりに上方修正した。回復力ある米国の消費や中国の経済再開が山積するリスクの中で需要を支えると分析した。</p><p>IMFは2023年の世界経済の成長率見通しを2.9%とし、昨年10月時点の予測から0.2ポイント引き上げた。22年の3.4%成長から減速するものの、成長率は今年底打ちし、24年には3.1%に加速すると予想した。 日本の成長率見通しは23年が1.8%と、10月時点から0.2ポイント上方修正された一方、24年は0.9%とし、0.4ポイント下方修正された。 IMF Raises World Growth Forecast for 2023 Global GDP expansion set to slow less than estimated in October Source: International Monetary Fund *=2022 GDP is an estimate インフレ高止まりの中で中央銀行による利上げや、ロシアがウクライナで続けている侵攻が今年の経済活動に引き続き重しになると指摘した。 今年の消費者物価上昇率は6.6%に鈍化すると予想し、昨年10月時点の予測より0.1ポイント引き上げた。22年は8.8%だった。24年には4.3%へとさらに減速する見通しを示した。 IMFのチーフエコノミスト、ピエールオリビエ・グランシャ氏は「見通しは今回は悪化しておらず、それ自体は朗報だ。ただ、それで十分ではない。広範囲で長続きする持続可能な回復への途上でまだ幾つかの課題がある」と述べた。IMFは23年の見通しを昨年中に3回下方修正していた。 グランシャ氏はインフレとの闘いにはまだ勝利していないと指摘。金融政策は引き続き景気抑制的である必要があり、一部の国々では生計費の広範な指標で減速が見られるようになるまで、一層の引き締めが必要になると述べた。 下振れリスクとして、中国の景気回復の失速やウクライナでの戦争の激化、新興国や発展途上国の過剰債務負担などを挙げた。また、従来想定よりも根強いインフレの可能性や金融市場の波乱、ロシアによる侵攻で高まった国際的緊張が国際システムの分断を招き、各国の協力を妨げる恐れなどにも言及した。 ただ、昨年10月時点に比べてこうしたリスクはバランスが取れているとグランシャ氏は指摘。上振れリスクは、サービスを中心に力強さを増す消費で、労働市場のタイト化や政府による新型コロナウイルス禍での財政支援から需要が積み上がっていると分析した。逆にサービス支出へのシフトでインフレが予想より急ピッチに減速する可能性があり、中銀はより小幅な金融引き締めで済むかもしれないとした。 成長率見通し IMFは23年の先進国の成長率予測を1.2%に上方修正。従来予測より0.1ポイント高い水準で、22年の2.7%の半分弱とした 先進国では唯一英国が0.6%のマイナスとなる見通し 米国の成長率予測は1.4%と、前回予測より0.4ポイント引き上げた。粘り強い内需が背景 失業率は今年の3.7%から来年までに約5.2%に上昇するものの、米国が23年にリセッション(景気後退)を回避できる「狭い道」があると予想 成長率予測が最も上方修正されたのはロシア経済。IMFは昨年10月に2.3%のマイナス成長を予測していたが、今回は0.3%のプラス成長と予想した 主要7カ国(G7)諸国が設定したロシア産原油価格上限の現行水準は同国の原油輸出量に大きな影響を与えない見通しで、貿易は対ロ制裁を科す国から制裁を科さない国へのシフトが続いているとIMFは指摘した IMF Sees Growth Slowing in 2023 Most major economies are expected to see GDP expansion decelerate Source: International Monetary Fund World Economic Outlook update IMFは新興国と途上国の成長率予測を昨年10月時点より0.3ポイント引き上げ4%とした。22年は3.9%。中国については0.8ポイント上方修正し5.2%とした。 グランシャ氏は中国とインドが23年の世界経済成長の約半分を占めるとの見方を示した。 原題:</p>