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2020年から2021年のパンデミック真っ只中ではステイホームという事でPCゲームなどをプレイする人やマイニングするユーザーが増え、GPUの需要は供給を大幅に上回る状況となっていましたが、外出制限が撤廃され、マイニングも出来なくなった今GPUの需要が大きく下落し過去最低の出荷台数を記録してしまったようです。

GPUの出荷台数が過去20年間で最低を記録。2021年と比べると約半分にまで落ち込む。

Desktop GPU Sales Hit 20-Year Low | Tom’s Hardware

グラフィックスカードの需要は2020年から感染拡大となった新型コロナウイルスによる外出制限や金融緩和を起因とした仮想通貨の価格高騰によって需要が供給を大きく上回る状況が2021年末頃まで続きました。しかし、2022年からはワクチン接種が進んだことにより外出制限の撤廃。仮想通貨は金融緩和によるインフレ深刻化を憂慮した中央銀行が金利引き上げを実施し暴落した事や、GPUでのマイニングで最も高い収益を上げられたEthereumがPoWからPoSへ移行した事でマイニング自体が不可能となりました。

その結果、GPUの需要は大きく減少し、NVIDIAの8~10月期決算においてはゲーミング向けの売上高が前年比で半減するという凄惨な結果となっていますがJon Peddie Resrarch社によるとGPU出荷台数の底はまだまだ深い様で2022年Q3の出荷台数は記録がある20年間で過去最低を記録したようです。

 

2022年Q3に出荷されたデスクトップ向けのディスクリートGPUの数は6.9百万台を記録しているとの事です。これは2020年Q3に比べると約60%、2021年Q3(前年同期比)に対しては約55%の出荷台数となっています。

ディスクリートGPUの出荷台数はここ20年で右肩下がりを記録していますが、これは内蔵GPUの性能が大きく向上した事によるものですが、今まで過去最低の出荷台数であった2019年Q2の7.4百万台を2022年Q3は7%下回っている事から、出荷台数が鈍化している事が明らかになっています。

ちなみにこのグラフを見ると、リーマンショックが起きた2008年Q4や中国株の大暴落が起きた2015年Q2など不景気と連動するように出荷台数が変化しているため、金融引き締めによる景気後退やNVIDIAやAMDが出す次世代GPUの価格が非常に高い事から2022年Q4や2023年Q1の結果は更に悪くなる可能性がありそうです。

GPU出荷台数の大幅減少の中で、NVIDIAのシェアは伸張。過去最高の86%を確保。AMDは過去最低を記録。

過去20年で最低の出荷台数を記録するデスクトップ向けのGPUですが、市場シェアにおいては少ない出荷台数の中でNVIDIAのリードが目立つ結果となっています。2022年Q3の市場シェアはNVIDIAが86%で前年同期間の79%から大きくシェアを伸ばす一方で、AMDが10%、Intelが4%となっています。

NVIDIAの市場シェアは記録がある2009年から見ると過去最高となっています。この結果についてはNVIDIAではエントリーモデルだけでGTX 1630、GTX 1650、RTX 3050など各レンジで違いが分からないほどのGPUをラインアップしている事や『GPU=NVIDIA』と言うイメージや有り余るRTX 3000シリーズ系の在庫など相まってNVIDIAを選ぶユーザーが多かったようです。

NVIDIAのシェア拡大の中で最もシェアを失ったのはAMDで2022年Q3ではシェア10%と過去10年で最低を記録しています。AMDについては前年同期間のシェアは21%だったためたった1年で11%のシェアを失っています。この原因としてはNVIDIAとは対照的に商品ラインアップが豊富ではない事やRadeon RX 6000シリーズの中でも上位モデルは次世代モデル登場に備えて供給を絞っていたなどが要因とされています。

なお2022年Q2からディスクリートGPUに参入したIntelは2022年Q3では4%のシェアを確保しています。2022年Q3の時点ではIntel Arc Alchemistの中でもエントリーモデルが多数を占めていると見られるため、2022年Q4や2023年Q1の結果ではArc A770などメインストリームモデルの売上が反映され、シェアが4%を超える可能性は出てきそうです。

 

2021年はGPUが手に入らないという状況でしたが、2022年は逆にGPUが売れ残っている他、製品としてもRTX 4090やRTX 4080、Radeon RX 7900シリーズなど高価格帯モデルのみの発売と言う事でGPUが飛ぶように売れる状況とは言い難かったです。また、多くの人が2020~2021年にGTX 1060など旧世代GPUを買い替えている事を考えると、恐らく2023年もGPUの出荷台数は低空飛行を続けると言えそうです。

この状況で気になるのが価格動向ですが、NVIDIAやAMDも2023年中に出荷台数の回復が期待できないと予想していると考えられるため2023年に登場予定のNVIDIA GeForce RTX 4060やRTX 4050、AMDのRadeon RX 7700、RX 7600などメインストリームモデルは台数を売って利益を稼ぐのではなく、高い価格で売って利益を稼ぐ方向で売られる可能性がありそうですね・・・

どちらにせよ、出荷台数が減っているから値段が下がると甘くはないと考えた方が良さそうです。


すぐに買えるかは分かりませんが、新型PS5と言われている『CFI-1200』のエントリーがAmazonで開始されていますので、欲しい方は早めのエントリーする事がオススメです。

 

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