2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権が、伝統のデイトナ24時間レースで開幕した。レースは現地時間1月28日13時40分過ぎにスタート。折り返しとなる12時間経過時点の途中経過では、GTPクラスにエントリーするメイヤー・シャンク・レーシングw/カーブ・アガジャニアンの60号車アキュラARX-06(トム・ブロンクビスト/コリン・ブラウン/エリオ・カストロネベス/シモン・パジェノー)が総合首位に立っている。
WEC世界耐久選手権にも参戦可能な新規定『LMDh』が導入され、トップカテゴリーの名称がDPiからGTPへと生まれ変わった2023年のIMSA。アキュラ、BMW、キャデラック、ポルシェの4メーカーがLMDh規定のニューマシンを投入し、9台のLMDhプロトタイプにより新時代のトップカテゴリーが幕を明けた。
好天に恵まれたアメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで決勝はスタート。ポールポジションを獲得したメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラARX-06は、序盤から順当にリードを築いていく。
レースは序盤から白熱のバトルが展開され、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963とウェーレン・エンジニアリング・レーシング(アクション・エクスプレス・レーシング)の31号車キャデラックは、ポジション争いのなかでターン1で軽く接触する場面もあった。
しかし、デビュー戦を迎えたLMDh車両にはトラブルも襲い、スタートからちょうど1時間を経過する頃には、BMW Mチーム RLLの25号車BMW Mハイブリッド V8がコース脇にマシンを止めてしまう。
ハイブリッド系のトラブルとみられる25号車はガレージに戻され、長時間の修復作業を行った。その直後には、ポルシェ7号車がターン3で突如スローダウンするが、しばらくしてレーシングスピードを取り戻し、走行を続ける。
序盤は60号車と、コニカミノルタ・アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポート)10号車のアキュラの2台がレースをリードする形で進んでいった。
日没が迫る開始4時間すぎ、コース上で10号車のルイ・デレトラズが60号車コリン・ブラウンをかわすと、WTR10号車アキュラが首位に。ブラウンはその後、7号車ポルシェにもかわされ、シモン・パジェノーへとマシンを託した。
スピン車両を避けるためコース上に一時停止した際に追突されたキャデラック・レーシング(チップ・ガナッシ・レーシング)の01号車キャデラックV-LMDh、トラブル対処のためかピットでロスがあった7号車ポルシェが順位を落とすと、再び60号車、10号車のアキュラ勢がワン・ツー体制を築き、2台はピットタイミングにより順位を入れ替えながら、レースをリードしていく。
スタートから5時間半経過を前に、7号車ポルシェがガレージに入れられる。電気系トラブルに対処するため、ハイブリッド・バッテリーの交換に入り、ペンスキーのクルーは35分/20周を失いながらも、コースへとマシンを戻した。
7時間経過前のリスタートでは、サイド・バイ・サイドの状態でターン1へと進入した31号車キャデラックのピポ・デラーニと60号車アキュラのエリオ・カストロネベスが接触。60号車はアウト側にスピンを喫し、コースに戻ったものの直後にピットへと飛び込んだ。60号車は辛くも首位と同一ラップをキープする。
トップ31号車の背後では10号車アキュラのブレンドン・ハートレー、02号車キャデラックのアレックス・リンによる2番手争いの接近戦が繰り広げられる時間帯もあり、その後02号車が首位浮上に成功する。
8時間経過時点で、トラブルのあった25号車BMW、7号車ポルシェ、そして1ラップダウンとなった24号車BMWをのぞく6台のGTPマシンが、総合首位を争う展開に。さらに9時間経過を前にしたバリア修復のためのセーフティカーランでは、上位6台のギャップが詰まる。
ここからのリスタート、接近戦のなかで02号車キャデラック、6号車ポルシェ、31号車キャデラックらをパスし、最後は01号車キャデラックをかわした60号車アキュラのトム・ブロンクビストが一気に首位に立つ快走を見せた。
10時間が経過し24号車BMWもリードラップへと復帰するなか、01号車キャデラックのピット作業では、給油終了を待たずにマシンを発進させてしまうなど、ミスも出てしまう。
そして12時間が経過する直前、LMP3クラスのMRS GTレーシング43号車リジェJS P320・ニッサンがマシンのリヤエンドから炎をあげ、フルコースイエローが導入されたところでレースは折り返しを迎えた。
12時間経過時点での総合首位はMSRの60号車アキュラで、2番手以下は31号車キャデラック、10号車アキュラ、6号車ポルシェ、01号車キャデラック、02号車キャデラック、24号車BMWと続いている。
LMP2クラスは、プロトン・コンペティションの55号車オレカ07・ギブソンがトップ、僅差でPR1/マティアセン・モータースポーツの52号車、AFコルセの88号車が続く展開となっている。
LMP3クラスのリーダーは、ショーン・クリーチ・モータースポーツの33号車リジェJS P320・ニッサン。日本の金丸ユウが乗り込むファストMDレーシングの87号車デュケインD08・ニッサンは、クラス3番手につけている。
GTカテゴリーでは、GTDプロとGTDクラスの順位が入り乱れる状態となっている。GT車両の首位はGTDプロクラスのハート・オブ・レーシングチーム23号車アストンマーティン・バンテージGT3だが、2番手以下5番手まではGTDクラスの車両が占めている。
今回がデビューとなったリシ・コンペティツィオーネのフェラーリ296 GT3は、GTDプロクラスで大きく遅れをとっている。また、予選ウイークからスピード不足を訴えていた新型ポルシェ911 GT3 R勢も軒並み下位に沈んでいる。
デイトナではこの後、夜明けに向けてレースが進んでいく。フィニッシュ時刻は29日の現地時間13時40分(日本時間翌3時40分)だ。