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阿倍仲麻呂は玄宗に近侍し、楊国忠のやり口をつぶさに見ている。その強引さや詐術(さじゅつ)もよく知っていたが、この期に及んで異をとなえることはできなかった。 やりきれない思いをしながら勤政務本楼を出ようとすると、高力士に呼び止められた。 「晁衡どの。祖国に帰れなかったばかりに、とんだ…