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<p>【新聞に喝!】朝日の「戦争を防ぐ確かな手立て」とは? 日本学術機構代表理事・政治学者 岩田温</p><p>【新聞に喝!】朝日の「戦争を防ぐ確かな手立て」とは? 日本学術機構代表理事・政治学者 岩田温 「理想を構想するのは自由だが、画餅で国を守れない。朝日新聞はウクライナの危機から何を学んだのか。やはり、朝日新聞の主張は現実から乖離(かいり)している」</p><p>「一年の計は元旦にあり」。一年の決意を固める日の社説には各紙の肝煎りの主張が表明されている。令和5年元旦。朝日新聞の社説は一風変わった内容だったが、冷静に分…</p><p>「一年の計は元旦にあり」。一年の決意を固める日の社説には各紙の肝煎りの主張が表明されている。令和5年元旦。朝日新聞の社説は一風変わった内容だったが、冷静に分析すれば朝日新聞らしい社説でもあった。題は「空爆と警報の街から 戦争を止める英知いまこそ」。 社説というよりも、ウクライナの現状を伝える記事のような書き方だ。興味深いのは、ウクライナの大学で国際政治学に関する教鞭(きょうべん)を執ってきた人物の話である。国連の無力さを語り、自らが論じてきた国際政治学の虚(むな)しさを嘆いた。 ウクライナ危機が示したのは国連が機能不全に陥っている事実だ。主権国家の暴走を止め、戦争を禁じ、平和を実現する。人類が智慧(ちえ)を絞り、その夢を託した末に組織されたのが国連だった。だが、国連は安保理に認められた「拒否権」によって機能不全に陥っている。ロシアの暴走を国連は止めることができなかった。ウクライナの悲劇はここに端を発した。端的に言えば、国際政治学の理想は現実に否定されたのである。 社説は次のように結ばれる。「眼前で起きている戦争を一刻も早く止めなければならない。そしてそれと同時に、戦争を未然に防ぐ確かな手立てを今のうちから構想する必要がある。知力を尽くした先人たちにならい、人類の将来を見すえ、英知を結集する年としたい」 「戦争を未然に防ぐ確かな手立て」を構想するのは結構だ。だが、国連が機能不全に陥っており、「戦争を未然に防ぐ確かな手立て」が定かでない以上、我が国の平和を守るために何をなすべきかこそ論じられねばならない。 しかし、この社説では具体的な手段が論じられていない。そして1月5日の社説では、「専守防衛を空洞化させる敵基地攻撃能力の保有や防衛費の『倍増』」が「乱暴な進め方」によって決定されたと岸田内閣を糾弾する。国連が平和を維持できない以上、抑止力を高めるという古典的な安全保障政策の有効性が再認識されるべきだが、朝日新聞は現実的方策を一切語ろうとしない。 冷静に考えれば、敵基地攻撃能力を保有するという岸田文雄首相の決断は英断というべきだ。なぜなら、それが平和を維持し、我が国の国民を守るからだ。理想を構想するのは自由だが、画餅で国を守れない。朝日新聞はウクライナの危機から何を学んだのか。やはり、朝日新聞の主張は現実から乖離(かいり)している。 ◇ いわた・あつし 昭和58年、静岡県生まれ。早稲田大学大学院政治学科修了。専攻は政治哲学。著書に『政治学者、ユーチューバーになる』など多数。 特集・連載:</p>