今回は、「積和の公式」についての説明です。
1.積和の公式とは?
三角関数の積和の公式とは、左辺が積になっていて、右辺が和になっている公式を指します。
つまり、sinαsinβ、sinαcosβ、cosαcosβの公式です。
この辺から公式の見た目がゴツゴツしてきて単純に覚えるのが困難になってきますので、しっかりと導き方を理解して記憶に定着させるように頑張りましょう。
やり方さえわかってしまえばすぐに導き出せます。
別に業務では直接的に役に立たないけど。
肝心の積和の公式は以下の3式となります。
どうしてこうなるかは次の項から証明していきますね。
2.sinαsinβの証明
まずはsinαsinβの証明から始めます。
ここでは、cosの加法定理であるcos(α±β)=cosαcosβ∓sinαsinβの公式を使用していきます。
使用すると言っても、引き算するだけなんですけどね。
cos(α+β)-cos(α-β)
=(cosαcosβ-sinαsinβ)-(cosαcosβ+sinαsinβ)
=-2sinαsinβ
後は-2を移項するだけで公式が導き出せます。
-2sinαsinβ=cos(α+β)-cos(α-β)
sinαsinβ=-{cos(α+β)-cos(α-β)}/2
3.sinαcosβの証明
次はsinαcosβの証明です。
ここでは、sinの加法定理であるsin(α±β)=sinαcosβ±cosαsinβの公式を使用していきます。
sin(α+β)+sin(α-β)
=(sinαcosβ+cosαsinβ)+(sinαcosβ-cosαsinβ)
=2sinαcosβ
後は2を移項するだけで公式が導き出せます。
2sinαcosβ=sin(α+β)+sin(α-β)
sinαcosβ={sin(α+β)+sin(α-β)}/2
4.cosαcosβの証明
最後にcosαcosβの証明です。
ここまでの流れ的に大体何をするかは想像できそうですよね(笑)
ここでは、cosの加法定理であるcos(α±β)=cosαcosβ∓sinαsinβの公式を使用していきます。
cos(α+β)+cos(α-β)
=(cosαcosβ-sinαsinβ)+(cosαcosβ+sinαsinβ)
=2cosαcosβ
後は2を移項するだけで公式が導き出せます。
2cosαcosβ=cos(α+β)+cos(α-β)
cosαcosβ={cos(α+β)+cos(α-β)}/2
積和の公式の証明は以上です。簡単ですね。
三角関数の積和の公式が必要になったら加法定理を適当に足し引きしてみれば公式が導き出せると覚えておけば公式自体は別に覚える必要はないんです。
以上、「積和の公式」についての説明でした。
【基礎から学ぶ三角関数】
◎三角関数の基礎 ~sin・cos・tanとはそもそも何?
◎三角関数と正弦曲線の関係 ~sin波とcos波について
◎sinθの2乗 ~2の付く位置について
◎三角関数と象限 ~角度と符号の関係
◎正弦定理 ~三角形の辺と対角の関係
◎余弦定理 ~三角形の角と各辺の関係
◎加法定理とは? ~sin(α+β)の解法
◎積和の公式 ~sinαcosβなどの解法
◎和積の公式 ~sinα+sinβなどの解法
◎二倍角の公式 ~sin2αなどの解法
◎半角の公式 ~sin(α/2)の2乗などの解法
◎逆三角関数 ~アークサインやアークコサインとは?