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<p>元KADOKAWA社長・ライトノベル市場の立役者である佐藤辰男氏は、なぜ“70歳の処女作(ラノベ)”を書いてみたの? 『ロードス島戦記』水野良氏との対談からその真意を探る</p><p>元KADOKAWA社長・ライトノベル市場の立役者である佐藤辰男氏は、なぜ“70歳の処女作(ラノベ)”を書いてみたの? 「今を生きる人が一歩踏み出すきっかけになるような小説を書きたかった」──『ロードス島戦記』水野良氏との対談を通じてその真意を聞いてみた</p><p>なぜ、長年出版業界に務めてきた佐藤氏がいきなり小説を自ら書くことを選んだのか? そしてなぜライトノベルの作風なのか? そうした疑問を解消すべく、電ファミニコゲーマー編集部ではあの『ロードス島戦記』の作者であり、佐藤氏とも親交がある水野良氏との対談の場を用意させていただいた。</p><p>作家の苦しみが分かるとか、分からないとかいうレベルでさえないというか。まず締切もないし、何より『ロードス島戦記』でデビューしたころの水野さんみたいな人生のかけ方はできないんですよ。僕はもう70歳ですから。 当時の水野さんはまだ20代でしたよね? サラリーマンをおやりになっていたのをやめてまで、この世界に入られた覚悟は相当なものだったんじゃないでしょうか。 水野さんは『ロードス島戦記』でいきなり大ヒットを飛ばして、その後も継続的にRPGから作品を生み出す手法を続けていましたけど、同時にSFの世界に入ったりと、いろいろ苦悩を経験されたと思います。でも僕は70歳で書き始めている人間なのでまったくもってそういう切迫した思いはないんですね。 しかも締切も無いものだから、実に楽しく書くことができました。昔、川端康成が、誰かに「先生の作品は何であんなに繊細ですばらしいんですか?」と聞かれて「僕は、作品を手元に置いていくらでも直すようにしているからあんな風な作品が出来たんです」みたいに答えていて。手元に置いていくらでも直せるんだったら俺にもできるかな、締め切りもないことだし、と。そんなふうにして70歳の処女作が生まれました(笑)。 水野氏: 締め切りがないのに書けるというところが素晴らしいです。僕なんかは締切がないと、なかなか書けません。楽しんで書かれたのだろうな、というのは作品からもすごく伝わってきました。 ──佐藤さんが作家デビューすると聞いたとき、水野さんはどんな感想を抱かれましたか?</p>