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<p>電気料金高騰でリフト券など値上げラッシュも…スキー文化継承へ知恵絞る各地</p><p>電気料金高騰でリフト券など値上げラッシュも…スキー文化継承へ知恵絞る各地 値上げはさらなる客離れにつながりかねない。「スキー文化」を守るべく各地のスキー場は、学生や家族連れの値上げ幅を抑えるなど知恵を絞っている。</p><p>全国のスキー場で電気料金高騰に伴うリフト券の値上げが相次いでいる。スキー人口が近年、減少傾向にある中、値上げはさらなる客離れにつながりかねない。「スキー文化」…</p><p>全国のスキー場で電気料金高騰に伴うリフト券の値上げが相次いでいる。スキー人口が近年、減少傾向にある中、値上げはさらなる客離れにつながりかねない。「スキー文化」を守るべく各地のスキー場は、学生や家族連れの値上げ幅を抑えるなど知恵を絞っている。 長野市の中心市街から車で約40分の「戸隠スキー場」では1日券を500円値上げした。一方で、大人1人・小人2人の「ファミリーパック」は上げ幅を約半分に抑えた。また、往復バス代や用具のレンタルをセットにした高校生や大学生ら対象の「学得パック」の値上げ幅も抑えた。 中学生にも無料券 いずれも将来のリピーターにつながる客層だ。長野市では長らく、市街地に近いファミリー層向けの「飯綱高原スキー場」と、標高も高く競技志向の戸隠スキー場とが住み分けられていた。しかし、令和元年度で飯綱高原が閉場。戸隠スキー場の戸谷利志明(としあき)支配人は「(五輪金メダリストの)荻原健司市長からも、せっかく市内にスキー場があるので市民の『健幸増進』のためにも受け入れを拡大してほしいといわれている」と狙いを明かす。 このほか、長野市は、小学生向けのリフト無料券の対象者を中学生まで広げる取り組みも行っている。「スキー教室」を行う学校が多いなど、幼少期からスキーやスノーボードに慣れ親しむ環境が、五輪出場者ら一流選手を輩出してきた経緯もあり、なんとかスキーを文化として残したいといった思いも大きいようだ。県内では、白馬八方尾根スキー場(白馬村)も、1日券の大人料金を昨季より1千円高くする一方、「小学生まで」だった「こども料金」を今季は高校生までに拡大した。 札幌は回復傾向 ただ、長野県のスキー場と同様に、「親子DAY」や「シニアDAY」、ランチパック券などを通じてユーザーにお得感を出してアピール。修学旅行を含む本州からの旅行客や地元スキー学習の需要回復、香港や台湾、韓国など外国人旅行客が回復傾向にあるという。 スキー需要は将来的に厳しいとの見方も出ているが、担当者は「都市型リゾートとしての優位性を生かし、多様なアクティビティーに対応していくことで幅広い客層の獲得を目指す」と展望を語った。 新潟県湯沢町の苗場スキー場も、電気代などを理由にリフト1日券を800円引き上げた一方で、小学生以下を無料、20歳の若者の平日料金を無料にするなど家族連れや若年層に配慮する料金設定とした。運営する苗場プリンスホテルの広報担当者は「全国旅行支援や新型コロナウイルスの水際対策の緩和などもあり、来場者は前年より約3割増えている」という。 行政が支援策 「スキー場を存続させるにはどうしようもなかった」。蔵王温泉スキー場(山形市)の関係者は、リフト1日券の800円値上げに理解を求めている。厳しい事態に、1月に市民と市内に通う学生を対象に、蔵王温泉スキー場の4時間リフト券や用具レンタル代金を半額補助するキャンペーンを実施。スキー文化をなんとか守ろうと支援に乗り出した。 ただ、蔵王索道協会の後藤純一事務局長(65)によると、「いい雪質を求めるスキー客の需要は根強い。客足はだいぶ戻ってきている」。スノーモービルなどの雪と楽しむ「どんでん平スノーパーク」(山形県飯豊町)も、昨年来なかった台湾などのインバウンド客に加え、国内客も訪れ始めたという。(原田成樹、坂本隆浩、柏崎幸三、本田賢一)</p>