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 基本的には普通乗用車よりもデカいクルマが使われるバス。車体サイズの分タイヤも大きく見えるが、バスのタイヤを外径で表すと何センチあるのだろうか?

文・写真(特記以外):中山修一

タイヤの外径は蚊帳の外?

一見して普通乗用車向けよりも径が大きいバス用タイヤ
一見して普通乗用車向けよりも径が大きいバス用タイヤ

 タイヤの大きさを表す際「275/70R22.5」のような、何やら呪文のような数字文字の羅列が使われ、外径で例えるケースは大変少ない。

 この羅列を読み解くと、275=タイヤの幅(mm)、70=偏平率、R=ラジアル構造、22.5=ホイール内側の幅(インチ)となっていて、外径には全くタッチしていない。

 タイヤサイズを示す文字数字の中で、外径(インチ表示)を含めた書式を使うタイプもあるが、最近では割とマイナーな書式らしい。

 どちらかと言えば、外径よりも幅や偏平率・リム径などのほうが機能面に関わってくる要素が大きいため、タイヤサイズを示す基準値からは外径を蚊帳の外に置くのが一般的となっている。

 タイヤの現物をよく見ても外径寸法が書かれていないとなれば、何センチあるのか知らなくて当たり前かも知れない。

 各タイヤメーカーのカタログで製品スペックを見てみると、こちらには外径が併記されている。ただし同じ「275/70R22.5」でも、メーカーやタイヤの種類によって寸法に開きがある。

ワゴン車タイプのタイヤ外径

 最近のバス向け車両を例に、ワゴン車から大型車クラスまで指定されているタイヤの外径を見てみよう。上記の数字文字の羅列から外径を割り出す計算式もあるのだが、ここでは省略する。

 まずはコミュニティバスに多用されるワゴン車だ。バス仕様のトヨタ・ハイエースコミューターでは「195/80R15」が指定されている。これを外径に直すと693mmくらいになる。

ワゴン車を使用した路線バス
ワゴン車を使用した路線バス

 ノーマルな自家用ハイエースも同じタイヤを使うため、バスの中でも普通乗用車に最も近いタイヤを履いたクルマ、ということになる。

マイクロバス・小型路線車のタイヤ外径

 次に、ワゴン車より大きく、車体形状もバス然としてくるマイクロバスはどうだろう。近年のマイクロバスの主流・三菱ふそうローザの場合「205/85R16」を使用する。こちらの外径は751mmくらいだ。

 コミュニティバスと一般路線バス双方でよく見られる小型路線車・日野ポンチョのタイヤは「205/80R17.5」。外径781mmと、マイクロバスよりも大きい。

78cmクラスのタイヤを履いた日野ポンチョ
78cmクラスのタイヤを履いた日野ポンチョ

中型路線車・大型路線車のタイヤ外径

 短距離輸送やローカル路線での運用に向いた、全長9mクラスの中型路線車が履くタイヤを調べてみると、「245/70R19.5」のサイズが指定されている。外径換算で839mm前後、車体サイズが一気に大型化した分、いよいよ80センチを超える。

大型路線車と言うだけあってタイヤもデカい?
大型路線車と言うだけあってタイヤもデカい?

 全長10.5mクラスの、一般路線バス向け車両としては輸送力が最も高い大型路線車では、さらに径のある「275/70R22.5」が各メーカーの車両でほぼ共通して使われる。外径は959〜964mmといったところだ。

大型高速車・貸切車のタイヤ外径

 高速バスや観光バス向けの、全長12mに迫る高速車・貸切車になると、やはりタイヤも大ぶりな「295/80R22.5」に変わる。幅の広さと共に外径も巨大化して1048〜1051mmと1メートルの大台に乗る。

バス車両では最大級のタイヤサイズを誇る大型高速車
バス車両では最大級のタイヤサイズを誇る大型高速車

 また、ホイールの形が違うため前と後ろとでサイズの異なるタイヤが使われているように思えるが、大体どのバス車両でも前後共通だ。

クラシックカーのタイヤ外径

 大昔に活躍したバス車両のタイヤ外径は今と変わらないのだろうか。昭和の後半、リアエンジンで箱型車体になった大型路線車では「9.00-20」または「10.00-20」という規格のタイヤが主流だったようだ。

10.00-20サイズのタイヤ
10.00-20サイズのタイヤ

 上記2種類の規格を外径で表すと、前者が1016〜1028mm、後者が1048〜1066mmくらい。いずれも1メートル級で、路線車向けとしては現行車種よりも径が大きい。

 戦前にまで遡り、ガソリンエンジンを前に搭載したバス車両に注目すると、当時はメーカーごとに様々な規格のタイヤが指定されていたらしい。現在よりもタイヤの幅が狭いのはどの車種にも当てはまる。

 1935年式のいすゞBX-40型の場合、「32×6インチ」または「34×7.5インチ」が指定されており、外径813〜863mmくらいになる。外径のみなら現在の中型路線車相当だ。

 同じく1935年式スミダ/チヨダ C-46型では「7.50-20」を使用するとある。現在もフォークリフトやトラクター、トラック用が発売されているタイヤだ。外径で記すと935〜946mm、今の大型路線車に近い。

 1940年式トヨタ バスシャシーのスペックを見ると「6.00-20」。トラック/バスには殆ど使われなくなったようだが、海外で製造しているメーカーがある。外径は32.6インチ前後なので、828mmくらいだ。

1940年式トヨタ製バス用シャシー(出典:自動車総覧2600)
1940年式トヨタ製バス用シャシー(出典:自動車総覧2600)

ざっくり言うと何センチ?

 元がインチであるのと、同じ規格のタイヤでも外径寸法に差があるため、基準点を作るのが非常に難しい。それを踏まえて、ざっくりと言うなら……

ワゴン車:69センチ
マイクロバス:75センチ
小型路線車:78センチ
中型路線車:84センチ
大型路線車:96センチ
大型高速車・貸切車:105センチ

……が、最近使われているバス車両に多いタイヤ外径になる。

投稿 275/70R22.5……乗用車じゃ見たことないサイズ!! 結局バスのタイヤって“何センチ”あるの?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。