BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、今週末のデイトナ24時間レースでのデビューに向けて準備が進められているドイツメーカーのLMDhカーには「まだまだ伸びしろがある」と感じている。
BMWの新型プロトタイプマシンであるBMW MハイブリッドV8は、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの新GTP時代の最初のレースに向けて、サーキットセッションでトップを走っていない唯一のマシンであり、LMDhのライバルであるアキュラ、キャデラック、ポルシェが順番にタイムを出しているのとは対照的に鳴りを潜めている。
公式練習でのBMWの最速ラップタイムは、25号車のニック・イェロリーが記録した1分35秒911で、チップ・ガナッシ・レーシング02号車キャデラックのドライバー、リチャード・ウエストブルックの出した総合トップタイムよりコンマ7秒遅かった。
しかしルースは、イタリアのダラーラ社と共同開発したBMWの新型プロトタイプは、サーキットでの走行距離を重ねることでさらなる進化を遂げると信じている。
「現時点では、100パーセント準備できていてすべてが計画どおりに動いているとは誰も言えない」と、ルースはSportscar365に語った。
「このようなプロジェクトを行う場合、つねに何か問題が出てくるものだ。我々はデイトナへの準備段階で思うような走行距離を稼げなかったし、1キロメートルでも足りなければ意味がない」
「一方で、このクルマができることを、まだすべて探求していないことも理解している。私たちは、これからもっとたくさんの未来や伸びしろがあると確信しているんだ」
「すでにいくつかの開発ステップを踏んでいる。このまま続けて、自分たちが望むところに行けるという自信を深めていきたい」
■これまでに技術的な面で大きな問題はなし。「それほど頭を悩ませることはなかった」
BMWは昨年11月にセブリングで一晩の耐久テストを試みたが、メカニカルトラブルが生じたためテストは中止となった。
この失敗にもかかわらず、ルースはロレックス24(デイトナ24時間)はRLL北米ファクトリーチームにとって「24時間テストではない」と指摘した。
「走行距離が足りていないため、クルマのすべてを探れたわけではない。もしかしたら、他にも未知な部分があるかもしれない。だが、RLL側にもBMW側にも経験豊富なエンジニアがたくさんいる」
「また、経験豊富なドライバーもいるので何でもチェックしてほしいと思う」
「我々の希望は、未知のことが何も起こらずスムーズなレースができることだ。それはいずれ分かるだろう。」
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ルースは、BMW MチームRLLがデイトナでさまざまな小さな問題に遭遇し、26日に発生した25号車のブレーキブリーディングの問題のように、これらのトラブルが時折クルマの走行距離に影響を与えていると説明した。
なお、この問題については「機械的な問題ではなかった。ただ時間がないことと、スケジュールの圧縮によるものだ」とルースは語った。
「ちょっとしたことが起こるんだ。でも、この問題を抱えたままレースには出たくない。僕らには経験豊富なスタッフがいるから、(可能な限り)最高の準備をすることができる。そこでこうしたトラブルが出てくるとは思っていない」
「全体的に技術的な面では大きな問題はなかった。確かに小さなトラブルはあったが、解決できる問題だし、それほど頭を悩ませることもなかった」
「ドライバーにとっては走行距離が多ければ多いほどいい。私たちの目標は、24時間レースでできるだけ多くのマイレージを集めることだ。これはすべて我々の助けになる」