2022年11月11日、レクサスが8月に日本導入したIS500 F SPORT Performanceに試乗する機会を得た。国産最強クラスのスポーツサルーンの乗り味を自動車評論家 鈴木直也がレポート!
●レクサス IS500 ここがポイント
・ISの全幅を50mmワイド化して265/35R19サイズのリアタイヤを装着
・4968ccのV8NAエンジンは純内燃機関のパワーユニットで481ps、54.6kgmを発揮
・パフォーマンスダンパーを前後に装着。専用シャシーチューニング
・大型前後ブレーキローター装着
・「赤ベンガラ」による加飾が施された専用インテリア
※本稿は2022年12月のものです
文/鈴木直也、写真/LEXUS、ベストカー編集部 ほか、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2023年1月10日号
■M3がライオンならIS 500はしなやかなチーター
おしなべてクルマのサイズがデカくなった昨今、レクサスIS500は実サイズより引き締まって見える。特に、隣にBMW M3を並べてみると、ひとまわりコンパクトな印象。
そして、5L V8をボンネットの中に押し込み、前後のフェンダーをグイッと張り出したマッチョなスポーツセダンなのに、荒ぶったところが全然ない。
何というか、エグいくらいの獰猛さを強調するM3をライオンに喩えるなら、IS500はしなやかなチーターといった役どころ。速いけれどお上品なキャラクターなのだ。
走らせてみても、このイメージそのまんま。
ラフなアクセル操作をしても、低いギアでは電制スロットルがトルク変動を抑制しているようで、56.4kgmのエンジンとしてはむしろ穏やかなドライバビリティと言える。
このへんは、街中でさえギラギラした殺気をみなぎらせるM3とは対照的で、ハイパーセダン級のパフォーマンスを敢えてマイルドに仕立てるのが「レクサス流」なのだろう。
そういえば、IS500は“F SPORT”で、最上位の“IS F”を名乗っていない。
試乗中「もうちょっとスパイスを効かせてもよかったんじゃない?」と思うこともあったが、狙いが“F SPORT”のポジションなら納得だ。
■3速から豹変する加速力 乗り心地は重厚かつ快適
ただ、そうはいってもさすがに481ps/54.6kgmというパフォーマンスは伊達じゃなく、本気でアクセルを踏むとその加速は圧倒的。
高速の料金所からダッシュすると、アッという間に3速に入って速度制限をオーバーしそうになる。
ドライブフィール的にも「本気を出すのは3速に入ってから」みたいな制御が入ってるかのようで、高速域では猛獣の本能が目を覚ます。ただ、パフォーマンスを解き放つにはサーキットへ行く必要があるけどね。
試乗時間が限られていたため、今回はハンドリングについて断定的なことは言えないが、気がついたポイントは以下のとおり。
大きなV8を搭載しているだけに、ターンインではそれなりにノーズの重さを感じる。また、ステアフィールももうちょっとソリッド感が欲しい。
乗り心地は、この種のスポーツセダンとしては最良といっていいくらい重厚かつ快適。高速クルーザーとしての実用性はバッチリだ。
●レクサス IS500(F SPORT Performance First Edition)主要諸元
・全長:4760mm
・全幅:1840mm
・全高:1435mm
・ホイールベース:2800mm
・最低地上高:140mm
・最小回転半径:5.2m
・車両重量:1720kg
・エンジン:V型8気筒DOHC
・総排気量:4968cc
・最高出力:481ps/7100rpm
・最大トルク:54.6kgm/4800rpm
・トランスミッション:8速AT
・WLTCモード燃費:9.0km/L
・Fサスペンション:ダブルウイッシュボーン
・Rサスペンション:マルチリンク
・タイヤサイズ:(F)235/40R19、(R)265/35R19
・車両価格:900万円
※「First Edition」は特別仕様車。抽選制で既に受付は終了済みのモデルです
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